神戸市-KOBE-


日常に潜む自然発火の危険性

最終更新日
2011年3月16日

前回の天ぷら油火災の話の中で、凝固剤で固めた天ぷら油を、温度が下がる前にゴミ袋などに捨ててしまうと、蓄熱して発火するという内容の事例を紹介しました。また、飲食店舗などで起こりやすい火災として、大量の天かすが調理後数時間してから発火するという話を、皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。
これらは、『自然発火』と呼ばれる現象です。自然発火が起こる原因はさまざまですが、今回は前述の天ぷら油に代表されるような、身近なところで起こり得る『動植物油に関する自然発火現象』について紹介します。

自然発火の定義

自然発火とは、物質が空気中で自然に発熱し、その熱が長時間蓄積されて発火点に達し、物質自身から発生した可燃性ガスや、周囲で接している可燃物を燃焼させる現象のことをいいます。

火災統計上、自然発火の件数はそれほど多くはありませんが、店舗や工場、研究施設以外に、神戸市内の一般家庭においても、動植物油の自然発火による火災は実際に起こっています。

自然発火の条件

定義として紹介した内容は多少分かりにくいものだったかもしれませんが、動植物油が自然発火を起こす条件は至ってシンプルです。
鉄が屋外で雨風にさらされると錆を生じるのと同様に、動植物油も空気中にさらされることで劣化していきます。これらの過程のことを『酸化』といいます。酸化は、空気中の酸素と結びつくという、身近なところで起きている化学反応であり、発熱を伴います。この酸化熱が蓄積し、周囲の温度が上がることで、さらに酸化反応が進むというサイクルが繰り返され、動植物油の発火点に近づいていきます。

つまり、動植物油が自然発火を起こす条件とは、大きくは以下の3つとなります。

火災事例1

油分を含んだ布の処分方法備え付けられた木製カウンターに、つや出し塗料(ニス)を塗りました。その後、雑巾3枚を使用して塗料を拭き取り、その雑巾をまとめてゴミ袋に入れて口を結びました。約4時間後、家人が外出している時に、ゴミ袋から出火しました。
 
この塗料を調べたところ、成分に植物油脂が含まれていたことが分かりました。このつや出し塗料以外にも、多くの一般的な塗料には何らかの油脂成分が含まれています。どんな塗料であれ、それを拭き取った雑巾や、または塗料の付着したシートやダンボール、塗料のかすなどは、前述のような処分の仕方は絶対にしないで下さい。水が十分に入った容器にそれらを沈め、しっかりと水分を含ませた状態で捨てるようにして下さい。

火災事例2

調理場の拭き掃除に使用した布巾数枚を、洗った後にまとめて乾燥機にかけました。乾燥中は何の異常もありませんでしたが、乾燥終了後、しばらく取り出さずに放置したところ、乾燥機内から出火しました。

この布巾には、調理場の至る所に付着している植物油が含まれていました。繊維に含まれた油分は、手洗いや洗濯機では完全には落ちません。それを乾燥機にかけたことにより、常温では得られない熱量が内部に蓄積され、出火に至ったのです。ちなみに、乾燥中は回転により熱が拡散されるため、発火するのは乾燥機停止後であることが多いようです。

使用方法をよく読みましょう

自然発火プロセス今回2つの事例に共通していたのは、発火したのが動植物油を含んだ『布』であったということです。繊維状のものは表面積が広く、酸素との接触面が大きくなるため、酸化反応を起こしやすいのです。

このように、自然発火は私たちの身近な所にあるものでも十分に起こり得ることがお分かりいただけたと思います。
油分を含んだものを取り扱う際は、製品の注意表示などをよく読んで、使用方法を誤らないよう心掛けて下さい。