例年11月頃から3月までの寒い時期には、救急出動要請が増加します。特に、年末から年始にかけては、連日、出動件数が200件を超えます。この時期に多い高齢者の家庭内事故としては、ヒートショックによる急病、餅などの喉詰めによる窒息事故、転倒事故などがあります。
高齢者の方に元気で安全に冬場を過ごしていただくため、この時期に多く発生する家庭内事故の予防策を紹介します。
なお、消防局では、神戸市消防基本計画に掲げる将来像「家庭での安全・安心」の実現を目指して、日常生活において発生する病気や事故の防止対策についての知識の普及に努めています。
平成22年中、浴室・浴場等における急病やケガで救急車を要請された方は859人おられました。このうち、脱衣から入浴に至る間のように、急激な温度変化にさらされる環境下で起こりやすい「ヒートショック」が影響していると思われる方は672人で、そのうち救急隊到着時に既に死亡されていた方が104人(15.5%)、命に関わる重症又は重篤な状態であった方が116人(17.3%)おられました。また、672人のうち511人(76.0%)が65歳以上の方でした。
ヒートショックの特徴としては、「傷病程度別」では重症者が多いこと、「月別」では冬場に急増すること、「年齢別」では65歳以上の高齢者に多いことなどが挙げられます。

・入浴中に意識レベルが低下し、水没した。(80歳男性、重症)
・入浴後に脱衣所で更衣していたところ、意識レベルが低下するとともに、嘔吐した。(80歳女性、軽症)
・浴槽内で左上下肢の脱力を呈し動けなくなった。(67歳女性・脳梗塞、中等症)
・入浴中に右半身麻痺、発語障害を訴えた。(67歳男性・脳内出血、重症)
・入浴して1時間程度経ってもあがってこないので、家族が確認したところ、
浴槽内で心肺停止していた。(83歳女性、重篤)
・自宅浴槽に水没して意識を失っていた。(71歳男性、死亡)
(1)入浴に際しては、服を脱ぐ前に、浴室内をシャワーの蒸気で暖めるなど脱衣所や浴室の温度を上げて、室内や湯船のお湯との温度差を小さくする。
(2)入浴前には足元から心臓に向かって、順に「かけ湯」を行う。また、湯船のお湯の温度は39℃から41℃までとし、長湯をしない。
(3)家族が入った後に入浴すれば、浴室も暖まりやすく、お湯の温度も熱すぎることがないので、高齢者や高血圧症の人は、できるだけ「二番湯入浴」を心がける。
平成22年中、窒息による事故で救急搬送された方は207人で、このうち171人(82.6%)が65歳以上の方でした。食品による窒息のうち、餅の喉詰め事故は15人ですが、年末年始に集中しています。
・餅を喉に詰めた。(82歳男性、重篤)
・施設内で食事中にパンを喉に詰めた。
(92歳女性、中等症)
・ゼリーを喉に詰めた。(85歳女性、中等症)
・食事中に刺身のイカを喉に詰めた。
(86歳男性、重篤)
・食事中にこんにゃくを喉に詰めた。
(87歳女性、重篤)
・就寝中に入れ歯が喉に詰まり息ができなくなった。
(82歳男性、重症)
(1)餅などの喉詰めをおこしやすい食べ物は、小さく切ってから食べる。
(2)食事の際は、お茶や水を飲んで喉を湿らせてから食べる。
(3)食べ物を口に入れたまま喋ったりせず、しっかり噛んで食べる。
平成22年中、転倒事故で救急搬送された方は6,928人発生しています。このうち4,985人(72%)が65歳以上の方であり、事故発生場所は住宅が多くなっています。

・フローリングの床上で足を滑らせ転倒。(87歳男性、軽症)
・床面の段差につまずき転倒。(80歳女性、重症)
・神社境内の階段にて、つまずき転倒。(81歳女性、中等症)
・風呂場の濡れた床で滑って転倒。(69歳男性、軽症)
・床に置いてあった座布団を踏んだ際、足が滑って
転倒。(76歳女性、重症)
・歩行中転倒し、側溝にはまり負傷。(83歳女性、中等症)
・エスカレーターで落とした小銭を拾おうとして、
バランスを崩し転倒。(68歳男性、軽症)
(1)居室内の整理整頓を心がけ、床や階段などに物を置かない。
(2)敷居などの、つまずきやすい段差を少なくする。
(3)浴室、浴槽内には、滑り止めのマットを敷く。
(4)階段、廊下、玄関、浴室などに「手すり」を設ける。