長田地方の歴史を振り返ってみると、弥生時代にまでさかのぼることができる。日本に初めて稲作がわたってきたのは弥生時代のことで、その当時使われていた弥生式土器が、長田神社境内を中心に苅藻川流域で多数出土しており、人々はこの恵み多い川の流域に居を定めて稲作に従事し、集落を守る神を中心に、四季の生活を送っていた。この苅藻川に沿って長く拓けた田地の美称として、長田の名が起こったといわれている。

その後、大化の改新前後には、条理制の地割が行われ、古代の山陽道が整備された。源平合戦の際には長田の谷から長田一帯にかけて主戦場になり、民家などが焼かれてしまったと思われる。南北朝時代にも、合戦の場となり、長田神社は湊川合戦で足利方についた。そして、明治に至るまで、農村地域としてそれぞれの地域は発展してきたのである。

慶応3年(1868年)12月7日、兵庫開港が行われ、明治12年(1879年)には神戸市の前身神戸区が、神戸郡・兵庫郡・坂本村を併せて成立している。明治22年(1889年)この神戸区に葺合村・荒田村を併せて神戸市として発足し、長田の方では、東尻池・西尻池・長田・駒ケ林・野田・御崎・今和田新田・吉田新田を併せて林田村となる。
明治29年(1896年)林田村・湊村・池田村を神戸市に編入し、神戸・湊東・湊西・葺合・湊・林田の6区を設ける。
こうして、神戸市に編入された林田区では、道路整備事業が始まると共に、山陽電鉄の前身兵庫電気鉄道により明治43年兵庫〜須磨間の営業が始まった。
又、兵庫運河沿岸には、精糖工場を始め、製粉工場・発電所・木材業・マッチ工場・鉄工関係の工場が建設されていった。
大正時代に入ると、耕地整理組合による市街地化が始まり、西部・長田・西代と順次耕地整理組合が設置され、農地を整理して道路をつくり、新町名をつけ、将来市街地に発展することを予想して土地整理が行われ、市街地発展の基礎となった。
第一次世界大戦下の好況や昭和初頭の不況等を経て、昭和6年行政区が設置された。林田区を始め、灘・葺合・神戸・湊東・湊・湊西・須磨の7区が設置され、戸籍・寄留・埋火葬認許・就学・兵事・種痘・税務・選挙・印鑑・諸証明等の事務を身近に処理できるようにしたのである。
こうした努力にもかかわらず、昭和13年の阪神大水害により区内全戸数の80%が被害を受け、更に第二次世界大戦により壊滅的な打撃を受けた。戦災による人口移動で、神戸市の人口分布は大きく変化したため、区域の広さを適正化し、一区一警察署の設置を基本として、昭和20年従来の8区は6区に統合された。
従来林田区であった兵庫運河より東の地域を兵庫区に移すと共に、従来は須磨区であった旧西代村の範囲を林田区に編入した。
これが、今の長田区である。奇しくも林田区から長田区に変わって50年目に大震災が起こったのである。
このように、長田の歴史を見てくると、早くから開けた土地であったこと、田園地域から住居地域・工業地域に変遷したこと、近代に入ると耕地整理が行われ市街化が早く進んだこと、水害や戦災にあっていること、第二次世界大戦後早くに基盤整備がなされたことなどがわかる。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1868年(慶応3年) | 兵庫開港 |
| 1873年(明治6年) | 真野小学校創立(1887年に真陽小学校に吸収) |
| 1889年(明治22年) | 東尻池村 西尻池村 長田村 駒ヶ林村 野田村 御崎村 今和田新田 吉田新田を合わせて林田村と命名 神戸市制実施。神戸区に葺合,荒田両村を合わせて神戸市とする |
| 1896年(明治29) | 湊村 林田村 池田村を神戸市に編入 |
| 1901年(明治34年) | 湊川付け替え工事完成、通水式を実施 |
| 1910年(明治43年) | 兵庫電気軌道(山陽電鉄)兵庫〜須磨間開通、 長田駅 西代駅開業 |
| 1919年(大正8年) | 寺池、重池、蓮池を市営住宅地として埋立 |
| 1931年(昭和6年) | 区制実施(林田区誕生) |
| 1938年(昭和13年) | 阪神大水害 |
| 1945年(昭和20年) | 林田区は須磨区との境を変更し長田区と改称 |
| 1961年(昭和36年) | 長田港の築造完成開港式 |
| 1965年(昭和40年) | 戦後、長田区の人口がこの年ピークになる。 人口214,345人、57,165世帯 |
| 1967年(昭和42年) | 7月豪雨災害 |
| 1968年(昭和43年) | 神戸高速鉄道開通 (阪神 阪急 山陽 神戸電鉄相互乗り入れ) |
| 1969年(昭和44年) | 西市民病院完成 |
| 1970年(昭和45年) | 西市民病院開院 |
| 1974年(昭和49年) | 丸山コミュニティーセンターオープン |
| 1977年(昭和52年) | 神戸市営地下鉄西神線、新長田〜名谷間開通、 新長田駅前ビル完成 |
| 1984年(昭和59年) | 12月 区の花として「サルビア」を選定(全市ではじめて) |
| 1983年(昭和58年) | 神戸市営地下鉄山手線新長田〜大倉山間開通 |
| 1985年(昭和60年) | 神戸市営地下鉄山手線大倉山〜新神戸間、 西神延伸線名谷〜学園都市間開通 |
| 1989年(平成1年) | サルビアギャラリー開設 |
| 1990年(平成2年) | 長田消防署 警察署新庁舎完成 |
| 1993年(平成5年) | 長田区総合庁舎移転 |
| 1995年(平成7年) | 阪神 淡路大震災 |
| 1998年(平成10年) | ピフレ新長田(区民ホール)完成 |
| 2000年(平成12年) | シューズプラザオープン |
| 2001年(平成13年) | 神戸市営地下鉄海岸線開通 三宮花時計前〜新長田 |
| 2003年(平成15年) | 長田区の木が「ハナミズキ」に決定 |
| 2005年(平成17年) | 長田区制60周年 長田区中期計画策定 |
神話の時代から現在まで、長い歴史を持つ長田区で人から人へ語り継がれてきた数々の民話。長田区役所では、その長田に伝わる様々な民話を一冊の本にまとめています。ここではその一部を紹介しています。
※『ながたの民話』田辺眞人編、発行:長田区役所、頒価:400円
長田区まちづくり課(区役所3階6番窓口)、ハローステーションKobe(中央区三宮町1丁目神戸交通センタービル1)で発売しています。
長田区の各町の紹介や地名の由来など