神戸市-KOBE-


介護保険法に基づく居宅介護支援事業所の指定取消し処分

記者資料提供(平成29年9月15日)
保健福祉局高齢福祉部介護指導課 担当者 赤坂・児玉・南谷
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介護保険法に基づく居宅介護支援事業所の指定取消し処分

1.処分を行う事業所の概要

(1)事業所名       居宅介護支援事業所 オネスト
               (管理者:馬越美智代)
(2)所在地        神戸市東灘区住吉南町2丁目7番17号
(3)指定年月日     平成15年8月1日
(4)サービス種別    居宅介護支援事業
(5)運営法人       有限会社オネスト
               (代表者:代表取締役 馬越博邦)
               (所在地:神戸市東灘区住吉南町2丁目7番17号)

2.事案の概要

  居宅介護支援事業所 オネストの運営法人 有限会社オネストの代表者(以下「当該代表者」という。)とその妻で当該事業所の管理者兼介護支援専門員(ケアマネジャー)(以下「当該介護支援専門員」という。)は、それぞれ一人暮らしで老齢である姉妹(A氏、B氏)の担当介護支援専門員となった(A氏は平成16年4月から、B氏は平成16年11月から)ことを契機に、両名の財産を不当に処分し又は不当に財産上の利益を得ようとした。
(1)A氏に対する行為
  A氏は、平成17年6月に、アルツハイマー型認知症で認知症高齢者の日常生活自立度IIb、平成22年2月には認知症高齢者の日常生活自立度IIIbと診断された。平成22年4月にA氏が介護保険施設に入所した後、
1.当該代表者と当該介護支援専門員は、A氏名義の預金口座から平成22年11月から平成23年12月にかけて多額の出金(養子縁組離縁請求に係る平成28年6月30日大阪高等裁判所判決では、出金額は1,000万円を超えると認定されている)を行った。
2.平成23年8月26日、A氏の自宅不動産を当該介護支援専門員に対して売却させた。

(2)B氏に対する行為
  当該代表者は、平成22年8月17日に、B氏と委任契約及び任意後見契約を、平成25年10月4日に死後事務委任契約をそれぞれ締結し、当該介護支援専門員は、平成25年11月26日にB氏と養子縁組を行った上で、
1.B氏をして生命保険の死亡保険金受取人を当該介護支援専門員へ変更させた。
2.B氏の預金口座から3,000万円を出金して、当該代表者及び当該介護支援専門員が鍵を管理していてB氏が容易に開扉できない貸金庫に保管した。
3.B氏の自宅不動産について、負担付死因贈与契約名目で当該介護支援専門員に対する所有権移転仮登記を行った。
4.平成26年9月12日、B氏から預かっていたキャッシュカードを利用して、B氏が出金を拒否しているのを知りながら、ATMでB氏名義の預金口座から50万円を出金した。 

3.処分に至る経緯

平成29年5月24日  B氏家族からの裁判資料の提供
平成29年6月以降   裁判証拠資料の提供を受け、関係資料を精査
平成29年6月27日  介護保険法に基づく監査を実施
平成29年8月24日  行政手続法に基づく聴聞を実施

4.処分の内容

指定の取消し
(根拠法令 介護保険法第84条第1項第4号)

5.処分年月日

平成29年9月15日(金曜)

6.処分効力発生年月日

平成29年10月1日(日曜)

7.処分を行う理由

介護保険法第81条第6項違反
(1)要介護者に対する人格尊重義務違反(経済的虐待行為)
 居宅介護支援事業所の立場を利用してサービスの提供を受ける高齢者の財産を不当に処分し又は高齢者から不当に財産上の利益を得るものであり、人格尊重義務(介護保険法第81条第6項)違反に該当する。

(2)忠実に職務を行う義務違反
 居宅介護支援事業所が,サービスの提供を受ける要介護者をしてサービスに対する適正な対価を超える出捐を行わせることによって経済的利益を得ようとすることは、要介護者と事業者の利益が相反することになるため、要介護者の承諾を得ていない場合には忠実義務(介護保険法第81条第6項)違反に該当する。

処分を行う理由(詳細)

1 経済的虐待行為
(1) 居宅介護支援事業所 オネスト(以下「当該事業所」という)の運営法人有限会社オネスト(以下「当該法人」という)代表者とその妻である当該事業所の管理者兼介護支援専門員(以下、両名を「当該介護支援専門員ら」という)は、居宅介護支援事業において業務に従事しており、A氏及びB氏は当該事業に係るサービスの提供を受ける高齢者であった。
 当該介護支援専門員らがA氏及びB氏に対して行った以下の行為は、居宅介護支援事業所の立場を利用してサービスの提供を受ける高齢者の財産を不当に処分し又は当該高齢者から不当に財産上の利益を得るものであり、人格尊重義務(介護保険法第81条第6項)違反に該当する。

(2) A氏に対する経済的虐待行為
 A氏は平成17年2月にアルツハイマー型認知症・認知症高齢者の日常生活自立度IIb、平成22年2月には認知症高齢者の日常生活自立度IIIbと診断されて当該介護支援専門員が担当していたところ、当該介護支援専門員らは、A氏名義の預金口座から平成22年11月から平成23年12月にかけて多額の出金((養子縁組)離縁請求控訴事件 平成28年6月30日大阪高等裁判所判決では、出金額は1,000万円を超えると認定されている)を行い、また、平成23年8月26日、不動産売買契約書を締結し、A氏の自宅不動産を当該介護支援専門員に対して売却させた。A氏が当時、認知症高齢者の日常生活自立度IIIbと診断されていたことなどから、上記のことは、A氏の意思に基づいて行われたものとは認められない。

(3) B氏に対する経済的虐待行為
1.当該介護支援専門員らは、委任契約および任意後見契約に基づいてB氏から預かっていたキャッシュカードを利用して、B氏が出金を拒否していることを知りながら、平成26年9月12日、ATMでB氏名義の預金口座から50万円を出金した。
2.当該法人の代表者はB氏と平成22年8月17日に委任契約及び任意後見契約を、平成25年10月4日に死後事務委任契約をそれぞれ締結し、当該介護支援専門員は平成25年11月26日にB氏と養子縁組を行った上で、当該介護支援専門員らは、B氏の預金口座から3,000万円を出金して当該介護支援専門員らが鍵を管理していてB氏が容易に開扉できない貸金庫に保管し、B氏の自宅不動産について負担付死因贈与契約名目で当該介護支援専門員に対する所有権移転仮登記を行った。また、B氏をしてB氏が契約していた生命保険の死亡保険金受取人を当該介護支援専門員へ変更させた。
 これらの財産の処分行為は、金額が高額であることや上記各行為の前後の状況等からして、B氏が自由な意思に基づいて同意したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在すると認めることはできず、仮にB氏が同意していたとしても、社会通念に照らし不当な財産処分行為である。

2 忠実に職務を行う義務違反
(1) 指定居宅介護支援事業者は、要介護者のため忠実に職務を遂行しなければならない義務を負っており(介護保険法第81条第6項)、指定居宅介護支援事業者は、その義務を履行するために、居宅介護支援事業に従事する役職員、管理者及び介護支援専門員に対し、要介護者のため忠実に職務を遂行させなければならない。
指定居宅介護支援事業者及びその役職者等が、サービスの提供を受ける要介護者をして当該要介護者に提供する介護支援サービスに対する適正な対価を超える出捐を行わせることによって経済的利益を得ようとすることは、要介護者と当該事業者の利益が相反することになるため、当該要介護者の承諾を得ていない場合には忠実義務に違反することが明らかであるし、当該要介護者の承諾を得ていた場合であっても、要介護者が自由な意思に基づいて承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在すると認めることができなければ、居宅介護支援事業として正当性を認めることはできず、忠実義務違反行為に該当する。

(2) 当該介護支援専門員は、その職務の遂行過程において、前記1記載の行為に及び、要介護者であるA氏及びB氏の経済的負担によって多額の財産上の利益を得又は得ようとした。このうち、A氏に関する部分は、A氏の意思に基づくものではないため忠実義務に違反することが明らかであるし、B氏に関する部分についても、B氏が出金を拒否していることを知りながら行った50万円の出金が忠実義務に違反することは明らかである。
 B氏に関する50万円の出金以外の部分は、当該法人の代表者が平成22年8月17日に委任契約及び任意後見契約、平成25年10月4日に死後事務委任契約をそれぞれB氏と締結し、当該介護支援専門員が平成25年11月26日にB氏と養子縁組を行うなどして、B氏が拒絶しにくい関係を構築した上でB氏の財産から多額の利益を得ようとしたものである。
 当該介護支援専門員らがB氏から取得しようとした財産額はB氏が受けられるサービスに対する適正な対価を著しく超過しているし、その前後の状況等からしてB氏が自由な意思に基づいて同意したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在すると認めることはできない。そのため、B氏の経済的負担によって当該介護支援専門員らが多額の利益を得ようとしたことは、仮にB氏の承諾があったとしても忠実義務に違反する行為である。(介護保険法第84条第1項第6号)