神戸市-KOBE-


世界初!微生物を活用した貯水池の「カビ臭抑制実験」に成功

記者資料提供(平成30年11月8日)
神戸市水道局事業部水質試験所

世界初!微生物を活用した貯水池の「カビ臭抑制実験」に成功

〜神戸市水道局の高い技術で 世界の環境問題に貢献します〜

 神戸市では、水道水源の貯水池で問題となるカビ臭対策のため、環境にやさしい微生物の力を活用し、カビ臭の発生源となる植物プランクトン「アナベナ」を抑制するため方法を研究してきました。
 このたび、烏原貯水池(兵庫区)において、世界で初めてとなる水草を用いたアナベナの増殖に関する実証実験が成功しましたので、お知らせいたします。
 今後はさらに実証実験・検証を繰り返し、水草の植栽方法や環境への影響などについて検討を行うとともに、実用化をめざし、世界の環境問題への貢献を図ります。

1 背景

(左写真)烏原貯水池における実証実験の様子(右写真) 実験容器内の水質測定の様子 近年、水質汚染や温暖化により、植物プランクトン(アナベナ)の増殖に伴うカビ臭(異臭味)の発生が世界中で課題となってきています。
 神戸市においては、取水方法の工夫や技術的にカビ臭を除去することで、常に安心・安全な水道水を供給しておりますが、今後地球温暖化の進行に伴い、市内でもアナベナの増殖や、世界中で同様の被害が拡大することが懸念されるため、市として独自に研究を進めてきました。

2 実証実験(結果)

烏原貯水池における実証実験結果(平成30年10月3日〜12日) 平成30年9月から10月にかけて烏原貯水池において、水草(ササバモ)を使ってアナベナの増殖に対する抑制効果を検証する世界初の実証実験を行いました。

 その結果、水草を植えていない容器では、アナベナは増えた一方で、水草を植えた容器ではアナベナが微生物によって分解され、ほとんど増えませんでした。
 これらの結果から、『実際の貯水池においても水草があれば、アナベナの増殖及びカビ臭を抑制できる』ことが実証できました。

3 実験に至るまでの取り組み

 今回の実証実験の成功に至るまで、神戸市では数多くの研究と発見を重ねてきました。
 特に平成26年4月から30年3月までは、水質試験所の職員が海洋の赤潮プランクトンの増殖を制御する微生物の研究の第一人者でおられる北海道大学大学院の今井一郎教授(現名誉教授:琵琶湖博物館特別研究員)の研究室に社会人博士課程として入学し、指導を受けながら研究を行いました。卒業した現在も今井名誉教授の指導の下、研究を継続しています。

(1)「有用微生物」発見のきっかけ【平成16年】

 水質試験所での日常の顕微鏡検査において、アナベナの減少期に、多数の細菌(=有用微生物)が付着・分解している様子を確認しました。細菌がアナベナの生育に影響を与えていると推察され、後の研究における重要な発見となりました。

(2)研究に用いるアナベナの無菌培養に成功【平成22年】

通常のアナベナ(特殊な染色液で染色)矢印:細菌 無菌状態のアナベナ 続いて、研究に必要な「無菌状態のアナベナ」を世界で初めて作成することに成功しました。
 無菌状態のアナベナは様々な研究の用途があるため、平成31年度中を目途に、国の微生物系統保存施設に譲渡し、世界の研究者が使えるようにする予定です。

(3)「有用微生物」を貯水池から発見【平成22年】

有用微生物の顕微鏡写真(特殊な染色液で染色) 次に、無菌状態のアナベナを用いて有用微生物の探索を行ったところ、これも世界で初めてとなるアナベナの増殖を抑制する有用微生物を烏原貯水池の水から発見しました。
 この有用微生物をアナベナに添加すると、アナベナは数日で分解されました。

(4)有用微生物が水草に多数生息することを発見【平成28〜29年】

ササバモ水草帯(水中写真) 水草(ササバモ)の葉の表面に有用微生物が高密度で生息している ことを発見しました。ササバモは国内に広く分布している在来種の水草であること、貯水池で管理しやすいことなどの理由から、実証実験にもササバモを使用することになりました。