障害を理由とする差別の解消の推進に関する神戸市職員対応要領 平成28年6月神戸市   はじめに 障害者の権利擁護に向けた取り組みが国際的に進展し、平成18年12月に、障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)が国連で採択されました。 この条約を締結するため、国内法の整備の一環として、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、いわゆる障害者差別解消法が制定されました。 法は、障害者であるというだけで、正当な理由なく、サービスの提供や入学などを拒否する差別的な取扱いを禁じています。また、障害者に合わせて、車椅子での移動の手助けをしたり、筆談や点字でコミュニケーションしたりするなど、負担の重過ぎない範囲で、「合理的配慮」も必要とされました。これらの配慮については、国や地方公共団体は法的義務、民間事業者は努力義務とされました。 また、法は、地方公共団体等の職員が適切に対応するために必要な要領(職員対応要領)を定めるよう努めるものとしています(法第10条)。これを受け、神戸市では、障害を理由とする差別の解消の推進に関する神戸市職員対応要領(神戸市職員対応要領)を策定しました。本要領は、神戸市として統一的な考えのもと必要な取り組みができるよう、事業者として扱うこととされている地方公営企業の職員も含め、広く市全体の職員を対象としています。 障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、本要領を活用した研修や、啓発を通して、障害の特性を理解し、障害者に対して適切に対応してください。 なお、本要領は、国における見直しの動きや相談事例の集積、障害者その他関係者の意見を踏まえ、必要に応じて見直しや充実を図っていきます。 平成18年12月 国連において障害者権利条約が採択される 平成23年 8月 障害者基本法の改正(障害者差別禁止の基本原則を規定) 平成26年 1月 日本が障害者権利条約を締結 平成28年 4月 障害者差別解消法施行(平成25年6月制定) もくじ Ⅰ 障害者差別解消法とは p3 Ⅱ 不当な差別的取扱いとは p4 Ⅲ 合理的配慮とは p6 Ⅳ 行政機関の責務 p10 Ⅴ 事業者の責務 p11 Ⅵ 職員の責務 p12 Ⅶ 相談窓口 p13 Ⅷ 障害理解 p15 Ⅸ 環境の整備 p18 Ⅹ 職員の研修 p19 参考① 障害者基本法(抜粋) p20 参考② 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 p21 Ⅰ 障害者差別解消法とは 障害者差別解消法は、平成28年4月1日施行です。 (1)障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号) 障害者差別解消法は、すべての国民が障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現につなげることを目的として、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項や、国の行政機関、地方公共団体等及び民間事業者において、障害を理由とする差別を解消するために実施すべき措置などについて定めています。 (主な内容) ○政府の差別解消推進に関する「基本方針」作成義務 ○行政機関等における差別禁止 ○民間事業者における差別禁止 ○国や地方公共団体等の職員「対応要領」作成義務(地方公共団体等は努力義務) ○所管省庁による民間事業者のための「対応指針」作成義務 【参考】内閣府 障害を理由とする差別の解消の推進 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html 法の対象となる障害者は、障害者手帳をもっている人に限られません。 (2)対象となる障害者 対象となる障害者は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条第1号に規定する障害者、すなわち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害・高次脳機能障害を含む。)その他心身の障害(難病に起因する障害を含む。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」です。 したがって、障害は、社会における様々な障壁と相対することによって生じるという考え方(いわゆる「社会モデル※」)を踏まえており、法の対象とする障害者は、障害者手帳をもっている人に限られません。 ※「社会モデル」 障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生じるという考え方のこと。 「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮をしないこと」が差別となります。 (3)障害を理由とする差別 法が禁止する障害を理由とする差別は、不当な差別的取扱いと合理的配慮の不提供です。  Ⅱ 不当な差別的取扱いとは 「不当な差別的取扱い」とは、障害のない人と異なる扱いをすることです。 (1)不当な差別的取扱い(法第7条・第8条) 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否すること、提供にあたって場所や時間帯などを制限すること、障害者でない者に対しては付けない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することは、不当な差別的取扱いとして禁止しています。 (2)積極的改善措置 障害者割引の適用や各種手当の給付など、障害者に対する必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いとはなりません。 障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い、合理的配慮を提供するために必要な範囲でプライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、障害者の事実上の平等を促進し、または達成するために必要な特別の措置であり、不当な差別的取扱いにはあたりません。 (3)不当な差別的取扱いの事例 事務事業を行うにあたり、次のような対応をすることは「不当な差別的取扱い」となるおそれがあります。 以下に記載する事例は、あくまでも例示であり、これらに限られるものではありません。 また、記載した事例であっても、個別の事案ごとに判断する必要があり、客観的に見て正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しない場合があります。 ◆不当な差別的取扱いの事例 ○障害があることを理由に、窓口対応を拒否すること ○障害があることを理由に、対応の順序を後回しにすること ○障害があることを理由に、説明会やシンポジウム等への出席を拒むこと ○特に必要でないにもかかわらず、障害があることを理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりすること (出典)内閣府本府における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領 正当な理由がある場合は、差別にはなりません。 (4)正当な理由 正当な理由がある場合には、本法により禁止される不当な差別的取扱いには該当しません。 正当な理由となるのは、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが、客観的に見て正当な目的のもとに行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合です。 正当な理由があると判断した場合は、障害者にその理由を説明するとともに、理解を得るように心がけてください。 Ⅲ 合理的配慮とは 合理的配慮をしないことも、差別になります。 (1)合理的配慮の不提供の禁止(法第7条・第8条) 個々の場面において、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に、実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないように、合理的配慮を提供しなければなりません。行政機関は法的義務で、事業者は合理的配慮をするよう努めることとされています。 ①合理的配慮 合理的配慮とは、障害者が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために、障害者に対し、社会的障壁の除去を必要とする旨の意思の表明があった場合において、個別の状況に応じて行われる配慮をいいます。 合理的配慮は、事務事業の目的、内容、機能に照らし、必要とされる範囲内で本来の業務に付随するものに限られ、障害者でない者との比較において、同等の機会の提供を受けるためのものであり、事務事業の目的、内容、機能の本質的な変更には及びません。 ②社会的障壁 障害者が、日常生活や社会生活を送るには、さまざまな困難(社会的障壁)があります。 例えば、街なかに段差があると、車いすを使っている人は進めなくなります。文字が小さすぎたり漢字ばかりの書類だと、読みにくく理解しづらい人がいます。 また、制度や慣行、障害者に対する理解不足から生じる偏見などがあります。 (2)合理的配慮の具体例 合理的配慮は、障害の特性や求められる場面に応じて異なり、その内容は技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものですが、 ①物理的環境への配慮 ②意思疎通の配慮 ③ルール・慣行の柔軟な変更 の3類型に整理されています。以下に合理的配慮の具体例を記載しますが、過重な負担がないことを前提にした合理的配慮の例示であり、この他にも、個々の状況、場面に応じた配慮を行う必要があります。 【参考】内閣府 合理的配慮等具体例データ集 合理的配慮サーチ http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/ ①物理的環境への配慮の具体例 ○段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。 ○配架棚の高いところに置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。 ○目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 ○障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合、会場の座席位置を扉付近にする。 ○疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。 ○不随意運動等によって書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 ○災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて分かりやすく案内し誘導を図る。 ②意思疎通の配慮の具体例 ○筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。 ○会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。 ○視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 ○意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 ○駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。 ○書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。 ○比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や音喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明する。 ○障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。 ○会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある委員や知的障害を持つ委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。 ○会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行う等、可能な範囲での配慮を行う。 ③ルール等の柔軟な変更の具体例 ○順番を待つことが困難な障害者に対し、周囲の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。 ○立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 ○スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。 ○車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 ○他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。 ○非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。 ①~③(出典)内閣府本府における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領 障害者からの意思の表明には、さまざまな形態があります。 (3)意思の表明の手段 社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明については、言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他者とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられます。 (4)家族等からの意思の表明 障害者からの意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含まれます。 しかし、家族や介助者にのみ話しかけるのではなく、まずはご本人に向かって、ゆっくりとわかりやすく話をして意思を確認するようにしてください。その上で、ご本人が了承した場合は、家族や介助者から話を聞くようにしてください。 また、意思の表明がない場合であっても、障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明らかであるときは、行政機関や事業者は、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提供するために自主的に取り組むことが強く望まれます。 負担が過重である場合には、義務は生じません。 (5)過重な負担  個々の場面において、下記の考慮すべき要素に照らし、代替措置の選択を含め、建設的対話による相互理解を通じた柔軟な対応をお願いします。  総合的・客観的な考慮の結果、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するとともに、理解を得るように心がけてください。 ◆過重な負担の考慮要素  事務事業への影響の程度(事務事業の目的、内容、機能を損なうか否か)  実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)  費用負担の程度  事務事業の規模   Ⅳ 行政機関の責務 神戸市は行政機関等であり、差別禁止は、法的義務です。 行政機関等は、不当な差別的取扱いと合理的配慮の不提供が禁止されています。 ①行政機関等 行政機関等とは、国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人のことをいいます。 ただし、地方公営企業法第三章の規定を受ける地方公共団体の経営する企業は地方公共団体から除かれ、地方独立行政法人法第21条第3号に掲げる業務を行う「公営企業型独立法人」は地方独立行政法人から除かれます。 つまり、法の規定においては、交通局及び水道局と神戸市民病院機構は、行政機関等ではなく、事業者として扱われます。 (※ただし、この職員対応要領は、p12のとおり適用されます。) ②受託事業者等 事務の処理等を委託(指定管理者に公の施設の管理運営を行わせることを含む。)する場合、委託等を行う所管課は、受託事業者等が、当該事業の主務大臣が定める対応指針に沿って適切に対応できるよう、事業者に対して指導してください。   Ⅴ 事業者の責務 行政機関等と事業者の違い (1)事業者における差別禁止 不当な差別的取扱いをすることは、行政機関等も事業者も禁止されます。事業者における不当な差別的取扱いは、例えば、障害を理由とする入店拒否や、サービスの不提供などを指します。 また、障害者から日常生活や社会生活上の障壁の除去が必要である旨の意思の表明があった場合、事業者は、合理的配慮を行うように努めることとされており、事業者の自主的な取り組みが望まれます。 ①事業者 この法律でいう事業者とは、商業その他の事業を行う者のことをいい、営利・非営利、個人・法人は問いません。また、事業とは、反復継続して行われる同種の行為であり、対価を得ない無報酬の事業や社会福祉法人や特定非営利活動法人の行う非営利事業も含まれます。 ②民間事業者のための「対応指針」 主務大臣は事業者における差別禁止や配慮義務について、適切に対応するための「対応指針」を定めることとされています。(法第11条) 事業者は、その対応指針に基づいて個々の場面に対応することが求められます。 【参考】内閣府ホームページ 関係府省庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html 内閣府ホームページ 主務大臣(事業分野)相談窓口(対応指針関係)  http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/pdf/soudan/taiou_shishin.pdf 事業主としては、障害者雇用促進法が適用されます。 (2)改正「障害者の雇用の促進等に関する法律」(平成28年4月1日施行) 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で、自らが雇用する労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置(募集・採用時の応募者や採用後の職員への対応)については、障害者雇用促進法の定めるところによります。 国や地方公共団体など行政機関や事業者における差別禁止が実質的に実現されるための規定が盛り込まれています。 【参考】厚生労働省「改正障害者雇用促進法が施行されます」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html Ⅵ 職員の責務 この職員対応要領は、業務上、服務上の指針となります。 (1)対象となる職員の範囲 この職員対応要領の対象となるのは、常勤の特別職職員及び一般職職員(臨時的任用職員を含む。)と非常勤の職員です。 地方公営企業(水道局、交通局)の職員については、法においては、事業者として扱うこととされていますので、各事業の主務大臣が定める対応指針と、この職員対応要領に沿って適切に対応してください。 また、独立行政法人(神戸市立外国語大学・市民病院機構)についても、この職員対応要領を踏まえて対応してください。 (2)職員の責務 この職員対応要領は、市職員が職務を遂行するにあたっての、業務上、服務上の指針として定められるものであるため、市職員はこれを遵守してください。 (3)所属長の責務 所属長は、日常の業務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属の職員の注意を喚起し、障害に対する理解の促進に努めてください。 障害者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認し、不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供が確認された場合は、所属の職員に対して適切な対応を行うよう指導してください。 また、日頃から必要な環境の整備を図ってください。 Ⅶ 相談窓口 障害者差別に関する相談の内容によって、担当窓口が異なります。 (1)障害を理由とする差別の相談窓口 障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談は、その内容により、つぎの担当窓口で対応します。 相談全般は保健福祉局障害福祉課 神戸市(市職員)による差別(地方公営企業を含む)は当該事業の所管課(又は各局室区人事担当課) 神戸市以外の行政機関等による差別は当該行政機関の職員による差別の相談窓口 事業者による差別は当該事業者の所管省庁の相談窓口 個人による差別は差別解消法上は対象となりません。 ※事業者からの相談も、障害福祉課で受け付けます。 ①全般的な相談 保健福祉局障害福祉課は、障害者及びその家族その他の関係者などからの全般的な相談に応じるとともに、所管課等からの求めに応じ、障害を理由とする差別に関して必要な助言相談を行うこととします。 障害を理由とする差別に関する相談窓口 ①電話による相談(平日8時45分~12時、13時~17時30分) TEL:078-322-0310 ②FAXによる相談 FAX:078-322-6044 ③面談による相談(平日8時45分~12時、13時~17時30分 ※事前予約制) 場所 神戸市役所 保健福祉局 障害福祉課内 ④電子メールによる相談 メールアドレス syogai_sabetsu@office.city.kobe.lg.jp ②市の事務事業における差別に関する相談 市職員の対応や、市が管理する施設、市が実施する事務事業等における障害を理由とする差別に関する相談窓口は、当該事務事業を所管する課等となります。 ③各種窓口に寄せられる障害者差別に関する相談対応について 窓口で、障害者及びその家族その他の関係者などからの障害を理由とする差別に関する相談を受けた場合は、つぎのことに注意してください。 ・相談者の話を丁寧に聴き、何が問題で何が必要かについて充分に確認ください。 ・即時の対応が困難な場合や、過重な負担にあたると判断した場合は、代替手段がないか検討してください。 ・対応ができない場合は、その理由を説明し、理解を得るよう努めてください。 ・対応が困難なものや所管の相談窓口が分からないものについては、保健福祉局障害福祉課に相談してください。 事業者による差別の相談は、所管省庁の相談窓口で対応します。 (2)事業者による差別の相談 事業者による差別の場合、当該事務事業の所管省庁が相談窓口となります。 しかし、所管省庁の権限に属する事務について、報告の徴収、検査、勧告その他の監督に係る権限に属する事務の全部又は一部が法令の規定により、市長等が行うこととされているときは、障害者差別にかかる報告の徴収等の事務や相談なども、市の所管課が行うこととなります。市の相談窓口等に事業者による差別に関する相談が寄せられたら、所管課は、当該事務事業に関する権限が市に移譲されているかどうかを確認し、事業者に対する必要な助言や調整等の指導監督の協力をお願いします。その場合、各所管省庁が作成している対応指針に基づいて対応してください。 【参照】内閣府ホームページ 関係府省庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針   http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html 障害を理由とする差別を行った行為自体については罰則がありません。   障害者差別解消法に違反する行為自体については、罰則は規定されていません。 (3)罰則規定について ①違反に対する対応(事業者の場合) 主務大臣は、特に必要があると認める場合(障害者に対して差別行為を繰り返し行っていて、事業者自身による改善を期待することが困難な場合など)は、報告徴収、助言・指導、勧告を行うことが可能です。(法第12条) ②違反に対する対応(行政機関の場合) 行政機関等で差別行為が行われた場合には、行政不服審査法に基づく不服申立てや、行政機関等の内部における服務規律確保のための仕組みや行政相談等により是正を図ります。 Ⅷ 障害理解 障害といってもさまざまです。それぞれの特性の理解が必要です。 ◆肢体不自由 【特 性】 手や足、体幹に障害があります。歩行や座位、立位の姿勢保持に支障がある方、物を持ったり、文字を書くことが困難な方がいます。 車いすや杖を使われていたり、義足や義手の方もいます。 脳性まひのため、自分の意思とは関係なく身体が動く不随意運動をともなう方もいます。 ◆視覚障害 【特 性】 視覚的な情報を得にくい障害です。まったく見えない方、眼鏡等をかけても見えにくい方、見える範囲が狭い方、色の識別が困難な方など、障害の状況はさまざまです。 先天性の場合もありますが、最近は糖尿病性の網膜症などで視力低下をおこされる方も増えています。 視力をほとんど活用できない方の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報を手がかりに周囲の状況を把握されています。 文字の読みとりは、点字に加え、画面上の文字を読み上げるソフトを用いてパソコンで行う方もあり、点字が読み書きできる方ばかりではありません。 ◆聴覚障害 【特 性】 音声による情報を得にくい障害です。まったく聞こえない、聞こえにくい、片方の耳がよく聞こえないなど、障害の状況はさまざまです。 補聴器や人工内耳で聴こえを補っている方もいます。補聴器等は周囲の雑音も入るので、聞きとりにあまり効果が得られにくい場合もあります。 手話でコミュニケーションをとる方、ゆっくりはっきり話せば口話が可能な方もいます。(口話:口の形で言葉を読み取る方法。相手から口がまっすぐに見えるようゆっくりはっきりと話します。)   ※視覚と聴覚の重複障害(盲ろう) 見えにくさ、聞こえにくさ各々の障害程度と組み合わせはさまざまです。手書き文字や触手話、指点字などを利用される方もいます。 ◆言語障害(音声機能障害・言語機能障害) 【特 性】 咽頭等音声を発する器官に障害があるため、音声や発声、話し方に障害があります。ことばの理解や表現に障害があり、先天的な聴覚障害のために発話習得が不十分な場合や、脳血管疾患等による失語症等、障害の状況はさまざまです。 喉頭摘出により発声機能を喪失した方のなかには、食道発声法や電動式人工喉頭等を使用して会話をする方もいます。 ◆内部障害 【特 性】 病気等により内臓の働きが弱くなったり、損なわれたりする障害です。 心臓機能障害 心臓機能が低下した障害で、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状があります。ペースメーカーや人工弁を体内にうめ込んでいる方もいます。 腎臓機能障害 腎機能が低下した障害で、人工透析を受けている方もいます。人工透析は定期的に受ける必要があり、時間もかかるため、さまざまな負担がかかります。 呼吸器機能障害 呼吸器機能が低下した障害で、呼吸困難、息切れが生じます。酸素ボンベを携帯している方、人工呼吸器を使用している方もいます。 ぼうこう・直腸機能障害 膀胱や腸管の疾患により、排尿や排便のコントロールが困難な障害です。人工膀胱、人工肛門を造設している方もいます。 小腸機能障害 小腸の機能が損なわれ、食事による栄養維持が困難な障害です。定期的に静脈から輸液を補給している方もいます。 肝臓機能障害 肝臓の機能が損なわれた障害で、倦怠感が激しく、疲労しやすく、嘔吐や腹水がたまるなどの症状があります。 免疫機能障害 ヒト免疫不全ウィルスによって免疫機能が低下した障害で、さまざまな感染症に罹ったり、神経の障害が生じたりします。 ◆知的障害 【特 性】 おおむね18歳までの成長期に現れた知的機能の障害により、生活に支障が生じる障害です。考えたり、理解したり、読んだり、書いたり、計算したり、話したり等の知的な機能に発達の遅れが生じます。障害の程度により、知的な力はさまざまですが、複雑な話や抽象的な概念を理解しにくい、人に尋ねることや、自分の意思を伝えることが苦手な方もいます。 ◆精神障害 【特 性】 統合失調症、うつ病、アルコールや薬物依存症等の精神疾患のために、日常生活や社会生活に支障が生じる障害です。統合失調症は、幻視、幻聴、妄想が現れたり、その後意欲が低下したり、疲労感が濃くなったりします。 ストレスに弱い方や対人関係やコミュニケーションが苦手な方が多く、周囲の言動を被害的に受けとめやすい傾向があります。また、同じ質問を繰り返したり、つじつまのあわないことを一方的に話し続ける方もいます。 ◆発達障害 【特 性】 脳の機能障害によって生じるもので、自閉症等の広汎性発達障害や注意欠陥多動障害、学習障害等があります。 自閉症・アスペルガー症候群・その他の広汎性発達障害 社会性・コミュニケーション力が低く、興味や関心の範囲が狭く、パターン化した行動やこだわりが強いなどの特徴があります。 注意欠陥多動障害 集中できないため、不注意によるミスが多く、じっとしていることが苦手で動き回るなどの特徴があります。 学習障害 話したり、理解することは普通にできるのに、読む、書く、計算するなどの特定の事柄が極端に苦手です。 ◆難病 【特 性】 原因が究明されておらず、治療法が確立していない疾病で、神経筋疾病、骨関節疾病、感覚器疾病などさまざまな疾病により、いろいろな障害が生じます。常に医療的対応を必要とし、病状や障害が進行する場合が多いです。 Ⅸ 環境の整備 (1)環境の整備と合理的配慮の関係 個々の障害者に対して合理的配慮を適切に行うため、バリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス、円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等の環境の整備に努めることが求められています。(法第5条) 合理的配慮は、このような障害者等の利用を想定して事前に行われる環境の整備を基礎として、そのうえで、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置です。つまり、合理的配慮はその場での対応であり、環境の整備は事前に行われる対応です。 また、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合や、当該障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度合理的配慮の提供を検討するのではなく、不特定多数の障害者を対象とした環境整備を行うことで効率的に対応できる場合があります。 (2)環境の整備の事例(印刷物・インターネット・問い合わせ先) ◎理由がない限り、○できるだけ、△多くの障害者から配慮を必要とすることが見込まれる場合、つぎのような環境の整備を行ってください。 ①印刷物 ◎わかりやすい日本語で表現する。 ◎図や表を用いる場合は、文章で説明書きを入れる。 ◎難しい漢字にはルビをつける。 ○背景と文字のコントラストを十分に確保する。 △音声コードをつける。 △点字版や拡大版を用意する。 △音声版(デイジー版)を作成する。 ②インターネット ◎神戸市ホームページ作成ガイドラインに則ってホームページを作成すること。 【神戸市ホームページ作成ガイドライン】  http://www.city.kobe.lg.jp/other/arukikata/webaccessibility/guideline/ ※CMS操作は「はじめてのCMS」3章-6ホームページ作成の基本ルールを参照  http://kcms.cms.city.kobe.lg.jp/manual/pdf/99_hajimeteno_cms.pdf ③問合せ先 ◎電話番号だけでなく、ファクス番号やメールアドレスも記載する。 ◆点字 ・全盲の人等が指先の触覚により読解する記号文字です。 ・縦3点横2列の6つの凸状の点の組み合わせにより、五十音や数字、アルファベット、記号を表します。漢字はありません。 ・点字を知らなくても、自動点訳ソフトを使って活字を点字に翻訳し、点字プリンタで印刷することができます。 ・点字が読める人の割合は視覚障害のある人の1割程度と言われていますが、点字は重要な情報伝達手段であり、点訳の要望があれば極力対応してください。 ・点訳する場合、表や写真等にはできるだけ説明文を入れてください。省略する場合は、その旨の注意書きを付けてください。 ◆拡大文字 ・弱視の人が読めるように通常の文字を拡大したものです。 ・文字の大きさは、学校の拡大教科書では、22ポイントを基準に、18ポイントから26ポイント(低学年では、26ポイントを基準に22ポイントから30ポイント)程度とされています。 ◆音声コード ・目の不自由な人が利用するツールです。 ・印刷物に掲載されている情報をデジタルに変換したもので、18ミリ四方の大きさに約800文字のテキストデータを格納しています。 ・専用ソフトをインストールすれば、ワードで作成したテキストを音声コード化することができ、一般的なレーザープリンタで出力できます。 ・専用の活字文書読み上げ装置で、音声コードを読むと、音声で情報を読み上げてくれます。 Ⅹ 職員の研修 障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、必要な研修を行います。 新規採用職員研修等の機会を通じて、職員一人ひとりの障害に対する理解と、障害者差別解消法の趣旨の理解を深めます。 すべての職員が、障害のある人に対し、共感をもって、常に何が求められているかを意識して、柔軟で丁寧な対応をめざします。  参考①  障害者基本法(昭和45年法律第84号、平成16年改正)<抜粋> (差別の禁止) 第4条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 参考②  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25 年法律第65 号) 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 三 行政機関等 国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。第七号、第十条及び附則第四条第一項において同じ。)及び地方独立行政法人をいう。 四 国の行政機関 次に掲げる機関をいう。 イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関 ロ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうちニの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) ハ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(ホの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) ニ 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの ホ 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政 令で定めるもの ヘ 会計検査院 五 独立行政法人等 次に掲げる法人をいう。 イ 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。ロにおいて同じ。) ロ 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの 六 地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人(同法第二十一条第三号に掲げる業務を行うものを除く。)をいう。 七 事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 (国及び地方公共団体の責務) 第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。 (国民の責務) 第四条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 第六条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。 5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。 6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。 第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 (国等職員対応要領) 第九条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対応要領」という。)を定めるものとする。 2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 3 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 4 前二項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。 (地方公共団体等職員対応要領) 第十条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 3 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。 5 前三項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。 (事業者のための対応指針) 第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。 2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告) 第十二条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。 (事業主による措置に関する特例) 第十三条 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の定めるところによる。 第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 (啓発活動) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。 (情報の収集、整理及び提供) 第十六条 国は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、国内外における障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (障害者差別解消支援地域協議会) 第十七条 国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(以下この項及び次条第二項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。 2 前項の規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。 一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体 二 学識経験者 三 その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認める者 (協議会の事務等) 第十八条 協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関する協議を行うものとする。 2 関係機関及び前条第二項の構成員(次項において「構成機関等」という。)は、前項の協議の結果に基づき、当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を行うものとする。 3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等が行う相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関し他の構成機関等から要請があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等に対し、相談を行った障害者及び差別に係る事案に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。 4 協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。 5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 (秘密保持義務) 第十九条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (協議会の定める事項) 第二十条 前三条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 第五章 雑則 (主務大臣) 第二十一条 この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。 (地方公共団体が処理する事務) 第二十二条 第十二条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることができる。 (権限の委任) 第二十三条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。 (政令への委任) 第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。 第六章 罰則 第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。 附 則 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次条から附則第六条までの規定は、公布の日から施行する。 (基本方針に関する経過措置) 第二条 政府は、この法律の施行前においても、第六条の規定の例により、基本方針を定めることができる。この場合において、内閣総理大臣は、この法律の施行前においても、同条の規定の例により、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた基本方針は、この法律の施行の日において第六条の規定により定められたものとみなす。 (国等職員対応要領に関する経過措置) 第三条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、この法律の施行前においても、第九条の規定の例により、国等職員対応要領を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた国等職員対応要領は、この法律の施行の日において第九条の規定により定められたものとみなす。 (地方公共団体等職員対応要領に関する経過措置) 第四条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、この法律の施行前においても、第十条の規定の例により、地方公共団体等職員対応要領を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた地方公共団体等職員対応要領は、この法律の施行の日において第十条の規定により定められたものとみなす。 (対応指針に関する経過措置) 第五条 主務大臣は、この法律の施行前においても、第十一条の規定の例により、対応指針を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた対応指針は、この法律の施行の日において第十一条の規定により定められたものとみなす。 (政令への委任) 第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 (検討) 第七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、第八条第二項に規定する社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の在り方その他この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。 (障害者基本法の一部改正) 第八条 障害者基本法の一部を次のように改正する。 第三十二条第二項に次の一号を加える。 四 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号) の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。 (内閣府設置法の一部改正) 第九条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。 第四条第三項第四十四号の次に次の一号を加える。 四十四の二 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)第六条第一項に規定するものをいう。)の作成及び推進に関すること。  保健福祉局障害福祉部障害福祉課 電話:322-6579(内線3217)