神戸市-KOBE-


液状化と地震被害

最終更新日
2009年3月25日

5.1 噴砂の分布

 ”噴砂”とは地盤が液状化することによって、地中の土砂が地下水と共に地表に吹き出したものであり、地下での液状化現象の発生を裏付けるひとつの情報となるものである。ただし、地下で液状化が生じたからといって、地表付近の建物や構造物がすべて被害を受けるということではない。すなわち、液状化層の深さ、液状化の度合い、地盤条件、地下水条件などさまざまな要因によって被害状況は大きく変化する。後で述べるように、ポートアイランドにおいては非常に多くの噴砂が広い範囲で確認されたが、液状化に伴う建物への直接的な被害はほとんど報告されていない。したがって、噴砂分布はあくまでも液状化現象を判断する情報のひとつと考えておく必要がある。
 神戸市街地において噴砂が確認された位置を噴砂分布図としてまとめたものが図-5.1である。噴砂が多く確認された区域は、ポートアイランドおよび六甲アイランドの人工島、沿岸部埋立地などの人工の埋立地盤に集中している。市街地部で確認されたのは、旧ため池などのやはり埋立地盤が多くなっている。そして、自然地盤からの噴砂が確認されている場所は沖積砂質土など緩い砂層の分布域と一致している。
 噴砂が確認された場所は、主として航空写真の判読によって作成されているため、細い部分については限界があると考えられる。また、ポートアイランドでは外周道路のほぼ全域で噴砂が見られたが、これは局部的な亀裂等から噴出した泥水状の噴砂が、平坦な路面舗装上を流れ広がった可能性が高いと考えられる。

5.2 液状化と地震被害

(1)人工島(ポートアイランド,六甲アイランド)

港湾施設

 兵庫県南部地震において港湾施設のほとんどすべての岸壁で著しい被害が生じた。人工島における護岸構造物(重力式岸壁)の被害は、その後の検討から、原因の第一は想定地震動を2〜3倍上回る地震による慣性力と土圧であり、これに岸壁背後地盤と基礎の置換砂層の間隙水圧の上昇に伴うせん断抵抗の低下(不完全液状化)による影響が加わったものと考えられている。

道路

 ポートアイランドでは、外周道路のほぼ全域で噴砂が見られたが、局部的な亀裂等から噴出した泥水状の噴砂が平坦な路面舗装上を流れ広がった可能性が高いものと考えられる。また、六甲アイランドでは、島の北側の岸壁周辺道路で噴砂が見られている。

建築物等

 ポートアイランド中央部の都市機能用地では、噴砂は見られるものの規模は全般に小さく、ほとんどすべての杭基礎の建築物のまわりで地盤の沈下に伴う段差が生じているが、建築物自体には液状化によると考えられる問題はほとんど生じていない。
 六甲アイランドでの被害は比較的軽微で、とくに中央部の都市機能用地では噴砂の確認場所は少なくなっている。また、岸壁に近接する場所を除いて、直接基礎の建築物についても大きな問題は生じていない。

ライフライン

 上水道管では継手部の離脱が見られ、雨水幹線・汚水管路では地盤沈下に伴う逆勾配化が見られたが、液状化に伴う浮き上がりの被害は確認されていない。
 以上から、ポートアイランドや、六甲アイランドなどの人工島では、おもな液状化層は比較的深い部分(地表面下15〜20m付近の埋立土)と考えられており、亀裂等の弱線を通って噴砂が地表部まで達したものと推定される。そのために、地表付近の構造物・埋設管等への被害が少なかったものと考えられる。

(2)沿岸部埋立地(西部埋立地,東部埋立地,摩耶埠頭)

港湾施設

 一部の耐震岸壁を除き、ほとんどの岸壁が大きな被害を受けている。ほとんどの岸壁が重力式であるため、人工島と同様に地震動による慣性力と土圧がそのおもな原因であると考えられる。

道路

 西部埋立地、東部埋立地、摩耶埠頭いずれの区域においても、かなりの噴砂が確認されている。東部第2、3工区においては液状化に伴うと考えられる道路面の波打ちが確認された。

建築物等

 基礎杭の破損が見られたが、液状化に伴うものかどうかは不明である。直接基礎建築物、タンクの不等沈下が一部で観察されている。
地下に埋設された貯油タンクの浮き上がりが、東部第3工区において確認されている。

 以上から、沿岸部埋立地の液状化は比較的地表近くで発生しているものと想定される。そのため、地下タンクの浮き上がりや路面の波打ち、直接基礎建築物の不等沈下の被害が発生しているものと考えられる。

(3)市街地

 市街地での噴砂場所は航空写真から判読している関係もあり,グランドなどの比較的広い場所が中心となっている。全体的に、噴砂は人工島および沿岸埋立地に比べて小規模となっている。
 沿岸低地部での噴砂確認位置は,沖積砂質土の分布域とよく一致している。
 須磨区や長田区での噴砂確認場所は,旧ため池と一致するところが多くなっている。
 市街地部における液状化についても,旧ため池部の埋立地などの人工地盤において発生している例が多くなっており、また,市街地においては,液状化に伴うと判断される被害は非常に少なかったと考えられる。