喫煙は多くの疫学研究により、肺がん、喉頭がんを始めとするいろいろな部位のがん、心筋梗塞、脳卒中、肺気腫、胃・十二指腸潰瘍などの危険性を高め、成人が歯を失う歯周病の危険因子でもあることが認められています。特に、喫煙者本人が吸い込む主流煙よりも、たばこの先から立ち上る副流煙の方が、多くの有害物質を含んでいることから、受動喫煙防止のための対策が重要となっています。さらに、受動喫煙の乳幼児への影響として、喘息、気管支炎、赤ちゃんの突然死などが知られています。また、妊婦への影響としては低体重児出生の危険が報告されています。これらのことから、職場や公共施設だけでなく家庭においても禁煙・分煙の取り組みを推進していく必要があります。神戸市では、2010年に向けた市民の健康づくり運動として、健康こうべ21を2002年2月に策定しました。 その目標の一つとして、公共施設での分煙100%実施と成人の喫煙者率の半減をめざし、市民への啓発や広報などに努めています。
2003年5月1日には健康増進法第25条により、多くの人が利用する施設の管理者に受動喫煙防止のための措置を講じる義務規定が設けられました。このように、たばこに対する市民の意識や公共施設等での受動喫煙防止の取り組みに対する状況は大きく変わってきていますが、具体的で効果的な方法については十分に浸透しているとはいいがたい状況にあります。
このたび、保健所では、職場、公共施設等での受動喫煙防止対策を効果的にすすめていただくため、「受動喫煙防止対策ガイドライン」を策定いたしました。このガイドラインは、厚生労働省の「職場における喫煙対策のための新ガイドライン」の考え方を基本に、施設の性格に応じた場所別受動喫煙防止のすすめ方の指針を定めるとともに、分煙設備の具体例も紹介しています。より多くの皆様にご活用いただければ幸いです。
病弱者や未成年者が多く集まる施設などでは、社会的役割や施設の性格をふまえ、禁煙を基本とした対策の確立が望まれます。
公共性や社会的役割を考えて、禁煙を基本とした対策を進めることが必要です。やむをえず分煙を行う場合は、煙が喫煙室外に漏れないよう分煙を徹底します。
事業主が主体となった積極的な分煙が望まれます。利用者の目的や業態に応じた分煙に取り組んでください。未成年者が多く利用する場所では、特に配慮が必要です。
屋外においても、周囲に人がいる場合にはたばこを吸わない等、周囲の人に対し心配りをすることが、喫煙マナーです。特に、歩行中の喫煙は、他人にやけどを負わせたり、吸い殻のポイ捨てによる火事、ゴミの散乱の原因にもなることから、「歩きたばこは絶対しない」ことを社会的ルールとして確立させる必要があります。
職場は労働者が長時間過ごす場所なので健康に大きく影響します。分煙を徹底し、外来者にも協力してもらいましょう。
家庭においても、受動喫煙防止の観点から分煙が必要です。特に乳幼児、妊産婦のいる世帯では受動喫煙による健康への影響が大きいことや、乳幼児のたばこの誤飲事故の頻度が高いことから、分煙およびたばこの管理の徹底をすすめ、事故を減らす工夫をしましょう。禁煙することが最も有効な手段です。
たばこの煙は喫煙により直接吸い込まれる主流煙よりも火のついた部分から立ちのぼる副流煙のほうが、より多くの有害物質を含んでいます。受動喫煙の影響は目の痛みや鼻づまり、頭痛などの不快症状だけにとどまらず、呼吸機能や循環機能が損なわれ、長期的にはがんの危険性が高くなることが報告されています。さらに小児への影響は甚大であり、呼吸器疾患の増加や乳幼児の突然死が指摘されています。
心筋梗塞・肺がん・副鼻腔がん・小児の急性肺炎及び気管支炎・小児の慢性呼吸器症状・小児の気管支喘息・小児の中耳炎・乳幼児突然死症候群などがあります。
夫が喫煙者の場合、喫煙本数が多いほど妻が肺がんになるリスクが増加します。乳幼児のこどものいる家庭での喫煙率は、19歳以下の母44.3%・ 父83.8% 20〜24歳の母34.7%・父83.4%と若年層の両親の喫煙率が高くなっています。(平成13年度厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」より)特に、母親の喫煙により乳幼児突然死症候群のリスクが倍増します。なお、両親ともにたばこをすわない家庭は、約1/3にとどまっています。
厚生労働省2003年5月「職場における喫煙対策のための新ガイドラインの策定について」によれば、以下のとおりとなっています。
全面禁煙は最も有効な受動喫煙防止対策といえます。止むを得ず、空間分煙をする場合には、以下の条件を遵守してください。
煙の中の粒子を除去することができますが、機械の種類やメンテナンスによっては、粒子が室内に再循環してしまうことがあります。また、一酸化炭素などの有毒ガスは除去できず受動喫煙防止対策としては不十分です。空気清浄機を使用している場合でも、必ず外へ排気してください。