様々な分野の大規模科学技術計算を行うための超高速処理を可能にするよう設計されたコンピュータを、一般に「スーパーコンピュータ (略して「スパコン」)」と呼んでおり、その時代の一般的なコンピュータに比べてはるかに高い性能、概ね1,000倍以上の計算処理速度を有するコンピュータを指すとされています。
シミュレーションとは、対象とするシステムをモデル化し、そのモデルに基づいた方程式をコンピュータで解くことによって、そのシステムの挙動を調べたり、将来の挙動の予測をしようとすることを言います。
シミュレーションは、「理論」、「実験」と並ぶ、科学技術の第3の方法として、最先端の科学研究やものづくりに欠かせないものとなっており、近年、その重要性・必要性はますます高まっています。
例えば、「地球温暖化で50年後の世界各地の平均気温が現在より何度上がるのか」という未来の予測は、シミュレーションでなければ不可能です。また、処理するデータ量が膨大なため、スパコンでなければ(普通のパソコンやサーバ機では)計算できません。
スパコンの性能向上に伴い、非常に幅広い分野で、実験ができないことや、理論で解決できないことが、シミュレーションによって初めて解明されることが期待されています。
青少年向けの分かりやすく詳しい解説は、『ハロー!スパコン』(理化学研究所) をご覧ください。
スーパーコンピュータの最新世界ランキングは、その計算性能を測定した結果を基に、世界上位500位までランキングしたもの(TOP500)で、毎年6月及び11月に更新されます。2011年11月現在の最新ランキング状況は以下のとおりです。
世界最速は、神戸のスパコン「京(けい)」(理化学研究所が開発中)で、前回6月に続き、2期連続で世界第1位を獲得しました。1秒間の計算能力は約10.5ペタフロップス(1ペタ・フロップス=1秒間に1,000兆回の計算性能)を達成しています。
TOP10には、第2位に約2.6ペタフロップスの中国の天津国立スーパーコンピュータセンターのスパコン「天河1号A」がランクインするほか、米国製のスパコンが5台、それ以外に日本、フランスのスパコンがランクインしています。
日本では、東京工業大学のスパコン「TSUBAME2.0」(NEC/HP製)が前回に引き続き、世界第5位を獲得しています。以降、第28位に国際核融合エネルギー研究センターのスパコン、第52位に日本原子力研究開発機構のスパコン、第72位に東京大学物性研究所のスパコン、第94位に(独)海洋研究開発機構の「地球シュミレータ」、さらに第95位に北海道大学情報基盤センターのスパコンが続いています。(写真は現在開発中の京速コンピュータ「京」)
世界ランキングについての詳細は、『TOP500 Supercomputer Sites(英語)』 をご覧ください。
全国にある大規模なスパコンにおいては、産業利用(民間企業がスパコンを利用してシミュレーション解析を行って、その成果を自らの企業活動に還元する)が進められています。以下に、その事例のうち、ものづくり分野での例を紹介します。
自動車を非常に細かい精度までモデル化(コンピュータ上で作成)した上で、スパコン(地球シミュレータ)を用いて衝突シミュレーションを行い、実際の車両による衝突実験の結果に非常に近い再現に成功しました。
衝突実験用の実車の製作費は1台当たり数千万円かかり、かつ衝突実験を何十回も繰り返さないと安全な設計が出来ないと言われており、シミュレーションによって開発コストと時間の大幅な低減が期待されています。((独)海洋研究開発機構と(社)日本自動車工業会との共同研究)
SPring-8(兵庫県の播磨科学公園都市にある大型放射光施設)と、スパコン(地球シミュレータ)を活用して、安全性能と省燃費性能とのどちらも大幅に向上させる、次世代タイヤ材料の研究開発を行っています。(住友ゴム工業(株)による研究)
全国のスパコンにおける産業利用は、ものづくり分野だけでなく、ライフサイエンス、ナノテクノロジーなど幅広く行われています。産業利用に関して詳しくは、企業研究者向けに公開されています。