神戸市-KOBE-


忍び寄る危険『伝導過熱火災』

新年あけましておめでとうございます。本年も火災予防に関する情報を届けさせて頂きますので、宜しくお願い致します。
年末年始にかけて、おせち料理や鍋料理など長時間、コンロ火を使用する機会が増えてくると思います。長時間の使用により火を消し忘れて火災危険が高くなることはご存知かと思いますが、他にもの私達の目の届かない部分で火災が発生する非常に危険なケースがあります。
それが『伝導過熱火災』です。

伝導過熱火災とは?

伝導過熱火災とは、コンロ火の熱が近くのタイルやステンレス板等から壁体へと伝わり、壁体のベニヤ板や木ずりなどの木材が長期間、過熱され続けることで、突然発火に至るというものです

伝導過熱

なぜ危険なのか?

危険要因としてまず、いつ発火するかが分からないことです。
発火に至るメカニズムは、まず、コンロ火から壁体へ伝わってきた長期間の熱により木材の含有水分が徐々に蒸発し、炭のように多孔質化することで断熱性が上がり蓄熱しやすい状態に変化していきます。すると、本来の発火温度(260〜416℃)にならずとも100℃近くで発火に至るようになりますが、コンロから木材までの距離や壁体の構造など環境は家庭により様々であり、火を消した後も壁体内で蓄熱が継続するのでいつ発生するのか掴めません。
もう一つの危険要因として、火災がひとたび発生すると広範囲に燃え広がってしまうことです。目の届かない壁体内からの出火であるので、火災警報器も鳴動しにくく、発見までに時間を要することも少なくありません。発見する頃には壁体内部や小屋裏などの内部空間で、木材が熱分解により大量の可燃性ガスを充満させ、区画を超えて燃え広がっている危険があります。

神戸市内での過去の事例

1 店舗内厨房にて、従業員がスープ調理で寸胴鍋を業務用ガスコンロにかけて加熱していたところ、モルタル壁体から熱が伝導して壁内のベニヤ板から出火。
2 一般住宅内にて、コンロで煮炊きをしていたところ、近接する壁体の内部木材から出火。
3 一般住宅内にて、トースターを明かり取りのために使用していたため、トースター台の木製棚から出火。
4 一般住宅外にて、風呂釜で物を焼却していたところ、高温になった煙突と接していた軒下の野地板から出火。

予防策

以上のように、店舗で使用する火力が強い業務用ガスコンロだけでなく、家庭用コンロやトースターなどでも出火に至ることから身近でも発生する可能性は十分にあります。
発生の予防策は、『コンロ火と壁体の離隔距離をとること』です。
具体例として、
1 コンロと壁体の間は出来る限り空間を設けて、空気層を作って放熱しやすい状況にしておく。また、コンロ使用時は換気扇を回して空気循環も良くしておくことも大事です。 
2 壁体側には、強火力バーナーの設置は避け、大きな鍋を置いて火を水平方向に伸ばさないようにする。
3 コンロ台に合ったコンロを設置する。現在の据置ガスコンロはグリル付きがほとんどですが、古い建物ではグリルなしを基準としたコンロ台もあるため、グリル付きのコンロを置くと壁体と密着状態となり熱伝導しやすい状態となってしまいます。

おわりに

安全装置付きのコンロは、過熱防止センサーが作動するため、一回の使用では長時間の過熱には至りませんが、壁体内の木材は時間をかけて少しずつ炭化して発火に向かっていきます。安全装置だけでなく、もう一度使用状況を見直すことが火災防止へと繋がります