神戸市-KOBE-


 

臨時会見 2017年(平成29年)7月20日

最終更新日
2017年7月25日

    発表項目

    日本初「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」神戸市、社会的投資推進財団、DPPヘルスパートナー、三井住友銀行、SMBC信託銀行が導入
    (27分03秒)

    質疑

    発表項目

    日本初「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」神戸市、社会的投資推進財団、DPPヘルスパートナー、三井住友銀行、SMBC信託銀行が導入

    久元市長:
     今日は、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)を活用いたしました神戸市の取り組みにつきまして説明をさせていただく機会を設けましたが、ご参集いただきましてありがとうございます。
     神戸市の取り組みは、ソーシャル・インパクト・ボンドを活用いたしまして、糖尿病性腎症重症化予防の取り組みを、本格的なソーシャル・インパクト・ボンドとしては全国で初めて導入することにするものです。
     


     ソーシャル・インパクト・ボンドにつきましては、後ほどまたご説明があろうかと思いますが、民間資金を活用して実施する成果連動型の民間委託事業です。民間資金やノウハウを活用いたしまして、革新的な社会課題解決型の事業を実施し、行政はその事業成果、すなわち社会的コストが効率化された部分に応じて成果報酬を支払うという仕組みです。これは、2010年にイギリスで世界初めてのSIBが実施されましてから世界各国で活用が進んでおりまして、我が国におきましてもいろいろな試みが行われてきましたけれども、本格的な導入は、今回、神戸市が初めてということになります。



     それでは、まず、パートナーを組んで一緒にこの取り組みを行っていただきます皆様方をご紹介申し上げます。
     まず、一般財団法人社会的投資推進財団の青柳光昌代表理事でいらっしゃいます。
     社会的投資推進財団におかれましては、SIBの手法による事業実施につきましてご提案をいただきました。そして、中間支援組織として、今回の事業スキームの構築にご尽力をいただいたところです。後ほどご説明いただきます。
     続きまして、株式会社DPPヘルスパートナーズ、内藤慎一郎常務取締役でいらっしゃいます。
     株式会社DPPヘルスパートナーズは、糖尿病性腎症の皆さんに保健指導を行っていただくサービス提供事業者でいらっしゃいます。
     続きまして、民間資金の調達という分野につきましては三井住友フィナンシャルグループにご協力をいただきます。
     まず、株式会社三井住友銀行から、高田厚常務執行役員でいらっしゃいます。
     それから、株式会社SMBC信託銀行から、平田重敏常務執行役員にご出席をいただいております。後ほどまたご説明をお願いいたします。



     簡単に私から概略を申し上げますと、このたび行おうとするのは、本市の国民健康保険の加入者に対する糖尿病性腎症重症化予防の取り組みです。
     糖尿病性腎症ですけれども、生活習慣病であります糖尿病になりますと血糖値が上がります。自覚がないままに血糖値が高い状況が続きますと全身の血管に障害が出て、やがて深刻な合併症を引き起こします。この合併症の1つが腎臓病ということになります。
     腎臓は老廃物を排せつするために血液をろ過する器官ですから、そのろ過機能が悪化いたしますと、最終的には人工透析による治療を行う必要が生じます。透析患者のうち最も多い原因疾患、これが糖尿病性腎症で、全体の4割を占めるというふうに言われております。
     透析治療は、これはケースにもよりますけれども、一般的に申しますと、週3日通院をいたしまして、1回に大体3時間から5時間を要します。したがいまして、これは日常生活を送る上で非常に大きな負担になっているわけです。また、医療費の面におきましても、この症状に陥る前、つまり透析治療の前の年間の費用は約50万円ぐらいの水準ですが、透析治療になりますと、年間約500万と大変高額になるわけです。透析患者の増加がそのまま医療費の増加につながるわけです。



     そこで、人工透析となるリスクが高い未受診の方、治療を全然受けておられない方、あるいは治療を受け始めたけれども、何らかの理由で治療を中断した、そういうような糖尿病性腎症罹患者、約100人を対象に、食事療法などの保健指導を行って糖尿病性腎症の悪化を防ぎ、そして、人工透析への移行を阻止する、あるいは遅らせる、これが今回の取り組みの内容です。
     このことによりまして、市民の生活の質、クオリティー・オブ・ライフを向上させまして、医療費の適正化を目指そう、これが今回の私たちの取り組みであります。
     それでは、概略は以上でありますけれども、それぞれのお立場から、今回の取り組みにどういうような内容の取り組みをされるのかということにつきまして、お一人ずつご説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     一般財団法人社会的投資推進財団の青柳と申します。
     それでは、私のほうから、ソーシャル・インパクト・ボンドの仕組みそのものと、今回、神戸市さんにおいて取り組まれる予防事業の概略について説明をさせていただきます。
     初めにまず、ソーシャル・インパクト・ボンド、なかなか聞きなれない言葉だと思うんですけれども、この仕組みを簡単に説明させていただきます。
     


     通常、こうした自治体さんや政府、行政のほうが民間事業者にお仕事をお願いする場合には、業務委託契約を結んで、もしくは補助事業などを対象にして、その契約に基づいて民間の事業者さんがいろいろなサービスを市民や国民に提供しております。それは一般的な形でございます。この事業者さんは、今回ですとDPPヘルスパートナーズさん、また、最近ですと、社会問題解決に一生懸命取り組んでいらっしゃるNPOとか、そういった民間の事業者さんが多くなっております。そことの契約があって、民間独自のノウハウで活動を行って、対象となる方々にさまざまなサービスを提供していると。
     ただ、ここで1点、課題としてありますのは、この委託事業でございますけれども、当然、これまでですと、どういう活動、サービスを行ったかという、そこの活動の事実の確認、例えばですけれども、何かイベントを行いましょうとなったときには、そのイベントを確かに行いましたか、そのイベントに何人人数が来ましたかというようなところまで、我々の言葉で、後ほど申し上げますが、アウトプットというんですけれども、比較的短期間でわかりやすい定量評価の部分だけで確認がされて、その確認に基づいて、発注元である行政のほうから委託金もしくは補助金が出されるというものが大方でございます。ここの課題としましては、政策的な課題があってそういうお仕事を民間にお願いしているわけなんですが、本当にそこが政策の課題のところまできちんと行き着いたかどうか、というところの評価まではなかなか行き着いていないことも多いというのがこれまでの課題でございました。これを少し進めましょうということで2010年に始まりましたのがこのソーシャル・インパクト・ボンドということで、これはイギリスから始まっております。
     


     少し説明を申し上げますが、行政とその事業を行う民間の事業者さんの間では業務委託の契約を結ぶんですが、これ(SIB)が違うのは、成果の連動払い、成果に応じた支払いを行いますよという契約を行政と民間事業者で結んでいただきます。民間事業者からすると、成果が出れば、当然、行政から後でお金が払われるんですけれども、成果がどこまで出るか出ないかは、事業を行ってみないと結果が出ませんので、事業を行うには、まずその行うための資金が必要です。そこで、民間の資金提供者、今回ですと三井住友銀行さんはじめ民間の資金提供者になってくるんですけれども、この民間の資金提供者からまずお金を調達すると。ここでは投資というふうに書いていますが、いろいろなスキームを使ってお金を調達するということで、まず民間のほうでリスクをとって事業をやっていると。サービスを提供されましたら、本当にそれが当初目標としていた成果がどれだけ達成できたのかというところをきちんとチェックしなければいけませんので、サービスの成果を評価・報告するための第三者評価機関を設けます。第三者評価機関がきちんと客観的にその成果を評価して、それを発注元である行政さんのほうに報告をして、その成果に応じた支払いを、もともとの民間の資金の提供者、もしくは、パターンによっては民間の事業者に一旦戻してから資金提供者に行くというような形で、財務的にもリターンが出るというような仕組みになっております。
     


     このソーシャル・インパクト・ボンドを活用することの意義なんですけれども、こういった民間の資金とノウハウを先行して活用することで、成果を重視したサービスに提供につなげていきましょうと。そして、ご承知のように、今の社会課題というのは複雑多様化しておりますので、その解決に向けて民間のノウハウなどもどんどん活用・促進されると、そういった期待が持てると考えております。行政から見れば、初期投資を民間資金で賄っていきますので、行政の財政的なリスクを抑えながら民間の新しい取り組みを活用できると、そういったメリットがあると思います。また、事業者からすれば、あらかじめ成果指標を行政と共有して成果を可視化していきますので、成果重視の質の高いサービスを提供していこうと、そういったモチベーションがかなり高まってくるということが期待できます。そして、民間の資金提供者からしても、社会的な課題に貢献するという社会的な意義とともに、新たな資金運用の機会を得ることができるということが主なメリットということに整理をしております。



     このソーシャル・インパクト・ボンド、世界的な動向としましては、2010年にイギリスから始まりまして、やはりヨーロッパでは非常に多くなっております。アジアではまだ韓国とインドで1件ずつなんですけれども、今回、日本で初めて神戸市さんから始まるという状況でございます。件数にして60件以上、全世界的には220億円ぐらいの事業規模になっております。これはもっともっと伸びるだろうという推計が各所でされております。
     


     日本においての取り組みは、この2017年度から、神戸市さんが初めてなんですけれども、それまで厚生労働省や経済産業省、また、私ども社会的投資推進財団の設立に協力をしてもらっている日本財団も、この社会的投資の文脈で、このSIBという調査研究やパイロット事業の取り組みを今まで行ってまいりました。今回、いろいろなこういった背景がありまして、初めて神戸市さんで始まるということになっております。
     また、政府のほうも、今年の未来投資戦略や、まち・ひと・しごと創生基本方針などにも、このソーシャル・インパクト・ボンドを活用して、民間の力をもっともっと引き出していこうということがうたわれております。これは今年だけではなくて、実は昨年も載っておりますし、また、一昨年も載っているというような形で、かなり官民挙げた形でこの仕組みをどんどん活用していこうということになってきております。
     


     それでは、神戸市さんの糖尿病性腎症予防事業の紹介になります。
     こちらは、もちろん大きな政策目的としましては、先ほど市長からお話ありましたように、神戸市民の健康寿命の延伸、QOLの向上ということを目標に置いております。具体的には、糖尿病性腎症のステージの進行をなるべく遅くしていく、またはそこにとどめておく、また、一番医療費もかかってくる人工透析への移行の予防をしていこうということがこの事業の目的になっております。



     事業の内容ですが、神戸市民で国民健康保険に入られている方々で、また、未受診、治療中断中のハイリスクの方100人を対象に行っていきます。その方々を対象に、DPPヘルスパートナーズさんが受診勧奨を行ったり、生活習慣の予防のプログラムを約半年間実施をしていきます。
     この成果が一番大事になってくるんですが、この成果につきましては、この半年間の保健指導のプログラムを100人のうち何人修了したかという修了率、また、生活習慣がどのぐらい変わっていったか、改善したかという改善率、それから、実際に腎機能の低下がどれだけ抑制されたかという抑制率、これを主な成果指標に設定しております。このそれぞれの成果の達成度合いに応じて委託料が後ほど神戸市さんから支払われるという仕組みになっております。
     この予防プログラムそのものに関する事業費は、総額約2,400万円になっております。
     事業期間としましては、今月からスタートしておりまして、評価期間も入れて約3年間ということです。
     期待される便益としましては、繰り返しになりますが、市民のQOLの向上、それから、治療にかかる医療費の適正化、それからまた、糖尿病が進んでしまうと通院したり入院したりすることで労働ができないなどの損失所得などもございますので、そういったものの軽減、削減ということが期待されると思っております。
     


     具体的な実施体制です。こちらは、先ほどのSIBの紹介のところに、あわせて今回の関係者の方々を配置しております。左上に神戸市さん、真ん中に事業者であるDPPヘルスパートナーズさん、右上に資金提供を予定していただいています三井住友銀行さん、それから個人の投資家の方。私どもの社会的投資推進財団は、資金提供の一部を担うことと、それから全体の総合調整ということの役割をさせていただいております。これらの関係者で実際に事業を行っていきまして、実際にプログラムの修了であったり生活習慣の改善というところの評価を行っていただくのは、左下にあります公益財団法人の未来工学研究所というところが第三者機関として評価をしていただく予定になっております。その報告を受けて、後ほど業務委託料が成果に応じて支払われると、こういったスキームになっております。
     概略は以上となります。
     その次に続きます資料は、参考資料といたしまして、腎臓病のステージの情報でありましたり、今回の事業の成果指標、具体的にはどういうことで進んでいくのかというところを参考指標として載せさせていただいております。
     私からは以上となります。



    職員:
     青柳代表理事、ありがとうございました。
     続きまして、株式会社DPPヘルスパートナーズの内藤様よりご挨拶をお願いいたします。


    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
     DPPヘルスパートナーズの内藤でございます。よろしくお願いいたします。
     このたび、久元市長をはじめ、神戸市役所の皆様、関係各位の皆様にご尽力いただきまして、神戸市という大きな都市で糖尿病性腎症の重症化予防に携わることになりまして、大変光栄に思いますとともに、責任の大きさを痛感しているところであります。
     DPPヘルスパートナーズは、糖尿病などによる慢性疾患の再発と重症化予防を目的に、平成22年12月、広島市において広島大学発のベンチャー企業として設立されました。DPPヘルスパートナーズという社名には、看護師、保健師が皆様のパートナーとして疾病の予防プログラム、ディジーズプリベーションプログラムに基づいた指導を行うことによって健康をサポートしていきたいという思いで名前をつけております。



     当社は、設立以来、広島大学大学院の森山美知子教授が開発しました自己管理プログラムを応用した独自の指導プログラムによる糖尿病性腎症の重症化予防を中心に、今年3月までに85自治体、64健康保険組合、保険者さんと契約して、延べ5,000人以上の患者様に指導してまいりました。5,000人というのは、かなりの人数のように見えますけれども、お配りしております資料で透析患者の推移32万人ということに比べると、まだまだ小さいものになっております。
     この糖尿病性腎症の重症化予防事業の実施したデータは各保険者さんで公表いただいておりまして、社会的にも大変有意義な事業だと自負しております。
     しかし、この生活習慣を改善するというので、面談と電話による指導を6カ月していくということで、事業の完了まで当然半年以上かかるという事業になります。その間の資金というのを会社側が負担するというのは、資金的に大きな負担となっておりまして、これがなかなか事業を拡大することにおいて足かせになっているという状態です。



     このたびソーシャル・インパクト・ボンドを活用させていただくことで、神戸市という大きな自治体からのご依頼も無理なく受託できるようになりまして、重症化予防事業というのを全国に広げていく端緒になればと思っております。
     また、今回のソーシャル・インパクト・ボンドは、我々が神戸市様からお支払いいただく報酬の一部が、先ほど説明がありましたように、生活習慣改善による中期的な成果を基準にした成果連動型となっております。
     生活習慣改善による重症化予防というのは、短期では成果が見えにくい事業分野でありまして、こういう成果連動が広まっていけば、成果を高めるための努力というのが正当に評価されます。成果の出ない事業者ができると言ってしまえば、短期的には結果が見えないので、事業をやってしまうという業者も当然出てくるという実態もございます。ですから、成果の出ない事業者が中長期的には淘汰されていくということも考えておりまして、業界の健全な発展というのも十分できるのではないかと。これが保険者の市町村の皆様、被保険者の皆様にも有意義なものになっていくというふうに思っております。
     この事業に参加する機会をいただいたことに改めてお礼申し上げるとともに、健康創造都市神戸の推進の一助になれればと思っておりますので、最大限の努力をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。



    職員:
     ありがとうございました。
     続きまして、株式会社三井住友銀行、高田様よりご挨拶をお願いいたします。



    高田常務執行役員(株式会社三井住友銀行):
     三井住友銀行の高田でございます。よろしくお願い申し上げます。
     今回、神戸市様が日本で初めてとなる本格的なソーシャル・インパクト・ボンドを導入されるわけですが、それに当たりまして、手前ども三井住友銀行は、事業資金調達のスキームの全体をアレンジさせていただくとともに、ファイナンスを担当させていただくという役目を担わせていただきます。神戸市様、また日本財団様が設立に協力された社会的投資推進財団様をはじめ、本日ご出席の関係者の皆様とともに社会的に大変意義のある先進的な取り組みに貢献できましたことを、大変、三井住友銀行として光栄に存じております。



     皆さんご承知のように日本全体が人口減少時代に突入しております。かつ急速な高齢化に直面しておりまして、そうした中、健康寿命を延ばす効果が期待できる今回の取り組みは、増大する医療費の抑制につながりますほか、市民のクオリティー・オブ・ライフ向上や、ひいては働き手の確保という面からも大変意義ある取り組みだと考えております。
     このように官民が連携してお互いのいいところを持ち合って直面している社会的課題の解決に取り組む今回の事例は、地域の活力を維持して持続的成長を可能にする、よりよい社会未来を実現していく、そういう意味でまさに地域創生そのものだと考えております。



     当行はこれまでも単独指定金融機関として神戸市様が推進されておられるさまざまな施策の実現に向けて並走してともに取り組んでまいっておりますが、今回の取り組みが神戸市様の目指しておられます健康創造都市神戸のますますの推進につながることを切に願っております。
     また、弊行では今回こういう形で初めて本邦初のソーシャル・インパクト・ボンドの組成に参加させていただきました。このノウハウを生かしながら、引き続き産官学、皆様のお知恵をつないで、先進的な金融ソリューションを通して社会的な課題を解決して、サステーナブルな社会を実現すべく積極的に取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
     以上でございます。



    職員:
     ありがとうございました。
     続きまして、株式会社SMBC信託銀行、平田様よりご挨拶をお願いいたします。



    平田常務執行役員(株式会社SMBC信託銀行):
     SMBC信託銀行の平田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     まず冒頭に、本件のような意義のあるプロジェクトに信託銀行として関わらせていただくということに関しまして、関係者の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
     先ほど来、この本プロジェクトの社会的意義ですとか、こういったことにつきましては詳細なご説明がありましたので、私のほうからは信託銀行としてソーシャル・インパクト・ボンドへのかかわりということに関しましてを中心にお話をさせていただきたいと思います。



     SMBC信託銀行は2013年の10月にソシエテジェネラル信託銀行のプライベートバンキング業務、そして、2015年の11月にシティバンクの個人の金融部門の業務を引き継いでおりまして、主に個人のお客様向けのサービスを提供しております。私どものお客様の中には社会貢献事業、こういったところに非常に関心の強いお客様がいらっしゃるということもありまして、従来よりソーシャル・インパクト・ボンドについては社内で研究といいますか検討も開始しておりました。
     


     今般、神戸市様の具体的なニーズをいただきまして、全体の仕組みの構築につきましては三井住友銀行が担当したわけなんですけれども、私どもはそこの仕組みの構築の中で信託機能の提供ということで役割を担わせていただいております。
     その信託の機能の提供についてですが、これは投資家にとりましてはどういったものに投資をするかといったところの仕組みなんですけれども、本件は投資家の引き当てになっていますのが神戸市様からの最終的な支払いでございまして、これを私どもの信託勘定でお預かりして、分別管理して、投資家にとってわかりやすく管理をすると、こういったところが主な役割でございます。
     引き続き、SMFGの一員としまして、ソーシャル・インパクト・ボンド、この取り組みに関しては、この全体の方針に沿って適切に対応していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

    質疑応答

    日本初「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」神戸市、社会的投資推進財団、DPPヘルスパートナー、三井住友銀行、SMBC信託銀行が導入

    記者:
     2点ちょっとお伺いしたいのですけれども、一応確認で、先ほど人工透析に移行する前の治療費が50万円で、移行した後は大体500万円かかるということだったんですが、それは年間と見てよろしいんでしょうか。



    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
     はい、年間です。



    記者:
     それで、今回、神戸市さん、この事業に乗り出されるわけなんですけれども、大体お幾らぐらい削減されるのを見込まれているかという目標の数字をいただきたいんですけれども。



    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
     10年間で約1億7,000万程度の医療費の適正化が見込まれると思っております。



    記者:
     大体何人ぐらいで計算した結果になるんですか。



    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
     この100人で計算して、100人が全部終了すれば10年間で1億7,000万、これは過去の当社の実績から逆に神戸市さんからからいただいたリストの構成から考えると、おおよそこれぐらい出るであろうという推測の値になります。



    記者:
     3点ほど伺いたいんですけれども、まず、未受診及び治療中断中の100人を対象としますけれども、これはどういう形でこの方たちを抽出して、募るのかという、そのやり方はどうなるのかというのが1点目と、ソーシャル・インパクト・ボンドの考え方として、成果連動型とありますが、この事業費2,400万円というのは、最終的には市から委託料として払われるのがこのぐらいになるという理解でいいのか、それとも、これは実費がこのぐらいかかりそうだという理解でいいのかという点。
     もう1点、成果が出なかったときには、例えば2,400万円相当かかったとしても、やっぱり市が最終的にはちょうど半額しか払わないということになるのかどうかというその3点、お願いします。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     1点目のご質問なんですけれども、この100人の抽出に関しましては、神戸市さんのほうで持たれている国民健康保険組合に加入されている方々で、まさにこういったステージが大体1期、2期、3期、4期、5期と糖尿病性腎症に進んでいくものがあるんですけれども、ここで主にこの第3期に当たる方々をこれまでの受診経過・特定健診結果から抽出をさせていただきます。これ(糖尿病未治療者・治療中断者)が大体推計で5,000人ぐらいいらっしゃるだろうとはなっていますが、今回はその中から2,000人ほどをピックアップしまして、この2,000人の方々にこういった保健指導プログラムを受けてみませんかというご案内を出します。じゃ、受けてみようかとご自身、市民の方から手が挙がった方々100人を対象にして、その100人の方にDPPさんが保健指導を半年間行っていくと、そういうやり方になっております。
     それで、3期の方が中心なんですけれども、多少ぶれる可能性はありまして、4期の方だったり2期の方が一部入ってくる可能性はございますが、主にこの3期の方を中心に行っていこうという計画でおります。



     2点目と3点目もあわせてなんですけれども、まず、2点目は、この約2,400万円につきましては、DPPさんが実際にこの保健指導プログラムを半年間行う直接の事業費になっております。それ以外には、例えばこの信託スキームを設定する経費や、第三者評価機関が評価を行う経費というものが数百万かかっておりまして、全体で3,000万円強の総予算になっております。ご質問は、神戸市さんからどのぐらい支払われるのかということなんですが、当然その全体3,000万円、成果が出ればなんですけれども、成果が出れば、約3,100万円が最大支払われるという契約になっております。



     では、3点目のご質問で、成果が出なかった場合には全く払われないのかというご質問なんですが、今回の契約はそういうことにはなっていなくて、何段階かに分かれておりまして、まず、最低保証額ということを神戸市さんのほうで設定いただきまして、まずは、この保健指導プログラムをしっかり行ったというところで最低保証額は支払われることになっておりまして、その次に、プログラムを100人のうち何%を終了したのか、それから、生活習慣がどのぐらい改善したのか、腎臓の悪化がどのぐらいとまったのかと、その成果のところでまた三段階に分かれておりまして、この三段階でそれぞれ幾らまで払いますということで複数設定しておりますので、全く成果が出なかったからゼロになってしまうというリスクは今回はございません。



    記者:
     プログラムを受ける市民の方なんですけども、こちらのほうは負担は一切なしということなんですか。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     はい。ただ、医療機関にかかった場合は、当然医療保険を使って自己負担の部分はございますけれども、保健指導を受ける分については自己負担はございません。



    記者:
     リスクというお言葉が今あったんですけれども、当然この民間の資金を活用するということで、リターンがないと資金は出ないかなと思うんですけれども、リターンに対してある程度リスクもとらないといけないというところで、このスキームの中でどこでそのリターンを確保していくのか、あるいは、ここの部分のリスクを本当は行政がこれまでのやり方ですと100%持っていたところを、どのプレイヤーがどのようにリスクを分散して持って、どの部分でリターンを上げていくのかというところをちょっと教えていただけないかなと思います。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     まず、全体でのリターンは、これは全て期待どおりにうまくいった場合には、リターン率としては5%強を見込んでおります。投資額に対して、資金調達額に対して5%強を見込んでおります。
     先ほど私も説明をしかけたどこでどのぐらい払われるかというところなんですが、金額は申し上げられないんですけれども、まずは、インプットの次ですね。活動。保健指導プログラムがしっかり終わりました。ここが先ほど申し上げた最低保証額といっているところでして、しっかり終わりましたということをもって総事業費の約3分の1程度が払われることになっております。



     次に、ここがご質問の、リスクという言葉を私、使っていますが、どれだけ成果が出るか出ないかというところなんですが、じゃ、本当に100人が100人、100%プログラムを終了したのか、ここがアウトプットのところでして、これが何%行ったかでどのぐらい払われるかという細かい設定をしております。
     


     次、2番目ですね。生活習慣の改善で、改善といってもいろんな項目がございますので、食事が変わった、運動ができるようになった、いろんな改善項目を設定しているんですけども、これは、アンケートヒアリング調査でチェックをしていくんですが、これでどのぐらいの人たちがどのぐらい改善したのかというところでまた細かい設定をしております。

     

     最後に、腎機能の低下がどれだけ抑制されたのかと、一番難しいところなんですけれども、ここは2年後、2年半後にチェックをする予定になっているんですが、この一番難しいところでも目標の抑制率を定めておりまして、それに対してどのぐらい抑制ができたのか、できなかったのかというところでやっております。



     ですので、短期的には最低保障の部分、半年間プログラムをしっかり行ったというところ、それから、中期的には真ん中のところ、長期的には2年半後、3年後のところということで、時間的にちゃんとチェックができるかどうかというところでのリスクと、それから、目標をどれだけ達成できたかというところも、これは、DPPさんの実績からすれば大丈夫だろうと我々はもちろん期待しているんですけれども、実際に初めて神戸市で行うわけですから、どのぐらい終了できるのか、生活改善ができるのかというのはやってみなければわかりませんので、そこの部分に応じて、神戸市さんからの支払い額が変わってくるという設計になっております。



    記者:
     当然、DPPさんがこのプログラムをきっちりできると、管理をしっかりできるというところは信頼を置いてやっているわけで、全くの素人に対して同じスキームだとしたら、この一番左の指導プログラムの終了までいかないわけで、完全に丸損になってしまうところを、いかにこの図でいくところの左から右に少しでも多くの人を持っていけるかというところがDPPさんの腕にかかっていると。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     おっしゃるとおりです。



    記者:
     というところで、リスクについてはミニマイズできているということですか。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     はい、そうです。



    記者:
     ちょっと確認なんですけれども、神戸市にとってのメリットというか利点を考えると、まず1つが、リスクを分散できるということと、もう1つが、民間の投資家から資金を得て、大規模で保健指導ができるという理解でよろしかったですか。



    久元市長:
     大規模ということではなくて、これは100人ですから大規模とは言えないんですけれども、神戸市のメリットは要するに、1つは、今までこういう腎臓に疾患を持っている人に対しては保健師が訪問指導をしたり、電話で受診を催告するようにするということぐらいしかやっていなかったんですけれども、今度はこういう面でノウハウ、これまでDPPさんは85自治体のいろいろな健康指導をされた経験がありますから、今まで神戸市がやらなかったような民間事業者さんの知見で新たな取り組みをしていただくということが1つですね。



     それから、もう1つは、今までは神戸市が直接これをやっていたわけですけれども、先ほど青柳代表理事からご説明がありましたように、一定の金額は、プログラムを実施すれば支払いますけれども、その後はどれぐらい生活習慣の改善に取り組んでいただいたか、最終的にはどれぐらい腎疾患の程度を示すeGFRという指標がどれぐらい改善したのかということによって、その成果に基づいて支払うということで、財政的な負担が軽減できる。しかも、その成果に連動する形で低減できるということがメリットとして上げられると思います。



    記者:
     そうなると、公共サービスというものが、今回は民間が一定のリスクをとる形で分散をしていますよね、つまり、公共サービスを投資家に依存する形になるのかなと思うんですけれども、そういうやり方で果たして自治体としてもいいのかというふうに思ったんですけれども、そこはいかがでしょうか。



    久元市長:
     国民健康保険の被保険者に対する保健指導というのは、今までもやってきたわけで、それはこれからもしっかりとやります。むしろ、これは100人に対して、これまで我々が経験しなかったような新しいノウハウというか、知見に基づいて新しい試みをしてみようということなので、行政サービスの後退にはつながらないと思いますし、そこに民間資金が導入されて、私たちがこれまでやってきたのは、どちらかというと、どれだけ改善されたのかということについての科学的知見に基づいた効果ということの測定にはつながっていなかったわけです。いわばアウトプットで終わっていたわけです。これを先ほどご説明がありましたように、アウトプットからアウトカムにまで射程を広げて、そのアウトカムの改善状況に基づいて成果連動型で財政支出をするということなので、行政サービスの後退にはつながらないし、新しい、いいプログラムを展開し、かつ財政負担の軽減にもつながるということで、私どもとしては、これは市民の健康を新しい試みで改善していくステップになるのではないかと期待をしております。



     ただ、これはある意味で実験という要素があることは否めません。実際にもしも全く成果が上がらなければ、この分についてのプログラムは、最低限の支出はいたしますが、とにかく1つの実験としてやってみようと。ただ、これまでの経験から言うとこの実験が、うまくいく可能性は高いと。どれぐらいうまくいくのかというのは、最終的には、この29年度、30年度、31年度に科学的な評価を未来工学研究所さんに行っていただいた時点で明らかになるということだと思います。


    記者:
     先ほどリターンのところで、投資額に対して約5%ぐらいのリターンを見込んでいるという説明があったんですけども、ちょっとまとまり過ぎているので、もう少し可能な範囲で詳細を伺いたいというのと、先ほどトータルで言うと3,000万円ぐらいの事業費になるということだったんですけど、それであれば、もともとの事業費を3,000万円とされたほうが何かわかりやすいのかなと思ったんですけど、2,400万円という数字にされているのはどうしてなのかというところ。あと、今回、SMBCさんのほうも出資なさると思うんですけども、その金額はどれぐらい出されるのかというあたりをまずお伺いできればと思うんですけども。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     一番最初のご質問は、5%はまとまり過ぎているというのは、もう少し詳しくお願いします。



    記者:
     具体的な数字として、投資額とおっしゃっているのは、事業費の3,000万円をベースにおっしゃっていると。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
    そうですね。



    記者:
     これ、3,000万のうちの5%ということは、150万が3年間の間に。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     最大で見込まれるリターン。



    記者:
     それが3年間で配当原資になるということになるわけですか。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     3年間ですね、はい。



    記者:
     一方で、さっきDPPさんのご説明だと10年間でしたっけ、1.7億円という。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     そうですね、医療費適正効果としては10年間で100人に対して行った場合に1.7億円が見込まれるということですね。



    記者:
     この150というのはどうやって浮いてくるんですか。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     成果に応じた神戸市さんの支払いの率とか金額がありますので、それを全部、ここまで成果が出たらここまで払いますよということが全て目標どおりにクリアできた場合、それを全部足し上げていくと、今、概数で言っていますけども、3,000万円に対して3,150万円程度のお支払いが見込めるということをもって5%ほどのリターンが見込めるという説明をしております。



    記者:
     神戸市として例えば、100人抽出して独自事業でやった場合にはどれぐらい3年間で、同じことをやったらどれぐらいかかりそうなのかという試算はお持ちなんでしょうか。



    久元市長:
     それは、神戸市でこういう事業をやったことがありませんから、これはまさにDPPさんのノウハウに依拠して行うということですから、神戸市が自分で実施をするということは、そもそもこれまでもやっていなかったし、全く我々にはそういうノウハウがありませんから、これはDPPさんが行うということです。
     ですから、神戸市が自分でこれをどれぐらいやったのかということは、金額としてはなかなか算出できないと思います。



    記者:
     このSIBというスキームは欧米で非常に主流になりつつあって、一方で問題も出てきているスキームではあるんですけど、1つは、やっぱりいわゆる行政コストの削減効果についてどうはかるかというところについて、第三者が見るというところで担保はしているものの、その物差しによっては大分ぶれ幅が出るというところは、1つ問題として指摘されているところがあって、なので、ちょっと意地悪な質問になりますけど、本当にどこまでのコスト削減効果が今回のスキームであるのかというところを、リターンで見るのか、むしろ行政サイドから見たら、もう少し成果主義的な観点で投資的経費を見ていくというところでやられるところなのか、その辺のウエートはどっちなのかなという。



    久元市長:
     そこはですから、行政的リスクというか、私が市長としての政治的リスクというのがゼロではないということはおっしゃるとおりです。つまり、このスキームをやりまして全く成果が出なかった、極端なことを言えば、DPPさんが幾ら説明会をやり、電話をしても全く誰も集まらないとか、電話に誰も出ないとかいうようなことがあれば全くこれは成果はゼロですよね。
     しかし、もともとこの100人の方は、このプログラムに参加しようという方を抽出したわけですから、まず、そういう事態は想定されません。あとは、いろいろとDPPさんがいろんな指導をされて、具体的に生活習慣が改善されたのかどうかということは、これはどれぐらい改善されたのかということは未知の世界です、やってみなければわかりません。
     


     さらに、それに加えて先ほど申し上げましたような腎機能の数値が全く改善されないのか、かなり改善されるのか。最大限改善されたということを見込むと、先ほどご説明がありましたように10年間で1億7,000万円の医療費の削減が見込まれる、これも想定です。ですから、これは実験と申し上げているわけで、最終的にはどうなるかわかりません。しかし、かなり期待ができるのではないかという見込みのもとにこのプログラムを始めたわけです。



    記者:
     先ほど出た日経さんの質問に関連するんですけども、どちらかというと義務的経費が増えてきている傾向にある中で、投資的経費というのを捻出する1つのやり方としてSIBというのは非常に注目されているところはあると思うんですけど、そういう観点で導入に踏み切られたという理解でよろしいのでしょうか。



    久元市長:
     投資的経費を捻出するために行うわけではありません。これは、市民の健康を改善するというのは神戸市として非常に大きな役割ですから、そのためにいろいろな試みを行っていますけれども、今回は全く新しい方法でこれを行おうということです。投資的経費の財源を捻出しようという意図はありません。
     


     ただし、先ほど言いましたように、医療費をどう抑制するのかというのは、これは非常に大きな社会的課題で、自治体もそういう課題に取り組んでいかなければなりませんから、医療費の削減ということも大きな狙いです。しかし、医療費の削減というのは最大の目的ではなくて、やはり市民の皆さんの健康状態を改善する。先ほども冒頭申し上げましたけれども、人工透析に陥ると1日3時間から5時間ぐらいの透析をし、そして、透析を例えば午前中にすれば、午後はなかなかだるくていろんな活動ができないというようなことになるわけですね。そういう状態をいかに未然に防止をして、市民の生活の質を上げていくということが非常に大きな狙いです。



    記者:
     収支などについては。



    高田常務執行役員(株式会社三井住友銀行):
     今のところ、全体コストの3分の1程度を銀行から資金を提供するということなんですが、形としては、DPPさんが受けとられる業務委託料を信託して、その信託受益権を銀行が買うという形になります。ちょっと付言いたしますと、金融機関としても、本件に参加する意義として、やっぱり銀行全体として、将来に向けて社会貢献というところでどれだけお役に立てるかというのは非常に重要なところでございますし、あわせて、銀行としてお貸し出しできる、そういう収益機会が得られるということとあわせて、個人投資家という話があったと思うんですが、私もいろいろなオーナー、企業さんの経営者とお話ししておりますが、やはり人口減少という中で、将来に向けた社会保障費の増大だったり、若者の貧困の問題だったり、教育の問題だったり、将来の自分たちの子供たちに対してやっぱりしっかりと社会をつくっていかないといけないという非常に高い志を持っておられる経営者の方はいっぱいいらっしゃいます。
     


     そういう意味で、今回、これは寄附というところじゃなくて、やっぱり社会的問題を解決しながらリターンを確保していって、合理的な投資スキームに組み立てたというところが非常に意義あることではないかというふうに思っておりまして、当然、神戸市さんとしても、いろいろ、これ、本件導入によって得られるメリットも大きい一方で、我々金融機関としても非常に価値ある取り組みだということですし、いろいろな、投資家にとって投資機会が増えるということ自体は健全な金融ということにつながるということだと思いますので、両サイドでそれぞれ、やっぱりウイン・ウインを目指している取り組みではないかというふうに思っております。



    記者:
     ちなみに、あと、残りの事業費というのは、個人投資家の方が例えば幾らぐらい出されて。



    高田常務執行役員(株式会社三井住友銀行):
     個人の方は今のところ銀行の約半分ぐらいかなというふうに思っておりまして、残りは財団さんのほうからご提供いただくという形になるんだと思って。ただ、これ、まだ全体の募集人数も決まっておりませんので、これからということになりますが、大枠はそういう仕組みで考えております。



    記者:
     個人投資家の500万というのはこれから募る形になるんですか。



    高田常務執行役員(株式会社三井住友銀行):
     これは、全体の金額が確定してから、基本的には手前どものプライベートバンキング部が主体となって、これから、興味あるお客様に受益権を販売するということになろうかと思います。



    記者:
     これは別に、神戸におられる個人投資家と限らないんですか。



    高田常務執行役員(株式会社三井住友銀行):
     限りませんが、個人的には、やっぱり、将来、神戸のことを思っておられる、ご家族が神戸にいらっしゃる、お子さんが神戸にいらっしゃる方が投資していただければ非常にいい話だなというふうには考えております。



    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
     1ついいですか、補足で。
     先ほど、神戸市で同様の事業をされたらというご質問があったかと思うんですけども、この指導というのは非常に難しい指導で、糖尿病になりますと、大きい血管に出る場合、小さい血管に出る場合で、さまざまな合併症が出てきます。DPPヘルスパートナーズも、大体、この指導をできるのに2年間ぐらいをかけて養成しておりますので、もし神戸市さんが同様の事業をやろうと思えば、専門の糖尿病の臨床経験のある方を雇用して、2年程度、誰が教育するかという問題もあるんですけども、教育を受けてプログラムを開発して実行するというのは、事実上これはできないと我々は自負しておりますので、そこは我々のノウハウを活用していただくということしか現状ではこの事業というのはできないと思っておりますので。


    記者:
     市長に伺いたいんですけれども、お話の端々に何となく趣旨はわかったんですけれども、今までの行政のいわゆる事業委託のやり方というのは、見積もりなどで大体の予算を決めて普通に委託するような形で、こういうことをしてください、向こう側はこういうことを一応しました、で、お金が支払われるというのが一般的で、大体どこの自治体さんも同じだと思うんですけど、アウトプットというか、要は検証がちゃんとできてなかったというとこにつながると思うんですけど、今回これを導入するということは、結局、成果に応じてしかお財布は痛まないということなので、結局は無駄遣いにはならない、税金なり予算の無駄遣い化が防げるというのも一つの狙いなのですか。



    久元市長:
     行政がやっているさまざまな事業は、例えば民間に対し委託をするとか、指定管理者制度で実施をしてるとか、PFIでやってるとかというのは、何らかの成果は出てるんですよ。これは、アウトプット、成果が実際に上がって、それは、何らかのアウトカム、あるいは、効果、エフェクトと言ってもいいかもしれませんが、何らかのものはやっぱり発生してるわけです。しかし、何らかの、どういうものが発生しているのかということについて科学的な検証ということは、非常に、そういう面でのノウハウというのは、いろんな、これは行政管理手法でいろんな研究が重ねられてきましたけれども、行政実務の分野ではそれはあまり活用されてきませんでした。



     今回は、これを、先ほどから説明があるように、実際にどれぐらい成果が上がったのかということを、実際に症状の改善、血糖値の改善という指標でもってこれが明らかになり、その成果に基づいて委託料を支払うということになるので、これは1つの新たな試みです。ですから、これがうまくいくということであれば、この事業そのものを、100人ではなくてさらに人数を拡大するということは十分あり得ますし、そうであれば医療費削減効果もさらに大きなものになります。この方法が非常にうまくいったということになれば、全く違う行政分野にこのSIBを活用するということも将来あり得るのではないかというふうに思います。



    記者:
     3年間で一応区切りがあるんですけど、それ以降もあり得るんですか。



    久元市長:
     それは今のところは未定です。まず、どれぐらい成果が上がったのかということを第三者機関の評価を含めてよく検証して、その上で、関係者で、このパートナーの間で議論をして、その後をどうするのかということを議論することになると思います。



    記者:
     最終的な目標が、今回ずっとおっしゃっているように、透析に移行するのを予防するというところですけれども、資料だと何か10%ぐらいの方が透析に移行するみたいな資料もありましたけれども、そこを数値として成果には織り込まないのはなぜかというか、腎機能の低下抑制効果としてはかっているのは何か理由が。それは無理なんですか。



    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
     可能性としたら、指導した群と指導してない群の、その後の透析に移行したかどうかというところを長い期間で判定すれば、その差をもって判定するということは、おおよその統計的にはできるかと思いますけども、あまり具体的にはできないということで、評価としたら実際の数値でやるほうがより明確であるという。その数値が維持されてるということは、結局、人工透析に行ってないということになりますので、今の評価で十分かなと思っております。



    記者:
     確認なんですけども、内藤さんに伺いたいんですが、これまでの八十数例の事業費というのはどういうふうに賄ってこられたのかなということと、こういうスキームに加わって、改めて事業者としてのメリットは何なのかということですね。
     それと、あと、青柳さんに伺いたいのは、社会的インパクト投資というものというのが、国も、去年ぐらいからですか、おっしゃってるようなことかなと思うんですが、その社会的インパクト投資というものにおける今回のスキームが持つ意味というものについて教えていただけないかなと思うんですけど。



    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
     当社が85自治体、今までやってくる中での資金負担というのは、主に銀行からの借り入れということでやってまいりましたが、なかなかそれも、枠というか、限度がありますので、そこで限界が見えてきたというのが現時点のところでございます。
    内藤常務取締役(株式会社DPPヘルスパートナーズ):
    先に資金がいただけるということで、指導だけでも6カ月ですから、その準備段階から報告書をつくるまで含めると、半年以上、8カ月ぐらいはかかるんじゃないかなと思うので、その間、我々はずっと、従業員の給与を、担当している者の給与を払い続けているわけですから、そこをずっと銀行から借りてきて何とかやってきたというところが、今回、先に資金をいただけるということで、そういう仕組みがあれば徐々に事業が拡大できるということになります。
     我々としても、単に利益を出したいためにやっている会社ではないので、広島大学が初めて重症化予防というのに取り組んだものを、日本の医療費が40兆円を超えるという中で、年間1兆円増えるという中で、少しでも抑制していこうと。それが国民のQOLを維持することによって医療費が適正化されるという、これを広めたいという気持ちで、資金的な面で今回のソーシャル・インパクト・ボンドというのは非常に効果があると考えています。



    青柳代表理事(一般財団法人社会的投資推進財団):
     ご質問いただきましたのは、資料にもありますように、社会的インパクト投資、これは、資料にも簡単に説明しているように、社会的な課題を解決することを目的にしながらも、その資金は民間の投資的な資金を呼び込んで、そして経済的な便益も狙っていきましょうという、社会的なリターンと経済的なリターンというふうに我々は言っているんですが、そこを両方狙っている構造のことを言っております。



     我々、こういったものを推進していく立場にある財団なんですけれども、今回、ソーシャル・インパクト・ボンドというのは、この社会的インパクト投資という大きな取り組みの中の1つの仕組みになります。この意味合いは、ここ、関係者がそろっているように、特に神戸市さん、行政さんが真ん中にいらっしゃって、行政の政策課題の一部を民間のノウハウを使ってやっていきましょうということで、通常のインパクト投資は民間の事業者と民間の投資家が出てきてそこで進めていくということでも成り立つ話なんですけれども、今回のソーシャル・インパクト・ボンドは、そこにちゃんと行政さんが主体的にかかわってらっしゃって、そして、チームとして地域の課題を解決していきましょうということの取り組みで始まるというのが一番大きな意味合いだと思っております。



     やはりいろんな社会課題はありますけれども、やっぱり単独の民間だけでもいけませんし、行政だけでもなかなか成果が出づらいという状況になっている中で、官民合わせた形で、しかも投資的な資金も調達して行っていくということで、全く新しい取り組みで解決を促進させていこうということにおいては、インパクト投資の中でも、非常にきょうの説明もいろいろいただいてありがたいんですけれども、わかりづらい一方で、非常に多くの関係者が一緒に取り組みましょうということでは、非常に社会的に意味がある取り組みの1つになっていると思っております。



    職員:
     ただいまから写真撮影準備を行いますので、しばらくお待ちくださいませ。
     それでは、準備が整いましたので、撮影をよろしくお願いいたします。



    (写真撮影)



    職員:
     それでは、本日の会見を終わらせていただきます。