消防法が28年ぶりに大きく改正され、平成14年10月25日(一部は平成15年10月1日)から施行されました。
今回の改正は、平成13年9月1日に44名の犠牲者を出した新宿歌舞伎町の雑居ビル火災を教訓に、その要因とされた階段等における物品放置や防火管理体制の欠落等を改善するため、大幅な見直しが図られたものです。
その主な内容は、
これら3項目を柱とし、雑居ビル等の防火安全対策が強化されました。
ビルの防火管理の徹底を図るため、一定規模のビル関係者は平成15年10月1日から防火管理上必要な業務等について資格者に点検させ、消防署に報告することになりました。
定期点検報告が必要となるのは、不特定多数の人が出入りする特定防火対象物のうち、収容人員が300人以上のビル、又は地階や3階以上に飲食店等各種店舗があり、地上まで直接通じる階段が1つしかないビルです。
また、消防法令の適合情報を利用者に提供できるように、点検を行ったことを建物に表示することができるようになりました。
定期点検報告は、原則年1回定期に消防署に報告が必要ですが、法令を遵守し優良対象物として認定されれば3年間は点検報告の義務が免除されます。
これはビルの関係者が消防署に申請を行い、これに基づく消防署の検査を受けて認定されることになっています。
なお、定期点検報告に虚偽があったり、認定期間中に違反があったりすると取消しになることがあります。
一定の防火対象物から点検依頼が来ると、防火対象物点検資格者(火災予防に関する専門的知識を有する者で講習を修了した者)が点検(1年ごと)を行います。
点検後、消防機関(消防長、消防署長)に報告を行い、点検基準に適合した場合に点検済証が得られます。
避難上必要なビル内の階段、廊下、出入口に物を放置したり、防火戸の前に物を置かないよう管理する義務が、ビル関係者に課せられることになりました。
これらの管理に不備があれば、消防職員による即時除去命令や場合によっては建物の一部使用禁止になることがあります。
階段踊り場が更衣室になっている
性風俗関連特殊営業を営む店舗等が消防法施行令別表第一の防火対象物の用途分類に(2)項ハとして新たに追加されました。
これまでは、飲食を伴わないファッションマッサージ、ファッションへルス、イメージクラブ、テレフォンクラブ等のいわゆる性風俗店舗については、(15)項(その他の事業所)として扱ってきました。しかしこうした店舗であっても、災害が発生すれば危険性は同等であると考えられることから、消防法の規制が厳しい特定防火対象物として位置づけられました。
すでに営業を行っているこれらの店舗は、改正法令に適合するように設備改修等を行わなければならないことになります。
小規模雑居ビルや階段が1箇所のビルで特定防火対象物に該当するもののうち、次に該当するものには自動火災報知設備を設置しなければならないとされました。
この規定は既存の建物にも適用され、平成17年10月1日までに自動火災報知設備を設置しなければならないこととされました。
消防機関が効率的かつ効果的に立入検査が行えるよう、立入検査の制限について改正されました。
これまでの立入検査は、日出から日没までの時間帯、又は営業時間内の時間帯に行うこととされ、事前通告を行うことを原則としていました。しかし今回の改正で、立入検査を行う際の時間制限が撤廃され、さらに違反実態等を的確に把握することが必要なことから、事前通告無しで立ち入り検査を行うことができるようになりました。
消防法令違反がある建物における火災予防上の危険性の程度、関係者の違反是正の意思や能力等に応じて、消防機関が消防法による措置命令をより積極的に行い、迅速かつ効果的な違反処理を進める必要があることから、措置命令の発動要件の明確化が図られました。
従来の消防法による措置命令の命令権者(命令を行える者)は、消防長又は消防署長でしたが、査察をした消防職員がその場で命令できる要件が新たに定められました。
すなわち、避難経路となる廊下や階段に放置された物件の除去や火災予防上危険な設備の使用禁止等、緊急性のあるものについては、消防職員が自ら当該建物の関係者に対して、命令を発動することができるようになりました。
消防機関が措置命令を発動した場合は、その旨を記載した標識を建物の出入口に設置するなどの方法により公示しなければならないこととなりました。
これは建物の利用者や周辺の住民等が、こうした違反のある建物から大きな被害を受けないための情報提供の役割を担っています。
消防法の規制による効果は、日常生活ではあまり目に見えにくく、火災等の非常時に発揮されるものであるため、消防法は他の法令と比較し関係者の遵法意識が低いものでした。
このため、今回の改正にあわせて法令違反等に対する抑止力を高めようと、罰則額について所要の見直しを行うとともに、両罰規定についても見直し、法人に対する罰金を強化するなど、罰則の強化が図られました。
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