チョッパ制御って?

最終更新日
2006年11月8日

チョッパ制御

直流電動機を回す場合、トルク(回転力)を自由に制御するためには、電動機(或いは電動機の回転子コイル)に流れる電流を制御します。架線の電圧は1500Vで決まっていますから、何らかの仕掛けで電流を増減させる必要があります。その「仕掛け」のことを「制御装置」と呼びます。

直流電動機の制御装置として、古くから「抵抗制御」という方法が使われてきました。これは直流電動機に抵抗器を直列接続し、「オームの法則」を利用して直流電動機に流れる電流を絞ってやるものです。抵抗器の抵抗値を変化させることで、自由に電流を変化させることができます。

「抵抗制御」の欠点は、ロス(無駄・損失)が多いことです。抵抗器を電流が流れることで余分な熱が発生します。発生した熱は大気中に捨ててしまうので、その分のエネルギー(元は電気エネルギー)を丸ごと捨ててしまうことになります。また、特に地下鉄の場合、トンネルの中を走るので、この熱がトンネルの温度を上昇させる原因にもなってしまいます。

「チョッパ制御」はこの問題を解決する制御方法の一つです。簡単なモデルで説明すると、原理は以下のとおりです。

電源(1500V)にスイッチを介して、直接直流電動機をつなぎます。今、この状態でスイッチを入れると、急激に電流が流れだし、電動機は最大のトルクで回りだします。このまま放っておくと、あっという間に回転数が上がってしまいますが、ここですぐにスイッチを切ります。すると電流が切れて電動機は止まろうとします。(実際には、フライホイールダイオードやフィルタリアクトルを組み合わせた回路になっていて、電流は切れずに緩やかに減少するのですが、説明を簡単にするためここでは割愛しています。)ここで再びスイッチを入れると、また回りだします。これを目に見えないほど速く繰り返すと、電動機は、ある回転数、トルクで落ち着いて回ることになります。スイッチを入れている時間と切っている時間の比率を変えれば、自由にトルクを変化させることもできます。

これが「チョッパ制御」の基本原理です。

「目に見えないほど速く繰り返す」スイッチは、普通の機械的なスイッチでは持ちこたえられませんから、サイリスタやGTOといった「半導体スイッチ」を使います。

チョッパ制御では「抵抗」ではなく「スイッチ」を用いて電流をコントロールするので、理論的にはロスを発生しません。(実際には半導体スイッチや周辺部品に付随するわずかな抵抗等のためロスがありますが、抵抗制御に比べると桁違いに小さい。)ですから、 抵抗制御に比べ、特に加速時のエネルギー利用効率が劇的に改善されます。