第5話 松がきらいな生田の神さま

最終更新日
2009年3月25日

新神戸駅の下で、生田川の本流に支流の苧川が流れこんでいて、そのすぐ北側に小さな丸い布引丸山があり、砂子山ともよばれています。

生田の神さまは大昔、この山の上にまつられていたそうです。そのころは神さまのめぐみで、丸山には一面にたくさん松の木がしげっていました。

千年ほど昔のことです。神戸の地方に大雨がありました。何日も何日もふり続く雨に、人々は山の上の神さまのことが心配になりました。

「よし、わしが神さまをお守りしよう」刀禰七太夫という勇ましい若者が、ごうごうと流れる生田川をわたり、丸山に登りついて、山の上の神さまを背おい、何とか村にもどってきた時、丸山に大きな山くずれがおこりました。「すんでのところで神さまをお守りできてよかった。雨がやむまで、わしの家にいていただこう」

刀禰七太夫が山の上の神さまを背おっているイラスト何日かたって雨があがると、七太夫は神さまを背おって村中を歩きまわり、新しい神社の土地をさがしました。ちょうど生田川の西の高台にさしかかった時のことです。

「おや、体が動かぬ。歩けないぞ・・・ああ、ここが神さまのご希望の場所なのだな」

こうして七太夫がまつりなおしたのが、今の生田神社のはじめだということです。

丸山におられた時、多くの松を育てたのに、大雨に対してたよりにならなかったので、生田の神さまは松がきらいになられ、今でも生田の森には松が生えないそうです。