第4話 布引のたきの弁天さま

最終更新日
2009年3月25日

布引のたきの弁天さまのイラスト布引のたきの東の山をこえた谷間に、徳光院という静かなお寺があり、その寺の境内に水の弁天さまをまつる社があります。

もうずいぶん昔、まだ東神戸の海辺にも、あしの葉で屋根をふいた家がポツリポツリと見られたころ、 布引のたきのそばに、かわいいむすめとおじいさんが住んでいました。

ある日、おじいさんは、おさないむすめに言いました。 「この布引のたきの水に打たれて、毎日毎日修行すれば、ふしぎな力が身について、何ごとも思いのままになるのじゃ。 どうじゃ、修行はつらいが、お前もそうして修行して、ふしぎな力を手に入れて、世の中の人々を助けてあげては」

その日から、むすめは決心し、冷たいたきつぼに入って、高い岩から落ちてくるたきの水に打たれて、修行を続けました。 大きなたきの水の柱は、小さなむすめの肩や背をはげしく打ちました。

やがてある日、むすめはもう、肩を打つ水の痛さも背を打つ水の痛さも、感じなくなりました。 水中でも少しも息も苦しくなく、思いどおりに泳げました。 遠くにこまっている人がいると聞くと、自由に空を飛んで行き、人々を苦しめる悪者がいる時は、おそろしいりゅうの姿に変身して、悪者と戦えるようになりました。

イラストむすめは田畑の水や安全な航海や商売のなりゆきを見まもって、人々を助けました。 やがて人々は、むすめを弁天さまとよんで信こうするようになりました。 今でも時々弁天さまはこのふる里のたきのそばに来て、むすめの姿にもどって、たきをながめているそうです。