神戸市-KOBE-


 

臨時会見 2019年(令和元年)8月1日

最終更新日
2019年8月1日

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発表項目

地域活性化やより良い地域づくりに向けて神戸市と東京大学先端科学技術研究センターは8月1日に連携協定を締結しました

久元市長:
 きょうはご参加いただきまして、ありがとうございます。

 初めに、東京大学先端科学技術研究センター所長の神崎亮平先生、同センター(研究所)准教授の近藤武夫先生、神戸にお越しをいただきまして、ありがとうございます。

 神戸市と東京大学先端科学技術研究センターは、2017年4月より障害者の就労促進と、地域の商店街など、飲食・食品小売店舗などの人手不足の解消などの課題解決に向けた取り組みを開始いたしました。

 その中で、個々の障害特性などから、長時間の勤務が難しい障害者の方々の社会参加を促進するために、就労時間が週20時間未満の超短時間雇用の取り組みを実施してきました。これは、垂水商店街などがステージということになっています。障害者の多様な働き方、雇い方の1つのモデルとして、センター(研究所)の両先生と協力しながら、事業の実施、普及に取り組んでいるところです。

 また、後ほどご紹介があろうかと思いますが、東京大学先端科学技術研究センターにおかれましては、理工系の最先端研究から社会科学やバリアフリーなどの社会システムにかかわる分野まで、さまざまな研究が行われております。新たな課題への挑戦、新たな領域の開拓を続けておられまして、地方自治体が抱える地域課題の解決に資すると思われる研究分野もたくさんあります。

 そこで、これまで本市と連携して取り組んできました障害者の就労支援だけではなくて、再生可能エネルギーの活用による低炭素社会の実現など、同センターのさまざまな分野の研究シーズを活用いたしまして、より(幅広い)分野で地域の課題解決を図ることができるよう、神戸市の地域活性化、地域づくりに関する連携協定を締結するということにさせていただきました。

 この協定に基づきまして、センター(研究所)が有するさまざまな知的資源を、私ども神戸をステージにして活用していただきまして、私どもも一緒に地域課題の解決につなげることができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


職員:
 それでは、引き続き神崎所長より一言よろしくお願いいたします。


神崎所長:
 ただいまご紹介に預かりました東京大学先端科学技術研究センター、略して先端研の所長の神崎でございます。
  本日、先端研と神戸市とで連携協定、このようなすばらしい協定を締結させていただくことになりまして、締結に当たりましては、久元喜造市長をはじめ、関係の皆様には心から御礼を申し上げたいと思います。
 
 先端研でございますけれども、今、市長からも少しご紹介ございましたけれども、1987年に設立されております。東京大学には11個、研究所がございますけれども、その中では最も新しい研究所でございまして、分理融合、文科系、理科系、医学、工学というあらゆる、東京大学にあるような全てのそういう分野を1つの部局に集めることによって、新しいイノベーションを起こしましょうということでつくり上げられた、そういう研究所であります。
 
 最近では、そういういろんな分野の融合だけではなくて、さらにアートとかデザインも融合することによって、感性的なことも含めた形で新しい科学技術を、多様な人々がいらっしゃいますので、そういう人々にほんとうに幸せになっていただきたいと、そういう目的のために、我々は日ごろ研究を展開しているところでございます。
 
 そういう中で、今回こういうバリアフリー系の制度というものも、ぜひ新しい社会制度もつくり上げると、そういうものもチャレンジングなものとして進めているところでございます。
 
 そういった研究所でございまして、先端研の中では、そういう中で特に持続可能な社会ということを、そこにいかに貢献できるのかというのは、我々の1つの大きなテーマでございまして、多様な研究がございますので、それを核にいたしまして、地域産業活動の活性化、あるいはコミュニティーの再生であるだとか、研究交流、人材育成など、自治体と地域との連携をほんとうに動的にやっていきましょう、機動的にやっていきましょうと、そういうことを現在進めております。
 
 こういう分野では、市長も著書を増田寛也さんと一緒に書かれておられますけれども、増田寛也さんも実は我々の研究所のボードという、いろんなアドバイスをいただける、そういうメンバーとなっております。
 
 神戸市様とは、先端研は、2017年4月から、障害などにより通常の雇用システムでは就労機会が得られない人を排除しないようにしましょうと、そういう就労支援の活動に取り組んでまいったわけでございます。そして、このたびそういうところを中心にしながら、またさらに、新たに、先端研究いろんな分野がございますので、特に再生可能エネルギー関係も進めておりますので、そういったところも含めた上で、神戸市様と一緒にアクティベート、それぞれを活性化しようということで協定をさせていただくことになったわけでございます。
 
 今回の協定では、今申し上げた障害者の多様な働き方の創出、それから再生可能エネルギーを活用したまちづくりというのを中心にさせていただきますが、省内にさまざまな、ほんとうに文科系、理科系、医学、工学、さまざまな分野もございますので、そういったところも一緒にテーマを考えて進めさせていただければというふうに考えている次第でございます。ぜひ、皆様のご協力というものをいただいて進めさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございます。


職員:
 それでは、まず初めに、今回の協定の項目の1つとなってもございます、以前より東京大学先端科学技術研究センターと神戸市が協力いたしまして取り組んでまいりました障害者の多様な働き方に関する取り組みにつきまして、近藤准教授より説明させていただきたいと思います。


近藤准教授:
 よろしくお願いいたします。近藤です。
 
 では、私のほうから、少々お時間をいただきまして、この超短時間雇用、非常に短い時間からでも市内のさまざまな企業や、もしくは商店街等で多様な人々が働ける、そういう社会づくりを行うためのシステムについて、どのような取り組みが行われるかという説明をさせていただきたいと思います。座ったまま失礼いたします。
 
 まず初めに、こちらをご覧になっていただきたいんですが、これは国連と厚生労働省が出している全人口に占める障害のある人の比率です。日本においてはおよそ7%ほどの障害者がいるということが厚生労働省のほうから言われていますけれども、国連では、およそ15%ほど人口の中にいるんではないかということが言われているということです。つまり、障害というのは1つのマイノリティーではあるんですけれども、マイノリティーの中でも、いわゆる最大のマイノリティーの1つであるということかと思います。
 
 続いて、これを18歳から64歳の労働者人口ということで、日本で上がっている統計をベースにして、じゃ、その中でどれぐらいの人々が働いているのかというのを示したのがこちらの図です。
 
 在宅の障害者、つまり施設等に入っている人ではなく、在宅している障害者の中で18歳から64歳の人々は、労働人口のおよそ5%を占めるというふうに言われています。ところが、企業においては、日本には障害者雇用率制度というのがありますので、全ての企業は2.2%、障害のある人、特に障害者手帳のある人たちを雇用するという義務があります。この達成基準というのは、今、この2.2%を達成している企業は、日本の企業の中でおよそ半数程度、50%弱程度が達成していると言われます。
 
 ところが、そのような状況としても、労働者人口の中で企業で雇用されている障害者の比率というのはまだ0.7%ほどであって、こちら、日本は少し障害者を少なく見積もる傾向があるんですけれども、それを見たとしても、やはりかなり達成できていない状況が多いということがあります。
 
 では、どうしてこのような状況が起こっているのかと。これはさまざまな理由があるんですけれども、1つ残されている大きな壁として、日本型の雇用の特徴というのが大きく影響しているというふうに私たちは考えております。
 
 大きなポイントとしては2点あるかと思いますが、1つ目は、非常に長い時間働く必要がある。基本的には週40時間以上働いてはいけないということになっているんですが、こちらにおられる記者の皆様方、いかがでしょうか。週40時間以上働いておられる方おられるんじゃないかと思います。さらに、年間12カ月を通じて働くということも日本型雇用の慣習です。
 
 私、以前アメリカの大学で働いていたことがあるんですが、年間9カ月雇用の人とか結構いましたね。それはどうしてか。日本人からすると、9カ月雇用って意味わからないと思うんですが、私の同僚たちですと、大学で講義を行うことという職務定義がありましたので、その職務が発生するのは夏休みとか冬休みを除いた期間です。そうすると、9カ月間だけ大学において働くという形です。日本人からすると、じゃ、ほかの期間どうしているのというのを同僚に聞くわけですけど、いや、それはサマースタディーで講師をしていたりとか、日本の大学にも出稼ぎに行ったりするよと言われたりしました。逆に、どうしたのと質問されたりもしました。
 
 つまり、日本においては、企業が労働者を年間通じて長期間雇用して、生活の保障を提供するということが、戦後、当たり前のこととして考えられてきたわけです。とすると、週40時間安定して働き、かつ年間12カ月休むことなく働くことができる人というのが労働者の1つの像となってきていると。これは当然、生活保障を与えるということと、戦後、やはり世帯の中でしっかりと働く誰か、つまり、世帯の収入や生活を保障するための大黒柱をつくるということが戦後の雇用促進の仕組みのモデルのもとになってきましたので、やはりそこにおいては、障害者のように、長い時間働くことは難しいんだけど、この部分だと力は生かすことはできるという人たちというのは、なかなかインクルージョンしてこられなかったという背景があります。つまり、長時間働くということが大きな壁になってきたということです。
 
 もう1つは、採用時に職務の定義がないということが日本の雇用の特徴です。これは他の国においては見られない、日本の国において非常に特徴的なことです。ですので、採用されるときに、どのような仕事をするのかというのがわかりません。その後、部署に配置された後に、その部署において仕事がアサインされます。
 
 障害のある人たちというのは、いろんなことができる人たちです。私の職場の中にも、私の研究室のスタッフの中にも、障害者手帳を持っているスタッフは何人も働いています。さまざまなことができるんですが、例えば、私の研究室で働いているある1人のスタッフは四肢欠損があって、片手しかなくて指が1本しかないんですね。そうすると、コンピューターを使って文章を入力することは非常に上手ですし、英語もとても堪能なので、海外とのプロジェクトの調整なんかは非常に上手にやってくれます。ところが、こういう会場の机を並べ直しておいてと言われてるとできないです。さらに言うと、お茶を入れておいてというのもちょっと大変です。なぜかというと持てないですから。そういうふうに、何かできることはあるんだけれども、何かできないことが確実にあるという人も、また障害のある人の特徴です。
 
 そうすると、日本型の雇用の場合というのは解雇はされません、解雇規制がありますので。解雇されませんので、いわゆる企業内転職という形で、複数の部署にどんどん移っていかないといけない。その結果、きのうまでやっていた仕事とは全く違う仕事を、ある日突然また任せられるということが起こる。ということはどうなるかというと、常用雇用においては、暗黙のうちに臨機応変に何でもできる人が期待されてしまうので、何かできないことがあるという人は、やっぱり雇用されない、されにくい社会であるというふうに言えると思います。このような形というのは、障害のある人々、実はこれは障害のある人々だけではなくて、介護等があって長い時間働けないとか、子育て等があって長い時間働けないとか、そういったことに実は共通することなんですが、特に障害のある方々には雇用参加の厚い壁になってきたということです。
 
 その結果、いわゆる通常の企業ではないどこか、福祉就労と言われるところだったりとか病院のデイケアだったりとか、いわゆる社会のメーンストリームではないどこかに選択肢を持たざるを得ないという状況になってきたという背景があります。
 
 それを越えるために、東大先端研では産学官連携で新しい雇用モデルの開発というのを行ってまいりました。ここにおいて必要とされることで6つほど特徴を挙げています。この特徴について簡単にご説明します。
 
 まず、最初の2つの特徴です。
 
 採用前に職務内容を明確に定義しておくということを、これは絶対的な指針にしております。日本型の雇用においては労働者を採用した後に職務割り当てを行う、そのために何でもできる人でないといけないということがありますが、超短時間雇用モデルにおいては、雇用する前に、まず、その部署においてどのような仕事をしてくれる人が来るとその職場が助かるのか、さらに言うと、障害者雇用であることすらも忘れていただいて、あなたの部署で助かる仕事というのは何ですかと。例えば記者の方がたくさん、今回、来ていただいていますが、いかがでしょうか。デスクに帰ったときに自分がやらなければいけない仕事、資料の整理だったりとか名刺のデータベース入力であったりとか資料の書き起こし、録音の書き起こしであるとか、さまざまな仕事がありますよね。その仕事を、例えばスポット的にでもどなたかが助けてくれると考えたとしたら、皆さんはご自身のほんとうに力を使わなければいけないところにさらに時間が使えるのではないでしょうか。
 
 そういうふうに、まず、その部署において、どの特定業務をやっていただけるとこの職場が助かるのかというのを定義いたします。その後ですね。その後に、その業務が遂行できる方をアサインします。このときには、さまざまな就労移行の仕組みなんかを少し改造したものを使うわけなんですが、ただ、超短時間で働くこと、この方は実際は誰でもいいんですけれども、このプロジェクトにおいては障害のある方で、かつ長い時間働くことが難しい方に担当していただいています。
 
 さらに言うと、このような形で行いますので、職務遂行に本質的に必要なこと以外は求めないというルールを置いております。つまり、ある特定の業務だけができるのであれば、それ以外のこと、例えば挨拶ができるとかコミュニケーションが円滑であるとか身だしなみがとても上手に整えられるとか、もしその職務の遂行に本質的に不要であれば、それも追加的に求めることはしないようにしています。
 
 さらに、これはこの働き方の1つの哲学、フィロソフィーであるということなんですが、同じ職場でともに働くということをベースにしていただいています。この決まった仕事というのを、どこか知らない、どこか違う場所で働くということではなくて、仲間として一緒に働いてもらうということを行っています。
 
 このような働き方は、過去に先端研の中でも、その他の自治体、それから、その他の多くの企業ですね。こちらの図に挙げているのは、ショートタイムワークアライアンスという東大先端研と参加企業123社で構成しているウエブサイトに掲載している図なんですけれども、社員の方というのは自分が得意な仕事に注力をして、自分の持っている仕事で、さらにもっと得意な力を生かせる障害のある方がそこに参加できるのであれば、その方とともに共同して働くという仕組みというのを社内的にもつくっていただいております。
 
 さらに、5番目のところです。超短時間雇用を創出する地域システムがあるということをその目的の1つに置いています。
 
 今のような働き方、理屈としてはわかるんですけれども、では、その働き方というのをほんとうに地域の中にどういうふうに実装していけばいいのか。これはさまざまな壁がございますので、その壁を越えていくためには、1つの企業の努力だけにとどまらない、地域全体の中でその雇用が流動していく仕組みというのを構築していく必要があります。これまでの雇用の制度においてはそのような仕組みというのはつくられておりませんので、これは、自治体との協力において、その自治体機能としてこのような流動の仕組みを構築するということを行っています。

 こちらに示していますのは、市役所がバックアップする形で就労を支援するセンター的な機能、さらに、超短時間で通常の企業の中で障害のある方が働いていけるという機能をバックアップする仕組みをつくっております。
 
 どのような地域システムを構築しておくと最も効率的に動くのかということについては東大先端研でノウハウの蓄積、研究を行っていますので、それを応用したシステムづくりというのを行っています。
 
 最後は、積算型の雇用率を独自に算出するという取り組みを行っております。
 
 これは一種の政策提言に当たる部分、大学としての政策提言に当たる部分なんですが、既存の障害者雇用率は、1つの部署において、週30時間、障害者手帳を持っている人を雇用したときに障害者雇用率1カウントとなるということがあります。そうなると、30時間働ける人でないと1カウントにならないので雇用しないと。企業はカウントベースで人を採用するようになります。
 
 そうではなく、この部署において、数時間であってもこの方が来てくれると役立つ、つまり貢献することができる土壌をつくることができれば、その部署の中で週4時間働いたとしたら、企業全体でその4時間をまとめると、8名いれば32時間になります。つまり30時間を超えてくるわけですね。
 
 さらに、地域全体で見ていくと、超短時間雇用を積算することによって、週30時間換算で一体何名分の雇用を生み出すことができるのかというインクルーシブな地域と企業づくりということができると考えております。
 
 このような仕組みづくりを神戸市さんとは連携して行っております。
 
 最後に、地域で生み出されるインクルーシブな雇用ということで、実際にこれは神戸の垂水商店街で、超短時間で働いておられる方の事例をご紹介いたします。

 (ビデオ再生)


近藤准教授:
 ありがとうございました。以上で私の発表を終わらせていただきたいと思います。
 さまざまな人たちが、私たち、障害のある子供たちの教育の取り組みも先端研では取り組んできているんですが、彼らが将来さまざまな地域で私がこういうふうにして活躍をしていきたいということを、夢を語れるような地域づくりということにつなげられればとも考えております。
 
 以上で発表を終わらせていだきます。


職員:
 それでは、本日締結いたします協定につきまして、私のほうから簡単ではございますが説明させていただきます。
 
 本日締結いたします協定項目につきましては4点、1つが先ほど准教授よりご説明がございました障害者の多様な働き方の創出に関すること、2つ目が再生可能エネルギーの活用に関すること、3つ目がまちづくりに関すること、4つ目、その他、神戸市の地域活性化、地域づくりに関することでございます。
 
 東京大学先端科学技術研究センター、以下、先端研と省略させていただきますが、先端研からは、協定項目に関して知見やプロジェクトの提供をいただき、神戸市のほうはそのための実証フィールドを提供して、協力して地域活性化に取り組もうというものでございます。
 
 初めに、障害者の多様な働き方に関することについてでございます。
 
 近藤准教授からのご説明があったとおり、障害者の雇用率算定におきましては週30時間以上、20時間以上の場合も0.5人というカウントをすることによって障害者の雇用の促進が図られているところですが、逆に20時間以下しか働けない、障害の特性によって20時間以上の就労が困難な方の就労については、逆にこれが阻害要因になっているのではないかという懸念が一方でございます。あるいは、一方で、飲食店、食品小売店舗のほうにつきましては人手不足がますます深刻化しておりまして、こういった課題をどのように解決していくかというところが大きな課題となってございます。
 
 そこで、神戸市では平成29年度から先端研と連携いたしまして進めてきた取り組みが、先ほどご紹介がありました超短時間雇用という新たな雇用モデルの活用でございます。具体的な取り組みとしましては、先ほどビデオでもございましたが、まずは、垂水区駅前の商店の業務分析を行って、細分化した業務の内容や必要時間を定義して、その業務が遂行できる障害者をマッチングしていくという取り組みを今現在進めております。こちら、垂水区駅前の地区において、全国で初めて地域と連携する形で超短時間雇用の考え方を取り入れた取り組みを進めているというところでございます。
 
 具体的には、先ほどの例によりますがパン屋さんの場合、業務内容的には、パン生地をつくるとか、あるいはパンを焼くとか、パンを売るとか、材料を発注するとか、さまざまな業務がございます。その中で障害者の特性に照らし合わせて、先ほどビデオでありましたとおり、パンの生地を成形という部分を業務として障害者のほうに任せることができるのではないかというところで、実際にマッチングを行ったというところでございます。
 
 そのほかにも、資料にございますとおり、店舗のホームページの作成であるとか、伝票の整理とか、こういったところで今現在マッチングのほうを進めて、障害者の就労を進めているというところでございます。
 
 これらにより、障害者の働く店舗では、人手不足の解決とか、地域活性化の一助となっているという成果も出てございます。また、障害者につきましては、従来の雇用制度ではなかなか就労に結びつかなかった障害者が、実際に社会参加でき、地域で活躍の場ができるという取り組みの効果も出てきているところでございます。これまでの実績としましては、垂水の駅前地区を含めて15社24名の雇用の創出をしてきたところです。
 
 今後、協定を結びまして、垂水駅前での取り組みをさらに進めていくとともに、今後、神戸市の北区にございますしあわせの村内でもさまざまな業務がございます。こちらのほうでも実際にいろいろな業務について超短時間雇用の考え方を導入して、さらにより一層障害者の就労を進めることができないかというところを、今現在、検討を行っているというところで、最終的には全市にそういった考え方を広めていって、さまざまな障害者が活躍できる場を生み出していきたいと考えてございます。
 
 続きまして、2点目でございます。こちらのほうは再生可能エネルギーの活用でございます。
 
 神戸市では、低炭素社会の実現を目指して、水素スマートシティ神戸構想として、世界初の水素エネルギー利用システムの開発実証事業とか水素サプライチェーンの構築実装事業などに取り組んでいるところでございます。それに合わせて適正な太陽光発電や蓄電池の利活用を推進し、バイオガスや小水力発電といった再生可能エネルギーの可能性を検討しており、それによりエネルギーのベストミックスの実現を目指しています。
 
 資料の連携に向けて検討中の項目にございますとおり、先端研のほうには太陽電池や水素蓄エネルギー、風力発電など、さまざまな再生可能エネルギーの研究が行われてございます。具体的な取り組みについては現在検討中でございますが、先端研の最先端の知見を生かし、市内の持続可能なエネルギー循環システムの構築を目指してまいりたいと思っております。
 
 また、3つ目でございますが、神戸市では、少子高齢化、高齢者のニーズの多様化とかシルバーパワーの活用、空き家・空き地の増加など、さまざまな地域課題、社会課題に直面してございます。神崎所長からも最初にご紹介いただいたとおり、先端研では理化学・生物学の分野から環境エネルギー、バリアフリー、社会科学など、さまざまな分野の研究の知の集積がなされております。このような集積を活用して、市民、自治体、企業、研究者など、多様な主体が地域で活躍できるとともに、地域の資源を最大限に生かすことのできる、バランスのとれた持続可能なまちづくりを目指して、さまざまな分野での連携を模索してまいりたいと思います。
 
 連携内容につきましては以上でございます。
 
 それでは、市長、所長、協定書のほうへのサインをお願いいたします。

 (協定書にサイン)

発表項目

質疑応答(発表項目)

質疑応答

記者:
 先端研の方にお伺いしたいんですけれども、神戸という町はフィールドとしてどういう魅力があるんでしょうか。


近藤准教授:
 まず、雇用ということで申しますと、いわゆる1つのこれまでの従来型の福祉においても地域と非常に密接に関係性を保っている、特に商店街等と関係性を保っているような、例えば社会福祉法人であったりとか、それは地域と隔離されているわけではなくて、まちづくりと非常に近い位置で活躍しておられるような方がおられます。ただ、当然そういった福祉の仕組みというのは既存の制度に乗っかるような形で行ってきていますので、今回テーマとなっているような新しい社会課題ですね、そういったことへの即応というのはなかなか難しいところがあります。ところが、資源としては存在していますので、その資源を神戸市と私たちとの連携において新しい仕組みに少し変えていくことによって適用可能性がかなり広がるという、潜在力がとても強い町であるというふうに感じています。そういう意味で、この雇用のことについてはそうした魅力がある町というふうに言っていいかなと思います。その他のことで。


神崎所長:
 水素関係で申し上げると、先端研でも実はオーストラリアと協定しまして、我々の場合には太陽光発電によってエネルギーをつくって、それによって水素をつくって日本に持ってこようという、そういうプロジェクトを実は始めておりまして、神戸市様が水素に非常に力を入れておられるということで、水素ステーションの話であったりだとか、タンクも非常に大きなものを備えているだとか、そういうことも非常に魅力を感じております。今後、もちろん連携、要するにEVという話もあるんですけども、そういう中で燃料電池というのも非常に重要性を帯びてきますので、そういったところもぜひ一緒にさせていただければなと。
 
 それと、非常にこれは個人的なものですけど、私自身、「京」スーパーコンピューターを実は使わせていただいておりまして、先日も実は講演会に来させていただいたんですけれども、そういった中のいわゆる最先端の情報レベルでの、そういうレベルででも、我々の研究所もこういうIoTをはじめとして最先端の情報系の研究も進めておりますので、今後、そういうところまでもぜひ展開させていただくということで、そういう意味ではエネルギー関係、それから労働関係、それからこういう情報系ですね、ほんとうにさまざまなところで協力させていただける、そういう魅力があるかと思います。
 
 こういうのができるのが、我々の研究所がまさに文理融合でして、さまざまな分野がございますので、そういった中で一体的に神戸市様と一緒にできるという、そういうところの魅力を感じているところであります。


記者:
 神崎センター長様、所長様にお伺いしたいんですけれども、スケジュールとして今後いつまでに何を始めるとか、そういうのは決まっていますでしょうか。


神崎所長:
 これは私というよりも、まずこういうバリアフリー系の近藤先生でよろしいですか、その分野に関していうと。


近藤准教授:
 雇用の分野に関して申しますと、既にこれまでの取り組みの中で特定のエリアにおいて、垂水商店街であったりとか、市内の特に西寄りのエリアが多いんですけれども、それは1つの社会福祉法人さんで「すいせい」さんというところがあって、そこと重点的に私たちの知識移転を進めてきたというところがあるので、西部エリアにおいて、今かなり商店街だったり企業だったりの就労の促進と、これまでになかった働き方の創出が見られています。
 
 ところが、実際に申しますと、例えば中央区のエリアだったりとか、あともう1つは、しあわせの村は北部のほうにありますので、そういったところに拠点と新しい働き方を生み出していく、つまり全市展開を行っていくということが今後の目標です。
 
 まずは、今年度においては西のほうだけではなくて、こちらの三宮周辺であったりとかそういったところでの新しい働き方づくりを今年度行って、その後、しあわせの村の中でも新しい働き方を生み出していく。これはどちらも並行して今年度内にシステムを着手して、何らかの新しい働き方を生み出すことを予定しております。


記者:
 再生可能エネルギーなどについてはいかがでしょう。


神崎所長:
 これは市の担当の方にご紹介いただいたほうがいいかと思いますけど、よろしいでしょうかね。


職員:
 再生可能エネルギーにつきましては、今、現時点で具体的にいつまでにこれをしようということは決まっておりません。ただ、今、東大のさまざまな先生方とヒアリングを重ねまして、実際に教授の方にしあわせの村とか、神戸のいろいろな地域を見ていただいたりしていますので、これからいろいろなお話し合いをしながら、具体策を考えていきたいと思っております。以上でございます。


久元市長:
 今、神崎先生のお話を聞きまして、大変、一緒にやれる分野、可能性というのがあるんではないかなと思いますね。今進めているのはオーストラリアの褐炭由来の水素エネルギーを液化させて、液体水素運搬船で神戸に荷揚げさせると、この荷揚げ施設は既に姿をあらわしつつあります。今のお話では太陽光発電から、これを、太陽光発電由来の水素ですね。


神崎所長:
 そうです。


久元市長:
 ですからこれは、由来が褐炭なのか太陽光パネルなのかという違いだけですね。さらにヨーロッパでは風力発電で、これを水素に変えるという発想も生まれつつありますから、先端研の知見をいろいろといただきながら、神戸市が今進めている水素エネルギーの利活用の、このフィールドを、あるいは視野を広げていく可能性は十分にあるのではないかというふうに感じます。


記者:
 あともう1点、久元市長は東京大学のご出身で、在学中に思いを抱かれていらっしゃった地域活性化に向けた課題とか、大学の機能とか、そういうところに対する思いであるとか、ようやく今、東京大学さんと連携協定を結ぶに至った思い入れなどがございましたら教えていただいてよろしいでしょうか。


久元市長:
 申しわけありませんが、私が在学したのは大昔のことでありまして、しかも法学部の非常に狭いフィールドで勉強して、私は学部しか出ておりませんから、時代がかなり違うわけですけれども、その後、東大の中で、先ほど神崎先生のお話がありましたように、先端科学技術研究センターという組織ができて、特に文理融合がものすごく進んでいるということを改めて、先ほどもお話を聞きながら感じたわけです。この文理融合で新しいフィールドが開かれつつあり、かつ地域の課題というのは超短期雇用、それから再生エネルギーというのがあるんですけど、無限にあると思うんですね、地域の課題というのは。つまり、さまざまな分野の学術の知見を結び合わせ、融合する形で解決することができる、あるいは解決する可能性がある分野というのは、地域が抱えている課題というのは随分たくさんあって、そういうところに目を向けて取り組んでおられるということを、とてもこれはすばらしいことだと思いますし、きょうの協定の締結を契機といたしまして、私どもからもいろいろな提案をさせていただきたいなと思います。


神崎所長:
 ついでにちょっとご紹介をすると、久元市長は法学ですよね。


久元市長:
 はい。


神崎所長:
 実は我々の研究所にも法学の分野があって、牧原先生という方とか、あるいは御厨先生というのはよく皆さんご存じだと思いますけど、そういう先生がおられて、ほんとうにご出身のところと非常に近いところがあるし、駒場という場所にあって、1、2年生のころ過ごされた場所でもありまして、そういう意味ではほんとうに、我々はそういう方がですね、こういう形でまた一緒にやらせていただける、非常にうれしく思っています。法学部の関係者も非常に多いので、ありがとうございます。


記者:
 障害者の超短期雇用の分野の、先ほど、今まで積んでこられた実績の関係からちょっとご質問させていただきます。おそらく近藤准教授と市長にお答えいただくのがよろしいのかなと思っているんですけど、先ほど、20時間を満たさない方は、企業とかにとって雇用の条件に、現在の制度では満たしていないので、制度的な政策提言という意味も含めて、超短期間雇用を積み重ねていってという提案をなさろうというところだと思うんですが、広くですね、去年、自治体というかもともとは中央官庁なんですけれども、障害者の雇用の算出を意図的あるいはミスとかも含めて雇用を多めに見積もっていて、いろいろ調べたら、いろいろなところで満たしていませんでしたってことがわかったってことがあって、それで、今までの取り組みはなかなかおもしろくて、商店街であるとか民間の、まさにそういう、地場の方のところからスタートしていると思うんですけど、市ということで、雇用の話でいうと国のほうの制度があって、障害者雇用率というところは、まだ制度上は特に、20時間というところと40時間というのは明確にあると思うんですけど、これを機に民間及び行政も含めて、何か新しい、障害者の方の働き方の可能性というところまで踏み込んでいく可能性があるのじゃないかと思うんですが、その辺についてちょっと伺えますでしょうか。


近藤准教授:
 では、先に私のほうから答えさせていただきます。
 まず1点目ですけれども、実は神戸市役所の中でも超短時間雇用での雇用というのを、既に、従来より進めていただいております。いわゆる中央省庁等での水増し問題みたいなものがありましたけれども、あそこに対して最大、根本の1つは何だったかというと、やはり中央省庁の中というのは二、三年ぐらいで大体部署が変わりますので、そうすると、働く人として前提とされているのが長いこと働けて、かついろんなところに対応できる人というのが前提となっている。つまり日本型雇用の、よくメンバーシップ型雇用といわれますけれども、そういった雇用の中枢というのが1つの中央省庁なわけですね。その形と同じような、従来型の日本型雇用の形で雇おうというのが通常の障害者雇用ですね。週30時間雇用して、「とにかくいてくれ」ということになる。そうすると、特定のジョブやタスクにおいては非常に力を発揮できる人が活躍できるための職務づくりや仕事づくりという力が非常に弱いわけですね。例えば、週30時間、誰かやってくる、この部署に来ることになりましたと。「えっ、うちにそんな仕事ないよ」となっちゃうわけですね。なぜなら、職務定義をする力が各部署にないわけですから。
 
 そうすると、この超短時間働くというのは、単純に短い時間だけ置いておけばいいやということではなく、その職場を、ジョブ型で、誰もが活躍できる働き方で受け入れることができる、職場を耕すものであるというふうにも考えることができます。この形で何時間か受け入れることができて、「ああ、この人が来てくれとほんとうに助かった」と。障害者が障害者としているということではなくて、うちの職場を助けてくれる誰かとして来てくれて、「うちの職場、ほんとうに助かったわ」という感覚というふうにして耕していく。さらに、職務定義のやり方も、だんだん企業文化として根づく形に持っていく。
 
 そうすると、結果として、「ああ、じゃ、この仕事って、積み上げたら何十時間分になるから、こういう方が来てくれたら、うちの職場ってほんとうに助かるよね」というふうに職務を積み上げていくことも、また新しい障害者を従来型の形でも受け入れることにつながっていく。この両方が本来は必要ですね。ボトムアップ型でジョブやタスクを積み上げていくというアプローチと、あと、メンバーシップ型っていわゆるトップダウン型ですから、とにかく雇って何かをやってもらうということと、その両方の力が必要なんですが、これまでだとトップダウン型でメンバーシップ型しかなかったので、まず、積み上げのところを育てることが非常に大きな力になると考えて取り組んでいます。


久元市長:
 近藤先生から、先ほどの資料で、法定雇用率の積算方法として、積算型雇用率の提案があった。これ、とても魅力だと思いますね。これは一種の政策提言で、法律改正が要るわけですが、厚生労働省も問題意識は持っていると思いますので、先端研と神戸市が連携して、実際にこの超短時間雇用を展開するという実績を積み重ねることによって、今の法定雇用率の考え方に風穴をあけて、よりこの積算型雇用率というものの導入を含めた障害者雇用を広めていくための政策手段を用意する、そういう方向に提言ができればと思います。
 
 それから、もう1つは、非常に大きな話をされたと思うんですけど、日本型雇用ですよね。この日本型雇用のあり方に障害者雇用という切り口で風穴をあける可能性があるのではないかと感じました。
 
 例えば市役所でも超短時間雇用を入れつつある、ごくわずかですよね。全体的に、神戸市役所に限らず役所の仕事のやり方というのは、いわゆる一人親方仕組み・システムなんです。割り当てられた仕事を何から何まで全部やると。まず、事前の調査から、フィールドワークから、政策の企画・立案から、これを議会に提案して条例化し、これを実施する際に対して広報や発信をし、実際するに当たって、契約をし、入札をし、そして、実際にこれを進めていく場合にさまざまな苦情とか反発があれば説得をする。その過程で、いろんな物の調達だとか、あらゆるロジスティックのような仕事も出てくるし、全部1人でやるというのが役所のやり方なんですね。この一人親方の仕事のやり方というのを何とか変えることができないか。そのためには、共通していることを切り出して別の部署でまとめてやることは1つの方法ですが、そのうちの一部の仕事をタスクとして切り分けて、これを外部化する。その際、障害者の方に担っていただくことは、障害者雇用にもつながるし、大変意義があることですよね。
 
 ですから、これは、役所の仕事をいい意味で変えていくということと、障害者雇用を広めていくということの両方のメリットがあるので、役所における超短時間雇用はすごく意義があることだと思いますから、ぜひ近藤先生のご提言と、もう既に上げられている実績を踏まえながら、これを役所の中でも広げていきたいと思います。