第10回 スマ!スマ!スマ!

先月の話になるが「須磨浦山上おんがく祭」という楽しそうなイベントがあったので、妻子を伴って出かけた。会場は須磨浦山上遊園の「ふんすいランド」…てどこやねん。インターネットで経路を調べると、会場に行くまでにロープウェイ? カーレーター? 観光リフト? で全部で1800円(往復料金)もかかんのかよ! と驚いたが、ここまで行きづらい場所に設定されてはこちらも意地になって目指したくなる。それで当日、電車とロープウェイとカーレーターと観光リフトに運ばれて会場に辿り着き、結果的には山上遊園全体を満喫出来たわけだが、ここ、まだ行った事のない人は絶対に行っとかないと損だ。私はたまたま音楽祭がきっかけで行く事が出来たが、普段は別にイベントをやっているわけでもなく、関西在住の方でも須磨浦山上遊園を知らない(知っていても行った事がない)人は多いのではないだろうか。摩耶山のケーブルカーとロープウェーに乗って掬星台(山上の展望台)からの眺めを見た時にも驚いたが、ロープウェイ、カーレーター、リフトの乗り物コンボとそこからの眺めにはさらに衝撃を受けた。神戸にはまだこんな天国があんのかよ。

話変わって、私はこれまで昼酒という行為の魅力がどうにもわからなかった。しかし幼い子供がいると夜に飲み歩く生活は封印せざるを得ないので、明るいうちに軽く飲むしかなく、そうすると案外これも良いものだなと思えてくる。昼間から酒を飲み始めると夕方以降には酔いもさめていて、そのまま水かお茶だけを飲んで寝てしまえばまるで酒など飲まなかったかのように翌日がさわやかだ。これまで私が実践していた、夜に酒場で飲み家に帰ってさらに寝酒をして翌朝最悪にダリいな、となる飲酒不健康法よりもよほど健康的ではないか。これからの季節だと若干の酔いのなか、汗ばんで町を徘徊するのが気持ちよく、(話を戻して)とにかく私は音楽祭から帰った2日後にはもう、アウトドア用のボトルに氷をたくさん入れそこに安い白ワインを注ぎ込んで保冷ボックスに収納し、子供を肩車して家を出たのである。そう、須磨浦山上遊園に初めて降り立った日から私はこの地で眠る平敦盛に再訪を約束していた。この場所は最強の昼酒ロケーションである。おとうさん、の、の、飲みたくて手がふるえてくらあ!

須磨浦山上遊園(……うっとり)。
場所は山陽電車の須磨浦公園駅を降りてすぐ。隣にロープウェイの乗り場があり、自動券売機でチケットが買える。すべての乗り物が往復で利用出来るAコース(1800円)がおすすめだが、「高えな!」と感じた人は行き先を変えて目の前の海で泳げばタダである。ロープウェイだけの利用(片道450円)、カーレーターだけの利用(片道200円)、観光リフトだけの利用(片道400円)も出来るので、好きなポイントでハイキングと乗り物移動を切り替える事も可能だ。幼い子供と生活していると行動が極端に制限されるので色々な事をあきらめてしまいそうになるけれど、がんばって一歩踏み出したらこういう景色が見れるんだなと思った。歩かなくても乗り物が山上までエスコートしてくれるので、「赤ちゃんがいるからどこにも遊びに行けないなあ」と困っている人にもぜひ気分転換で行ってほしい所です。カーレーターを降りた先にある回転展望閣の2階には授乳室もある。

須磨浦山上遊園はその素晴らしさにも関わらず、お世辞にもにぎわっているとは言えない。個人的な希望だけで言えば現状の人がいない贅沢すぎる環境が維持されていた方がうれしいのだが、第5回の記事を書く時に摩耶ビューラインの事を調べていたら、ほんの数年前にはここのケーブルカーに廃止話が持ち上がっていた事を知り(それをなんとか地元の方々の努力で食い止めたという成り行きも知って)、須磨浦山上遊園の乗り物たちもけっこうすいているけど大丈夫だろうか、誰もいないぜラッキー! なんて無邪気に思っていても良いんだろうか、と心配になった。第8回でも書いたけれど、私たちが愛する場所はいとも簡単になくなってしまう。ここの乗り物は100年200年先も稼働していてほしい…。とまあ、つまりはそれだけ最高だったというわけで、私は須磨浦山上遊園をこれからは私設酒場にして、1人で勝手に応援して行こうと決めた。炎天の中、溶けた氷のしずくが腕を伝う。なあ子供よ、きみが大きくなったらここで好きな人と酒を飲んでくれ。そんな事を思いながら私は絶景を眺め、ワインをちびちびと飲むのである。やっぱり誰にも知られたくないような……。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

いちおうの注意事項:歩く場合は山道だし、リフトに乗ったりもするので、決して深酒はしないで下さいね。乗り物の最終時刻表は絶対に調べて、事故にだけは気をつけて下さい。あとカーレーターは乗り心地の悪さが名物というくらい振動がすごいので妊婦さんは厳しいかも…。そして観光リフトは3歳以上の子供は1人乗りになってしまうので(3歳未満は抱っこひも着用)、小さいお子さんがこわがった場合はリフト部分が15分ほどの軽いハイキングになります(この道は起伏も少なく木漏れ日が美しいので歩くと楽しいです)。須磨浦山上遊園、子供から大人まで楽しめる場所なので、お酒なんて関係なくぜひ行ってみてください!

関連リンク:須磨浦山上遊園のホームページへ


文と写真 平民金子

写真を撮ったり文章を書いたりしています。1975年生。東京か大阪かメキシコにいましたが、現在は神戸在住。


神戸市広報課より

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(掲載内容は2017年7月12日現在の情報です)

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