兵庫県南部地震の地震被害と地盤

最終更新日
2009年3月25日

4.1 建物被害と地盤

 検討に使用した被害データは、東灘区から垂水区までの市街地において日本建築学会と日本都市計画学会が震災直後に行った被災度判定に、建物の構造・建築年次の情報および震災から約1年後の建物滅失情報を加え、町丁目別に分類したものである。ただし対象地域は、被災度判定を行った地域に限定されるので、神戸市全域や各区全域を網羅するものではない。

(1)被災度と滅失について

 地震による建物の被害の度合を示す指標として、日本建築学会・日本都市計画学会の被災度判定による分類は極めて有意義なものである。しかし、この判定はあくまでも外観目視による判定であって個々の建物内部まで入り込んでいないため、判定と実際の被害の度合にずれのあることが想定された。
 そこで、地震から約1年後の建物の滅失情報を付加することにより、被害データを補った。

(2)建物被害の特徴

区別建物被害棟数

建築年次による全壊かつ滅失棟数率の推移

(3)建物被害と地盤

 地形・地質情報と建物被害との関係について検討した結果、市街地部において発生した地震被害は、地盤の形成年代が新しいとされる沖積層の分布地域に集中している傾向がはっきりと表れている。図-4.4は前に示した微地形区分図のうち、約1.5万年前以降に形成された微地形区域と、昭和45年以前の木造建物の全壊かつ滅失率(40%以上)を重ねて示した図である。

 この図で明らかなように、顕著な地震被害のほとんどは1.5万年前以降の扇状地と、氾濫平野・海岸低地に集中している。つまり、建物被害は新しい地質時代に形成された軟質な沖積層の分布地域に集中して発生したことがいえる。しかし、JR三ノ宮駅から灘駅にかけての地域は、沖積層の分布地域であるにもかかわらず、被害が比較的軽微であり、この関係が必ずしも成り立たない。その要因に関しては、現在のところ検討中であるが、一般に建物に被害を及ぼす地盤の影響としては、

4.2 上水道管、下水道管被害と地盤

 上水道管および下水道管被害と地盤との関係を分析するために、これらの管の被害位置と微地形区分図とを重ねて表したものが図-4.5である。この図に示されるように、被害位置は地形区分での埋立地,海岸低地,氾濫平野などの海岸地域と、開析谷底,河道,天井川,自然堤防などの河川沿いに集中する傾向にある。
図-4.6のヒストグラムは、地形区分と被害点数の関係を示している。ただし、埋立地については自然地盤と同様の取り扱いができないため除外している。
 図-4.6に示すように、最も被害件数が多い微地形区分はAP:氾濫平野・海岸低地であり、ついでF5:扇状地−5が多い。同一の地形要素,扇状地では、時代的に新しい要素ほど(F5に向かって)被害件数は大きくなっている。
 このような分析により、新しく形成された地形、すなわち地盤ほど被害が多くあったことがわかる。