神戸市-KOBE-


下水道施設災害査定事務に関する報告書

最終更新日
2009年3月25日

初動体制

被災時、最初にすることは、職員の安全確認(職員の安全に関する事項はここでは省略する)と施設の機能の確認である。職員を招集し、災害対策本部を設置。役割分担を決めて、調査等の的確な指示をすること。本省や地方整備局・県等へ被災報告をするためにも出来るだけ迅速に(半日〜1日以内)緊急調査をする必要がある。ちなみに神戸市での被害状況調査は、資料―4のようなものであった。災害査定までの調査等の概略について時系列に示す。

汚水管渠

緊急調査

管渠は埋設されているため、本来管内の調査が必要であるが、人員もなく、範囲も広く、時間もないため、まず緊急調査として地表面 の状況で判断する。溢水の有無・道路の陥没変状・液状化などにより流水と損傷の判断を行い、必要により(溢水・交差点・主要幹線の合流点など)マンホールをあけて流水の状況を確認する。(危険につき入孔しない)

第1次調査

地表面調査の結果により被災の範囲を推定し、第1次調査を実施する。第1次調査は、第2次調査(TVカメラ調査)の要否の基礎資料となるもので、マンホールと管渠の被災状況を確認する。この場合、管渠台帳に基づいて調査と整理を行う。調査表を資料―18に添付する。調査は、安全を考慮した班編成でおこなうこと。請負業者(建設・管路維持)やコンサルタントに依頼することも可能である。

はなれわざ

第1次調査は第2次調査の必要性を決めるだけでなく、被災の規模を推定するためにも重要である。従って、早急な調査を求められるが、マンホールの中に入って管渠を目視点検するのは手間がかかり、時間を要するばかりか余震等のおそれもあり危険である。そこで、管渠点検用簡易型テレビカメラ(通称「はなれわざ」)を用いることをお勧めする。阪神・淡路大震災時にはなかったが、最近では手頃な価格で販売されている。通常のスパン(30〜40m)であれば、マンホールの双方から見れば1次調査としては十分な性能をもつ。映像と音声が記録されるため、整理が確実であり、後での確認も容易である。調査もはかどり安全性も高い。(未調査汚水管路の調査)

第2次調査

第1次調査の結果によりTVカメラによる管内の被災調査を行う。小口径の汚水管の場合現地査定ができないため、TVカメラ調査結果による査定が必須である。資料―17に示す判断基準と管内調査記録表および写真により査定を受ける。調査の進行状況により1ブロックに複数回査定を行う場合もある。TVカメラは全国に限られた台数しかなく、混乱を避けるため、(社)日本下水道管路管理業協会(03-3865-346)を通じて依頼するのが良い。調査費用は国費補助が受けられる。

災害査定と工事発注

査定後、極力早期に復旧工事を発注することが必要である。神戸の場合は、査定設計書は工事発注設計書を兼ねることができたので、ある程度のブロックをまとめて即座に発注した。しかし、災害査定の調査に時間を要するので、「原単位方式」が採用できれば、もっと早期の発注が可能となる。

汚水幹線・雨水幹線

緊急調査

汚水管渠と同様に道路面や主要な交差点などの状況で調査を開始する。延長的には限定されているので、ある程度の精度で調査はできる。最も心配すべきは道路の陥没である。主要な道路の横断部は、マンホール内の点検も必要である。また、雨水幹線の吐口等は要調査箇所である。護岸とともに被災しているケースが少なくない。また、降雨が心配される場合、2次災害を引き起こすので閉塞は最も注意を要する。

応急復旧

緊急調査において、道路の陥没や閉塞を起こしている場合は、緊急に請負業者に復旧工事の指示を行う。災害査定で確認できるよう写真や被災状況が確認できるよう資料を整理しておくこと。工事規模により、着手までに国と事前協議を行う必要がある。

第1次調査

緊急調査において区域を限定し管内の目視調査(測量・写真撮影・記録)を行う。この場合国と協議し、査定の方針・判断基準を予め確認しておき、調査の方法を決めること。クラックや破損箇所に赤スプレーなどでわかりやすくマーキングするなど工夫し、写真として被災の状況が確認できるようにすること。汚水・雨水の幹線調査は、大規模な水替や潜水調査など費用がかかるので、何度も調査ができない。無駄と危険をなくすことが重要である。同時にマンホールの被災調査も行う。

第2次調査

前述のように第1次調査で全てを調査できれば良いが、小口径の場合のTVカメラのように録画ができないため、写真撮影や現地の記録の良し悪しがポイントとなる。従って、少なからず補足調査が必要である。また、調査の範囲も変更となる場合もある。第1次調査の整理を早期に行い査定までに済ませておくこと。雨水幹線は、場合によっては現地査定となるので、現地と設計書が整合するようにポイントをマーキングするなど工夫が必要である。

災害査定と発注

以上の資料により査定を受ける訳であるが、延長やクラックが確認できないと査定のしようがない。さらに追加調査を行うことが困難な場合も多いので注意を要する。また、復旧方法については、補修とするか取り壊し復旧とするかは、全体計画、現地の状況や工法比較、他事業との工程なども考慮し、現実的な復旧工法を提案すること。

処理場・ポンプ場

緊急調査(処理場等の機能の確認)

緊急調査として、受電・揚水・水処理・放流水域の状況を調査する。異常があれば、即座に応急措置を手配する。

第1次調査

緊急調査に引き続き、水と泥の処理の流れに沿った第1次調査と機能の確認を行う。調査を確実に行うためには、処理場の構造・システム・維持管理上のポイントを知っている者が行うのが望ましい。たとえば、他都市の処理場担当の職員が支援に行っても、そのシステムを理解するのに時間を要し、調査に手間取る。日本下水道事業団(JS)が受託して建設した処理場等であれば、それぞれの支社に支援を依頼するのもひとつの方法である。国への連絡や協議のアドバイス、支援を得られる都市などの情報収集も容易である。

応急復旧

処理場を建設した請負業者・メーカー等の支援を受ける。処理場、特に設備関係はメーカーによってシステムや構造が異なるため、製作・納入したメーカーが望ましい。応急復旧材料の手配を無駄なく迅速に行うことが可能である。なお、応急復旧も災害査定の対象にできる。事後に被災状況が確認できる資料を可能な限り作成しておくこと。発注手続は必要だが、「緊急メモ」のようなもので指示した事項を確認できるようにしておくこと。

第2次調査

メーカー等の応急復旧作業と並行して詳細な機能の確認・被災状況の調査も合わせて行う。特に電気設備関係は、災害査定に際して第3者(公的機関)の評価書や少なくともメーカーの報告書等の提出を求められるので注意が必要である。査定の資料として決まったものはなく、基本的には、被災の状況が把握できる資料があれば良い。

災害査定と本格復旧

第2次調査の結果をもって災害査定を受けることとなるが、応急復旧のみの施設・設備で処理を継続することはできないため、場合によっては災害査定に先行して本復旧を行うことも必要となる。この場合は、国土交通省と事前協議を行う必要がある。