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第20回アニメーション神戸
第20回アニメーション神戸

第20回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品

世界的に評価が高い国内の商用アニメーションについて、優れた作品やクリエイター、また長年にわたってアニメーション業界に貢献した方などを表彰する「アニメーション神戸賞」各賞の受賞者・受賞作品が決定しました。

「第20回アニメーション神戸 審査委員会」委員(敬称略・順不同)

委員長 松下 俊也 (株)徳間書店 アニメージュ編集部 統括編集長
委員 櫻井 孝昌 国際オタクイベント協会事務局長 コンテンツメディアプロデューサー
馬渕 悠 (株)学研プラス メディア事業部 アニメ事業室 メディアチームサブリーダー アニメディア編集長
水野 寛 (株)KADOKAWA コミック&キャラクター局 第 3 編集部
ニュータイプ/ボイスニュータイプ編集部 編集長
志水 達也 神戸市企画調整局デザイン都市推進部長

■審査委員会の総評(審査委員長 「アニメージュ」統括編集長/松下 俊也)

2006年に震災復興を掲げてスタートしたアニメーション神戸も、今年で第20回。この記念すべき年を飾るのにふさわしい授賞ラインナップを選ぶことができたと、審査委員一同、自負しております。この20年の間に、アニメーションを取り巻く環境もずいぶん変わりました。ただ、それは「変化」というより「成熟」と呼ぶほうがしっくりくるような気がします。第1回の作品賞(劇場部門)が『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』で、今回の作品賞が『攻殻機動隊 新劇場版』なのが、それを象徴しています。ソフトの主流はDVDからBlu-rayになり、タブレットやスマートフォンでアニメを視聴するユーザーも増えました。彼らはテレビ放送以外に配信サービスを活用しています。この成熟期を超えたとき、果たしてアニメーション業界がどうなっているのか。その新時代にアニメーション神戸が担うべき役割は、きっとこれまでとは違ったものになっているでしょう。

個人賞 | 水島 精二 (監督)

水島 精二

東京都出身。東京デザイナー学院卒業後、東京アニメーションフィルムに入社。退社後、サンライズで制作進行、スタジオファンタジアで演出助手を担当。その後、ゲームメーカーの株式会社セタに入社。未発表のゲームのムービーで初演出。退社後フリーとなり「エヴァンゲリオン」や「スレイヤーズ」などに演出で参加。「ジェネレイターガウル」(1998年) で監督デビュー。

主な監督作品に「地球防衛企業ダイ・ガード」(1999-2000)「シャーマンキング」(2001-2002)「鋼の錬金術師」(2003-2004)「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」(2005)「大江戸ロケット」(2007)「機動戦士ガンダム00」(2007-2009)「はなまる幼稚園」(2010)「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」(2010)「UN-GO」(2011)「UN-GO episode:0 因果論」(2011)「夏色キセキ」(2012)「楽園追放 -Expelled from Paradise-」(2014)「うーさーのその日暮らし 夢幻編」(2015)「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」(2015)がある。


■ 授賞理由:審査委員「アニメディア」編集長/馬渕 悠

水島精二監督が手掛けるアニメーション作品において、常に指向されていたのは「イノベーション(革新)」ではないでしょうか。昨年11月公開の『楽園追放 -Expelled From Paradise-』はフルCGアニメーション。メカアクションはもちろん、主人公・アンジェラが持つ実直な可憐さは、逆にフルCGでなければ描けないほど精緻な“革新技術”でした。とにかくアンジェラはかっこよくて、かわいかった……。2015年夏放送の『うーさーのその日暮らし 夢幻編』12話では、謎の黄色い動物“うーさー”の魅力を、紙を使わない完全デジタル作画で顕在化させていました。新しいことをする――しかもそれをアニメーション制作において実行するのは並大抵の決意ではできません。水島監督は『鋼の錬金術師』『機動戦士ガンダム00』の制作時より、頻繁に作品関連イベントに足を運び、アニメファンとの“対話”を経て、新しい価値を創出する努力をされていたように思います。まさしく、水島精二という人物はアニメ界の“イノベイター”であると言えるでしょう。

特別賞 | 安彦 良和 (漫画家、アニメーター、アニメ監督)

安彦 良和

北海道出身。弘前大学を中退後、アニメーターとして虫プロダクションに入社。1973年にフリーとして独立後、「機動戦士ガンダム」(1979‐1980)のキャラクターデザインや作画監督を担当するなど数多くのアニメ作品に携わる。1989年からは専業漫画家として活動を始め、活躍の場を漫画に移すなか、原作を作成した「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」(漫画:2001‐2011、アニメ:2015~)においては、映像化作品のキャラクターデザイン、総監督として25年ぶりにアニメ現場に復帰。携わった主なアニメ作品には、「勇者ライディーン」(1975‐1976)、「超電磁ロボ コン・バトラーV」(1976‐1977)、「巨神ゴーグ」(1984)などがある。2006年から2015年3月までの間、神戸芸術工科大学の教授を務めた。


■ 授賞理由:審査委員 国際オタクイベント協会事務局長/櫻井 孝昌

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」で安彦良和氏が25年ぶりにアニメに復帰されたことは、本年度のアニメーション業界における大きな感動だった。「機動戦士ガンダム」などの作品で安彦氏がアニメーターとして創り出したものは、現在の日本のアニメに深く血として流れているからだ。アニメの底知れない魅力に気づいた少年少女たちが、食い入るようにテレビ画面に見入るようになったのは、「機動戦士ガンダム」が本格的な始まりだったのではないだろうかと、いま改めて思う。その後、アニメ業界を離れた安彦氏は、漫画家として数々の名作を生み出していくことになるが、アニメファンたちが「アニメーター安彦良和」を忘れることはその間もいっさいなかったと思う。アニメーション神戸の20回目という節目の年に、安彦良和氏がアニメの現場に帰ってこられたことに、改めて感謝の気持ちを特別賞という形で送らせていただきたい。

作品賞 | SHIROBAKO

SHIROBAKO
©「SHIROBAKO」製作委員会

シロバコとは映像業界で使われる白い箱に入ったビデオテープの事であり、ひとつの作品が完成した際に、制作者が最初に手にする事が出来る成果物である。イラストや写真等で華やかに作られている販売用パッケージと比べれば、白い箱に入っただけのテープは地味かもしれない。しかし、そこにはクリエイター達の想いが詰まっている。

この物語は、5人の夢追う女の子を中心に、シロバコの完成を目指し奮闘するアニメ業界にスポットを当て、日々起こるトラブルや、クリエイティブな仕事ゆえに起こる葛藤や挫折、集団で作るからこそ起こる結束や衝突といったアニメ業界の日常を描いた群像劇作品である。

そして、5人が共に目指した夢への挑戦。その先に見出す希望へと続くサクセスストーリー。

そう、アニメの今がここにある・・・


■ 授賞理由:審査委員「ニュータイプ」編集長/水野 寛

「SHIROBAKO」はともすれば作り手の内輪受けになってしまいそうなテーマですが、作品の世界観、キャラクターの設定などが今のアニメーション業界だけでなく、今の時代や視聴者の空気ともリンクしていて、働くということについても、普遍性のあるエンターテイメントに仕上がっていたからこそ、これだけの人気となったのだと思われます。またアニメーション制作の流れを丁寧に描きこむことで、アニメ業界への憧れをもつ若い人たちにもとても興味深い作品になっていました。考えてみると「SHIROBAKO」のようなテーマは、人気が出たからといって後追いをしようにも、あきらかに真似になってしまうので、そういった意味でも今後しばらくは唯一無二の作品として語り継がれていくのではないでしょうか。ストーリーの想像はつかないですが劇場版も見てみたいです!

作品賞 | 攻殻機動隊 新劇場版

攻殻機動隊 新劇場版
© 士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊 新劇場版」製作委員会

情報ネットワークとサイボーグ技術が発達した近未来、電脳犯罪を追う女性サイボーグ・草薙素子率いる攻性の独立部隊、通称“攻殻機動隊”――。本作『攻殻機動隊 新劇場版』は原作生誕25周年記念作品として2015年に公開された劇場長編アニメーション。原作コミックはSF漫画家・士郎正宗が1989年に発表。1995年には押井守監督が劇場長編アニメーション『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を発表し、SF映画に多大な影響を与えた。その後、神山健治監督によるTVアニメーション『S.A.C.』シリーズが2002年から展開。2013年からは、「第4の攻殻」として位置づけられた黄瀬和哉総監督によるOVA『ARISE』シリーズがスタート。後の攻殻機動隊メンバーが、様々な事件をきっかけに独立部隊に集結していくエピソードゼロを描いた。『新劇場版』では『ARISE』で集結した草薙たち独立部隊が、現職の総理暗殺という前代未聞の事件を追い、原作コミックとの“結節点”が描かれる。


■ 授賞理由:審査委員 神戸市デザイン都市推進部/志水 達也

アニメーション神戸賞は今回で20回目をむかえ、攻殻機動隊の作品をはじめ、これまで様々なアニメーションを表彰してきましたが、本作品においては神戸市役所内でのバーチャルな公安9課の設立やWEBコンテンツの作成など、神戸との連携によって多様なプロモーションが展開されており、震災後、神戸の地からアニメーション文化を発信することを目指して始まったアニメーション神戸の目的をまさに遂行する、アニメーション神戸賞としてふさわしい作品といえると考えます。公安9課が結束していく姿やかっこいいアクションをわくわくしながら見させていただきました。今後も、このようなすばらしい作品が神戸で展開されることを期待したいと思います。

主題歌賞 (ラジオ関西賞) | 「ジョジョ その血の記憶~end of THE WORLD~」

ジョジョ その血の記憶~end of THE WORLD~
© 荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険SC製作委員会

■ 授賞理由:ラジオ関西「青春ラジメニア」パーソナリティ/岩崎 和夫

百花繚乱のアニメ主題歌。そのアニメの為の歌でなければ、と言っていたのは今は昔。その上でファンの心に残るとなると、随分ハードルが高いものになってきました。ジョジョの奇妙な冒険の主題歌は、第一作から大河ドラマにふさわしい重厚さでファンの心をつかみ、物語と共に進化してきたように思います。ドラマに絡んだ仕掛けなど、今の主題歌の理想形ではないでしょうか。アニメを思いながら歌い上げる、原点でもある素晴らしい主題歌です。



■ 審査対象・基準

○ 個人賞
平成26年9月から平成27年7月の期間中に、日本でアニメーションの制作にかかわり、アニメーションの創作活動を豊かにし、斬新な表現や独創的な活動などを行うことによって今後の活躍が期待できる個人などに与えられる。

○ 特別賞
長期にわたる活動によって日本のアニメーション界に貢献した個人・団体などに与えられる。

○ 作品賞
平成26年9月から平成27年7月の期間中に、日本の劇場、地上波テレビ、衛星放送、CATV、Webなどで上映・放送された商用アニメーション作品(ただし、再放送を除く)。また、アニメーションを効果的に活用したゲーム作品、ビデオディスク作品、携帯電話向け動画などの商用コンテンツも対象とする。
表現手法として、セルアニメーション、クレイアニメーション、3DCGアニメーション、またはそれらを複合的に利用した手法など表現手法は限定しないが、エンターテインメント作品に限る。高い作品性、企画の新規性、オリジナル性、デジタル技術の応用などの新しい試みによる市場創造性を有する作品を特に高く評価する。また、国内制作・海外制作を問わないが、国内の人材育成に寄与する作品をより高く評価する。

○ 主題歌賞 (ラジオ関西賞)
平成26年7月から平成27年6月の1年間に、公開されたすべてのアニメーション作品の主題歌・挿入歌・ エンディング曲などを対象とする。
アニメーション作品の中の一部で使用された曲や劇中曲、インストゥルメンタル曲、ゲームソフトの主題歌なども含む。一般投票を行い、得票数の多い5作品をノミネート作品とし、その中から実行委員会で決定する。そのアニメーション作品のために作られ、作品との相乗効果が高く、視聴者の心に強く訴えかける楽曲をより高く評価する。