神戸市-KOBE-


一酸化炭素の恐怖

先月号では平成29年中の火災状況について速報をお伝えしましたが、今月はその中でも死者の発生状況に着目し、状況の分析と死者発生の重要な要因である一酸化炭素の怖さについてお伝えします。

火災による死者の発生状況

神戸市内の火災による死者の発生状況について、過去3年間を振り返ってみると、放火及び放火自損による死者を除くと全て住宅火災で発生していることが分かります。

 平成27年平成28年平成29年
火災による死者25人20人12人
住宅火災20人15人8人
住宅火災以外0人0人0人
放火、放火自損5人5人4人

死因別死者の発生状況

また、住宅火災で亡くなられた方の原因を調べてみると、平成27年、28年と一酸化炭素中毒で亡くなられた方が多数を占めていることが分かります。平成29年は逆転していますが、火傷死の5人に着目すると、そのうち4人は身体が不自由な方であり、避難行動に支障があったのではないかと考えられます。

 平成27年平成28年平成29年
一酸化炭素中毒死15人13人3人
火傷死5人2人5人

火災時に必ず発生します

物の燃焼に酸素が必要なのは皆さんご存知だと思いますが、燃焼が起こった後に何ができるかご存知ですか?正解は二酸化炭素と水です。ところが建物内で火災が発生した場合、燃焼物に対し酸素が少ない状態となるため、不完全燃焼となり、一酸化炭素も必ず発生します。そして炎が大きくなると、更に酸欠状態となるため、一酸化炭素の濃度は格段に高くなります。

  • 一酸化炭素発生の式

一酸化炭素中毒とは

一酸化炭素は無色・無臭・可燃性の気体で、吸いこむと血液中の酸素運搬が阻害され、体の各組織に酸素が効率的に行き渡らなくなってしまいます。血液中には酸素と結びついて全身に酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンというたんぱく質がありますが、一酸化炭素は酸素と比べ200倍以上もヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。このため一酸化炭素を吸い込むとヘモグロビンは酸素と結びつくことができず、血液の酸素運搬能力が低下して、酸素不足に陥ります。これがいわゆる一酸化炭素中毒です。
軽度の一酸化炭素中毒では、頭痛、吐き気、めまい、集中力の低下、嘔吐、眠気、体調不良が起こりますが、多くの場合、新鮮な空気を吸うことで回復します。
しかし、高濃度の一酸化炭素を吸い込んだ場合は軽度の中毒症状とは違い、一呼吸で昏睡状態となり、死に至ります。

サイレントキラー

前述したように、一酸化炭素は無色・無臭の為、その存在に気付かず、危険を認識できません。そして、それは火災現場で活動する我々消防士にとっても同じです。
火災による死者を無くすために、また消火活動を行う消防隊員の安全確保のために、予防課調査係では火災時の一酸化炭素の拡散挙動について実験や検証を行っています。皆さんも静かなる殺し屋の怖さをもう一度考えてみてください。

  • サイレントキラー画像