神戸市-KOBE-


臨時会見 2015年(平成27年)11月26日

最終更新日
2015年12月1日

発表項目

「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム」採択のお知らせ
(20分11秒)

質疑

発表項目についての質疑応答

発表項目

「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム」採択のお知らせ

≪説明者≫
●久元市長
●理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター長  渡辺 恭良氏
●神戸大学 理事・副学長  小川 真人氏





職員:
 ただいまから科学技術振興機構「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点推進プログラム」事業採択に関する記者会見を始めさせていただきます。初めに久元神戸市長からご挨拶を申し上げます。



久元市長:
 では、よろしくお願いします。「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム」につきまして、理化学研究所を中核機関とした神戸市、兵庫県などが提案しました内容が、本日採択になりましたので、その概要を説明させていただきます。
 コンプレックスというのは、一般的に一定のエリアに異なる機能が「集積」していることを言うわけですが、このリサーチコンプレックスというのは、地域において集積している研究機関、企業、大学などがそれぞれの活動を融合させて世界の注目を集めるような異分野の融合による最先端の研究開発、成果の事業化、人材育成を一体的・統合的に展開するための複合型イノベーション推進基盤というように言われています。



 このプログラムは、文部科学省が推進している国家プロジェクトで、このプログラムの採択は国立研究開発法人科学技術振興機構が−全国からどれぐらいの応募があったのかわかりませんが−有力な各地域の提案を審査しまして、全国で1カ所、この神戸を中心とするプログラムが採択になったということです。
 このプログラムでは、地域に集積する産学官と金融機関が共同で5年後、10年後からその先に実現される地域の姿あるいは社会活用をビジョンとして描いて、国内外の異分野融合による最先端の研究開発、事業化、人材育成を一体的かつ統合的に展開するという内容になっています。



 これは国から示された概念ですが、かなり抽象的な内容ですので、今日は理化学研究所の渡辺ライフサイエンス技術基盤研究センター長、また、神戸大学の小川理事・副学長に出席していただいて、異なる切り口から説明させていただきますので、順次イメージを描いていただければと思っています。



 私どもは「健康“生き活き”羅針盤リサーチコンプレックス」という提案をさせていただきました。この提案は、理化学研究所を中核機関としまして、神戸市、兵庫県、大学研究機関、研究機関は京都大学、神戸大学、兵庫県立大学などの12機関になりますが、更に企業ですね、阪急阪神ホールディングス等の31社。
 これらの異なる分野の各機関が共同で提案したものです。そして、これを実施していくために推進協議会を既に設立していまして、阪急阪神ホールディングスの角和夫社長に会長に就任していただいています。



 2番目の提案概要ですが、私どもが提案させていただいた「健康“生き活き”羅針盤リサーチコンプレックス」。これは、より正確な健康維持・増進への指針、将来にわたって健康で生き生きとした人生を送っていく上での道標・羅針盤の提供をめざして、そのためのツールを、仮想自身の構築を進めるということにしています。
 すなわち、この医療産業都市に国内外の人材、大学・研究機関の研究人材を結集すると。そして、ライフサイエンス、ナノテクノロジー、計測科学、デバイス、コンピュータ科学を融合することで、人に関する研究データ等の統合的な理解を進めると。
 そして、将来の自分の健康状態を予測するために必要なコンピュータ上での仮想自身の構築、これをさまざまな業界と連携して推進していくものです。



 そういう基盤を形成しまして、新たなサービスあるいは製品の開発に繋げていこう、更にそれを様々な業界へ波及させていこうという目的を持っています。
 ビジネスアイデアの創出、そして速やかな事業化に結びつけるための仕組み、あるいは事業家の育成システムの構築も行いまして、健康科学に基づくビジネスの国際的拠点と神戸医療産業都市をするべく、全力を挙げていきたいと考えています。


 国からの支援は、このリサーチコンプレックスの成長・発展を促す1.異分野融合共同研究開発、2.事業化及び支援、3.最先端研究設備−例えばスーパーコンピュータ「京」を使った研究開発の支援ですね−の共同利用、4.人材育成共同カリキュラム、5.推進体制の強化、この5つの事業ツールに対して支援が行われます。
 これは原則として5年間で、1年間最大7億円の支援が国からいただけるということになっています。



 私どもは、先ほどの推進協議会を−これは準備会合ということになりますが−設立しまして、9月15日に国に提案しました。そして、現地の審査も行われまして、本日、先ほどの科学技術振興機構から採択の通知があったということです。
 この採択は、神戸市が採択拠点ということになっていまして、あと、フィージビリティスタディ(FS)を行うところが3カ所ありますが、本格的にこのリサーチコンプレックスを実施していくことになるのは、現時点では神戸だけということになります。





渡辺センター長:
 理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターのセンター長をしています渡辺です。よろしくお願いします。
 まず、市長がお示しになった図ですが、前方にも画像が出ていますので、お手元の資料とともに見ていただけたらと思います。目標は「個別健康の最大化」ということです。
 皆さん、健康に生き生きと過ごしておられる、あるいは過ごすことを考えながら毎日過ごしておられますが、どうしたらそれぞれが健康の最大化に結びつくような手段、あるいは方法、そういったものを選べるかどうか。
 簡単に言いますと、そういった個別プログラムを組むためのデータベースをつくり、それを活用して実際にご自分の、よりよい方法を見つけていただくということをオープンイノベーションという形でたくさんの産業界の方々と一緒に進めていきたいと思っています。
 そこには私ども、ライフサイエンスの研究をやっておる者、それから、たくさんのデバイスやコンピュータ、計算科学をやっておられる方々、情報科学、それから、ここではもっと精緻なナノテクノロジー、そういったところも含めて研究を融合して行います。
 そして、今日、神戸大学から小川理事に来ていただいていますが、やはりこういったところの人材を育成して、早く事業化、あるいはヘルスケア全体の大きな固まりをつくっていきたいと思っているところです。



 少し背景について−もう皆さんよくおわかりのことだと思いますが−説明させていただきます。
 皆様よくおわかりの医療費、日本の国家予算の40%を越えてまいりました。それから、労働人口は1990年代の8,600万人をピークにしまして、2050年には5,000万人に落ちますので−やはり私も年をとってきていますが−皆さんが元気に労働して活躍しないと、我が国、あるいは世界がもたないということは自明の理であります。
 そういうことで、健康状態を維持すること、それから介護にならないこと、そして、更に健康を増進して、皆さんが思い切り活力を発揮できること、そういったことがそこに書いてありますが、これはもう皆さん、よくよくおわかりのことだと思っていますので、そういう背景に基づいて、いろんな研究が今までされてきました。



(画面を示しながら)
 これは、医療産業都市を中心にして、これまでたくさんの方々が闘ってきたといいますか、対応してきました疾患、病気ですね。
 これは、連続的な繋がりがあります。皆さんの健康が損なわれて、いろいろなところの不具合が出る。それがだんだん病気に結びついていきます。
 いわゆる未病という領域であって、そういったところが全体に繋がっていますが、この図は皆さんの毎日のいろいろなコンディションの変動をあらわしていまして、これが健康な間は、ある正常域・正常値の中で、皆さんがちょっと調子が悪くなってもまた元に戻れるという復元力を使って健康を維持しています。



 ところが、その振幅が下のほうにずれていきますと、やはりそういう異常が(発生する)、一体何が原因で起きているのか、いろんな原因があります。そして起きていること、非常にコアなメカニズムははっきりしていますが、まだまだ詳細のこと、それぞれの臓器の問題というのはわかっていません。
 非常に中心的な課題は、1.やはり錆付き(さびつき)であったり、2.それから炎症、いろんなところが簡単な炎症を起こしてくる。そういう問題。3.それから、やはりそれを新しい部品をつくって置きかえたり修理したりするエネルギーが足りなくなってくる。その3つですね。
 そういったコアなことはわかっているんですが、それをいかにしていろいろな臓器の中で、それをできるだけ低侵襲、非侵襲、体の外部から計る。例えば今、血糖値は、皆さんもご存じのように体の外から、ほとんど血液中の血糖値と同じようなものが精度を持って計れるようになってきました。そういう開発を片方でどんどんやっていますので、そういうことにいろんな介入手段、それを加えまして、しかも今、たくさんそういう研究が行われていますが、それをコンピュータ上でバーチャルに行おうというわけです。
 例えば、久元市長のいろいろなデータを測定させていただいて、そのデータを入れ込みます。当然、ご自分の感じておられることも非常に重要なんですね。毎日どんなストレスがあって、そして自分の体についてどういう不調があるのか。眠れないのかとか、いろんなことがありますので、そういう主観と客観ですね、それを組み合わせて入れていきます。そこにももちろんサイエンスがいろいろあります。



 ナノヒューマンという、これは本当に精緻に、例えば心臓であったり、あるいは動脈硬化のプラークという焦点であったり、そういったところに焦点を当てて全体のいろいろな臓器間の相関とか、いろんなものがありますので、そういうことをもうちょっと精緻に、人のモデルとして研究していく。そういうものは京都大学のセンター・オブ・イノベーションを中心にされていますので、一緒にやりましょうと。
 リビングヒューマンというのは、実際我々の体の中で起きている。先ほど血糖値の話をしましたが、今は認知症に向かうときの私たちの頭の中にたまってくるアミロイド蛋白とかタウ蛋白とか、あるいはいろんな機能、認知機能を測定することができますので、そういうことを実際に実証する。



 そういったもののデータを全部入れ込みまして−例えば久元市長のお名前ばかり出して申しわけないですが−久元市長のそういうデータをもとにした、久元市長のバーチャルな「仮想自身」と称していますが、そういったものをこのインシリコヒューマンのところで、「京」コンピュータ、あるいはポスト「京」プログラムの中で組み入れていきます。
 そして、皆さん−あるいは久元市長−がどういうものを毎日とられて、サプリメントだったり医薬品であったり食品だったりですね。あるいはどういうものを着られて、つまり衣食住に全て関係したこと。それからどういう交通手段を使ったか、運動をどれぐらいするのか。そういうことをシミュレーションして、それぞれの一番よいプログラムをつくっていきまして、これを1つの大きなリサーチコンプレックスの中心にしようとしています。
 まだ、これだけの集積をしているところは、世界にほとんどありません。ただ、世界でいろんなところと共同してやっていきます。



 そういったところに、実はたくさんのビジネスチャンスがあります。神戸市が今までやってこられた医療産業都市、そこにもう一つ健康という軸を加えて二段ロケットとして次の結集を図る。
 その中で皆さんもご存じの、たくさんのヘルスケアの周辺産業ですね、そういったところがありますので、そういったところのマーケット、産業界、そういったものの事業を行うような方々を人材育成し、それと同時に事業化をスピードアップしてやっていきます。
 そこには当然、金融界の方々のご支援も必要ですので、そういう方々に集まっていただいて−現在は31社ですが−実際に採択されたら加入しようと言っておられる方々もたくさん産業界におられますので、そういう大きな結集をして、この神戸の地で、医療と健康の日本の大きな旗を上げていきたいと思っています。





職員:
 続きまして、神戸大学小川理事より、学長メッセージと人材育成に関するご説明です。





小川理事:
 神戸大学の研究担当理事の小川でございます。私の方からは、神戸大学 武田廣学長のメッセージをお伝えしまして、ただいまご紹介がございました人材育成についても触れさせていただきたいと思います。
 まず、このたびのリサーチコンプレックスプログラムの採択を協働提案者としまして、大変喜ばしく思います。また、提案申請に中核機関としてご尽力いただきました理化学研究所、そして共同提案者、参画機関としてご尽力いただきました、兵庫県、神戸市、京都大学、兵庫県立大学、阪急阪神ホールディングス初め、多くの機関、企業の皆様に心よりお礼とお喜びを申し上げたいと思います。



 さて、この神戸ポートアイランド地区で健康をキーワードとした新しいイノベーション複合拠点を構築するプロジェクトに、地元大学として貢献できることは、私どもとしてこの上ない喜びでございます。
 今回の取り組みでは、健康に関わる分野横断の最先端研究とともに、それを事業化して産業に育て上げ、あるいはベンチャー企業を立ち上げ、また、それらを支える人材を育成する数々の取り組みが計画されています。私ども神戸大学は、その中でも重要な人材の育成を中心的に担ってまいります。



 折しも、本学では、全く新しい文理融合型大学院としまして、科学技術イノベーション研究科を来年4月にスタートします。
 ここでは、最先端の理系、生命医学系の教育研究とともに、事業創造に焦点を当てましたアントレプレナーシップ、すなわちベンチャー会社、起業の実践的で充実したカリキュラムを特徴としています。この新しい大学院のめざしてきたことが、実は、今回、採択されましたプロジェクトが計画しています、イノベーション創出とそのための人材育成にぴったりと符合することになりました。
 神戸大学は、この科学技術イノベーション研究科での意欲的な取り組みを1つのひな形としまして、さらに拡張し、リサーチコンプレックスの人材育成を強力に牽引してまいりたいと存じます。



 もう一点、神戸大学の誇るポートアイランドでの統合研究拠点の施設がリサーチコンプレックスに大きく貢献します。それは、経済産業省の支援のもとで、30を超える企業、諸機関の協力により運営されるバイオ医薬品製造施設でございます。臨床で使えるバイオ医薬品を製造可能な施設としまして、日本国内の大学で唯一の機関でございます。
 リサーチコンプレックスにおきましては、人材育成のツールとして、また、健康に関わる新しい医薬品や機能性食品の事業化ツールとして、このプロジェクトに大きく貢献する予定でございます。



 以上のように、ご紹介しました科学技術イノベーション研究科とバイオ医薬品製造施設の2つを中心としまして、神戸大学は、リサーチコンプレックスの人材育成、さらには、事業化からイノベーション創出に至る取り組みに貢献してまいる所存でございます。
 関係の皆様におかれましては、どうぞお力添え、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

発表項目についての質疑応答

「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム」採択のお知らせ(テキスト版)

記者:
 今回の採択を受けての、久元市長の将来に対する期待といいますか、受けとめをお伺いしたいのと、渡辺センター長にお伺いしたいんですが、こういった情報のデータベース化であったり活用というのは、簡単なところで言うと「お薬手帳」のデータ使用であったりだと思うんですが、将来的な可能性としてどういった形で一般の方の目の前にあらわれる可能性があるのか、もう少し説明していただけますか。



久元市長:
 まず、医療産業都市は、これまでiPS細胞を使った開発と臨床研究をする。あるいは、医薬品の開発を−創薬という−そういう取り組みを行ってきたわけですが、今回は、そういうようなレベルから、更に一歩進んで、健康全体に関する科学的知見を総結集するというように、かなり医療産業都市の幅が広がることになると思います。
 さらに、健康ということをテーマに人材が結集される。このステージに、関西全体の研究者、そして企業にも入っていただいていますから、優れた人材、そして企業が、このコンプレックスを、その採択を契機にして神戸の医療産業都市に結集された。そして、事業化への取り組みも期待できると。
 ある意味で、医療産業都市が新しいステージに入るということを意味するのではないかと感じています。
 これは−お聞きいただいたらわかりますように−ハード施設の整備ということではなくて、ソフトの研究開発なんです。こういう内容のプロジェクトに対して、国が最大限7億円で5カ年という非常に大きな支援をしていただけるということも意味があると思いますし、そのような財政的な支援も得て、先ほど申し上げました方向性に、理化学研究所を中核機関とし、神戸大学を初めとする大学の参画を得て、ぜひ医療産業都市を更に前に進めていきたいということに思っています。



渡辺センター長:
 まさに今、質問していただいたことが非常に重要な出口の1つでして−我々が今考えていますのは−1つは、国の内閣官房が中心になっています「健康・医療情報ICT」−元々は電子カルテから始まったいろんな情報ですね−そこに実は健康の情報をどれぐらい載せるか。
 健康の情報といいますか、いろいろな、皆さんが健診を受けられたり、それからもうちょっと言えば、今回、このリサーチコンプレックスでやらせていただく新たな計測ですね。そういったものをいかに載せ込んでいくか。そして、それをデータベースにして、個々人に活用していただくわけですが、それを、例えばスマホタイプでやっていくのか、高齢者に関しては、先ほど「お薬手帳」などと言われましたが、やっぱりそういうアクセスしやすい形というものをつくっていかなくてはいけません。
 理研の中だけですが、今、高齢者のプログラムというのを片方で何とかつくっていこうとしていまして−その中では「健康設計手順書」という名前をつけて−ご自分の健康、例えば、皆さん今、1時間かなりエネルギーを消費するように歩いた方がいいですよということを一律に言われている。
 それから、食事、例えば1日5回のほうがいいですよなど、いろんなことを言われています。テレビのコマーシャルを見られても、山のように、これはいい、あれはいいというのが出ていまして−それは科学的根拠のあるものもありますが−やはりご自分のいろいろなコンディションを入力した上で、その最適化をしていかなくてはいけない。そういうカスタマーのためのことをやっていこうとしています。
 ですから、これはある意味、産業なのではないかと、サービス産業ですね。今おっしゃったように、我々がどうする、あるいは神戸市、兵庫県がマイナンバー制度とともに、医療情報、健康情報をどのように載せていくか等のお考えもあるでしょうが、多分リサーチコンプレックスの将来の計画としては、そういったサービス産業も含めて、このコンプレックスの中で企画していくということが求められているようなつもりも、私たちも思っています。
 ですから、そういうサービス産業的なところも一緒になって、もちろん自治体の方々も一緒になられて、皆さんに届けるものを、できるだけ早くちゃんと整備をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。



記者:
 おつくりになりたいデータベースというのは、例えば10代の間、非常に不摂生な生活をしているという情報を入力しておいて、それはいろんな人たちのデータが集積している中で、不摂生を行っていた10代が10年後にはどういう病気にかかりますよというのがわかった上で、じゃあ、こういう改善策が必要ですよということがはじき出せるデータベースになるんでしょうか。



渡辺センター長:
 そういうご理解をしていただいたらと思います。今、私たちが、もともと慢性疲労の研究をやっていまして、子ども達が不登校になっている一番の原因が睡眠の質の悪さであったり、やはりなかなか眠りにつかないというところなので、まさに今おっしゃったようなことが今いろんなデータから予測がついてきます。
 だからこうしたらいい。例えば家族ぐるみでちゃんと早く寝るようにした方がいいとか、幼児や乳幼児を夜中11時過ぎに引っ張り回さない方がいいとか、いろんなことがわかっているわけですね。
 ですから、そういうことに基づいていろんな警告といいますか−そう強いものではないですが−いろんな提言していくことも大いにデータベースなんかには入れていかなくてはいけないと思っています。



記者:
 今のお話でいくと、先ほどおっしゃった「一律でこういう健康方法がある」という情報が、今流されていますが、個々の最適化を図っていくというニュアンスの方が近いということですか。



渡辺センター長:
 はい、正しいと思います。私自身はどうしたらいいか、選択肢は山ほどあるんですが、一つ一つ選択肢を2年、3年、あるいは5年試しているわけにはいかないわけですね。
 ですから、その時にいろんな情報が入ってきます。毎日どういうものを食べていて、血液中には何が足りていないのか。そういうことを全部入れた上で、じゃあ、そういうものが必要なんだということを個別、一人一人について提供していくということが目標です。



記者:
 最終目標の「個別健康の最大化 生涯現役で活躍」というところで、最終的なイメージとしては、より寿命を長く延ばすところなのか、あるいは寿命は90歳で、90までばりばり元気で、いきなりぽっくりみたいなのとどちらでしょうか。



渡辺センター長:
 どちらかというと後からおっしゃったほうで、ただ、ぽっくりとか、ぴんぴんころりというのは余りいい表現ではないと思っているんですね。やはり亡くなるときには、そんなに簡単に亡くなられるわけではないので。ただ、両方です。
 もちろん120歳と言われている「ヒトの寿命」というのは−あれはいろんな遺伝子のテロメアの長さとか、いろんなことから−今の科学で考えた120歳ですので、それは早晩−いろんなことでですね−もちろんiPS細胞、その他のいろんな進歩によってもっと長くなると思いますが、やはり健康で活躍できて、あるいは生きがいを持っていて生きられるということ、そちらにもちろん優先順位はあると思います。



記者:
 中身は理解できたんですが、健康診断を受けたら結果が出て−γ-GTPが大分高いので、飲みすぎないように言われるんですが−それをもっと細かく分析して、食べるものから、運動の量から、住むところの環境から、そういったところまでコンサルしていただけるようなことをめざされているんでしょうか。



渡辺センター長:
 むしろイメージとしましては、現在の健康診断−皆さんが受けておられるもの−に基づくのは、病気にもうなりかけているかどうかなんですね。ですから、そこではもちろん病気になる危険リスクというのはわかりますが、今、我々がやろうとしているのは、もうちょっと手前側ですね。
 例えば、先ほど錆付きということを言いました。年をとったり疲れたり、いろんなところでそういう酸化される−生体酸化−錆付きという現象が出てきているんですが、それはどこにも健康診断では計っていないですね、今。今度、ストレスチェックが始まりまして、自律神経の測定とかいろんなことがなされてきますが、今、皆さんがストレスを感じられて、いろいろ体調が不良になる時に、最初に自律神経系の不調がきれいに計れるんです。それは我々の慢性疲労の原因でもそうなんですが、そういったところが今の健診ではやられていないんですね。
 ですから、健康の不具合を先行して見られるような項目を、現在の病気を検出する健康診断にもうちょっと加えていこうという方向性の研究とその事業が今回のイメージと思っていただけたらと思います。
 健康診断データをさらに精細化してそれをやるというのでは、十分満足できる介入はできないと思います。



記者:
 健康診断プラス新しい何か。



渡辺センター長:
 そうですね、新しい科学でわかった計測を−例えば今の健康診断の項目が2倍ぐらいになるかもしれませんが−そういった形で日本初の、そういう新しい健康診断革新をやっていこうということが1つの大きな目標です。



記者:
 これは本来、採択したところに聞くべきですが、なぜ採択されたのか。どういうことが評価されて、どういう狙いを受けて事業採択されたと思われますか。



久元市長:
 それは、採択をしたのは科学技術振興機構ですから、私はお願いをした方なので答える立場にはないんですが、この採択のプロセスでは、アドバイザリーボードと言われる方々が任命をされまして、それらの方々が書類審査をし、ヒアリングをし、また、現地の調査も行われ−私も医療産業都市の説明をしましたが−そういうようなアドバイザリーボードの方が、いわば採点をされたんでしょうかね。採点をされた結果、私どものプログラムが採択されたということではないかと思います。
 これは国家プロジェクトとして世界に発信をするということが大きな狙いであったと、国の側では、そういうことだと思いますから、私どものこれまでの医療産業都市の取り組みイメージ。それから、今回の提案の内容というものが、やはり世界に発信できるような内容を備えているということを評価していただいたのかなと受けとめています。



記者:
 国民皆保険制度の崩壊と介護保険料が増大している中、健康を保持して、介護に頼らず、寿命ぎりぎりまで労働人口を維持できるということが、まさに今の日本には欠かせないものなのかなと思うんですが、そのような日本人の健康を最大に生かすことで、国の活力を維持することができるのではないかという期待を持つんですが、そういったところにも神戸市としては繋げていくようなことが狙いということでしょうか。



久元市長:
 もう、何か答えを先取りして言っていただいたような感じもするんですが、このプログラムは大変広がりを持つものです。そこに結集される人材を大変多岐、非常に幅広い分野にわたっています。ですからそこのアウトプットというものは、つまるところやはり健康寿命を延ばしていくことだと思うんですね。
 健康寿命を延ばすということは、つまるところ、ここにあるように非常に大きな問題になっている、増え続ける医療費の増大をいかに抑制していくのかということに繋がるし、そして今、これから−やはり長い目で見たら−日本の社会というのは人手不足になっていきますから、できるだけ長く働いていただくということで、労働力人口の維持をすることにも繋がると思うし。
 そういう直接的なことだけではなくて、やはりみんなが元気で生きていくための幅広い研究ということが、そこから触発されていろんな違う分野の、今までは予想されなかった学問領域というものが生まれるかもしれない。それは、今までは既存の学問領域あるいは大学の学科ということが細分化されていたけれども−神戸大学で研究されているような−異なる学際領域を融合させていくようなアプローチとも重なり合って、新たな学問分野が生まれる。
 そこから新たな事業化に向けてのヒントというものが生まれて、実際に科学技術あるいは事業化に必要なその技術というものの開発が進んでいく。そういうような形で、どんどんよい循環が幅広い分野で生まれていければ、大変ありがたいかなという気がします。



記者:
 今回の話を聞いていると、やっぱり健康。それから、それに向けての未病という形でのデータベース構築ということですが、いわゆる医療機関が今後どのようにして関わっていくのか。それから、今回その中で医師会はどのような形で関わっていくのか教えていただけますか。



渡辺センター長:
 それでは、まず医療機関です。このコンプレックスの中には、もちろんポートアイランド医療産業都市を構成されているたくさんの、またこども病院も含めて集まってまいります。
 全部で二千何百床のベッドがポートアイランドの中だけでもありますし、もちろん神戸大学医学部附属病院初め、たくさんの医療機関と共に、今、ご存じのように医療機関でもいろんな健康相談、糖尿病になられる、例えばヘモグロビンA1Cというのが高いと、運動をこうしたらどうですか、食事はこうしたらどうという、結構コンサルティングのところをやっておられるところがいっぱいありますので、そういうところ。
 それから、神戸大学にはいろいろな食品も含めた健康科学評価センターを立ち上げられまして、我々一緒に活動しようとしていますが、そういう病院、医療機関の中でも、やはり、今言われた健康とか、未病。健康をどうして守っていくか、健康をどうして増進するかということについては、もう既にいろいろなアクティビティーを持っておられますので、そういったところと。
 それからもちろん、これ先行きは病気になりますので、今の糖尿病にしても、やはりいかに糖尿病にならないようにするかということと、いかに早期発見するか、そういったところを一緒にやっていかなくてはいけないと思っていますので、連続性のあるコンプレックスだと思っています。



職員:
 医師会との関わりもお話がありましたが、このリサーチコンプレックスの研究は、もう数多くの研究者の方々、そして企業が入っていまして、多くの研究が実際に行われるという状況になります。
 その時に、どんな形で医療機関に対してお願いするかというのは、ちょっと個別の内容になってまいりますので、医師会のご協力が必要な分野については医師会とも話をして、その研究についての協力を求めるというような、個別の事業に対応してまた協力の方を依頼していきたいと思っています。



記者:
 今、お聞きしていて、やっぱりソフト面の評価が非常に出てくるんですが、どうやって実現するかとなると、ハード面の充実が出てきますが、その点、この31企業の中にそういうものを担当する企業がいてハード面の−例えば、健康情報なんかをウエアラブル装置とかにどう落としていくのか、デバイスの部分にどう落としていくのかという−部分が多分、課題になって−今いろんな技術があるんですけど−なかなか機器として成立してこないという現実があるので、それはどう対応していくのかということと、もし機器までやるとなれば、この事業から離れてやるのか、この事業の延長線上でやってもいいのか、そのあたりをちょっと教えてください。



渡辺センター長:
 今言われた情報のところは、そういう大手の企業さんも入っておられまして。ただここで今、どこどこがという明言をしないのは、これからいろんな話がスタートしますので。もう既にそういうところが加わっていただいて企画をされています。
 それから、デバイスは非常にこのコンプレックスの中では直球でして、まさに先ほど計測ということを言いましたが、新しい計測計をいかにつくり出していくか。そしてそれを安価で皆さんに使っていただけるような製品をどこまで届けていくかというのが、コンプレックスの1つの大きなテーマだと思っていますので、デバイス産業の方々もかなりたくさん入っていただいていますし、興味をお示しになっているところも、まだ参加されていないところでもありますので、そういう結集をお願いしていきたいと思っています。



記者:
 データをもとに、個々人の健康に最適なものを提案されるということですが、そのもとのデータのようなものは、どのように貯めておくのかということと、タイミングとして健康診断みたいなものを挙げられていましたが、年に1回どこかのタイミングで、市の何か健診の時にやるというものなのか、あるいは個々人がちょっと自分それ試したいなと思った時に試せるようなフレキシブルな対応を、5年後、10年後に想定されているのか。
 あと、「京」とかスパコンも含めてという利用ですが、具体的にそれをどのように利用されるものなのか、あるいは、その「京」がそもそもないと提供できないようなものなのかと、予算が7億円、1年で。今のところどのような予算の配分を考えられているのかということを教えていただければと思います。お願いします。



渡辺センター長:
 最後の予算のところは、今、組み立てていますので、まだ具体的にここでお伝えすることができませんが、最初の方の仕組みといいますか、現在の我々の考え方、これはコンプレックスを進めていくに当たって、たくさんのプレーヤーがおられますので−また、変わっていくかもしれませんが−そういう定期的な健康診断データにプラスして、先ほどもお話ししましたが、どんどん新しい計測デバイスが開発されていきますので、そういう非常に安い、簡易的な−例えば、年会費が500円であるとか、そういう。
 なぜ会員になっていただくかというと、情報を入れていただく必要がありますので、一応、個人情報ということで会員になっていただく必要はあると思うんですが−そういう登録をした形で、たくさんの人が一堂に来ていただいても1日で計測できないかもしれませんので、ご都合のいい日を聞いて、例えば、1日100人とかですね。もうちょっと数を増やさないととても対応できないかと思いますが、そういうところも含めて、今、そういう機関をどのようにして組み立てていくか。
 計測計はどんどん開発されてくるんですが、多分、データバージョンでは皆さんそういうものを試したことないとおっしゃると思いますので、やっぱり最初は100人、200人の規模での試験をしないといけません。
 そういうことを経た上で、実際に有効性を実証したものを、まずはやっぱり家庭で参加していただく。それから、本格的な始動に入ってくる、ものをつくる。
 ですから、ステージは4つぐらいに分かれると思いますが、そういうことをやっていこうと思っています。



職員:
 スーパーコンピュータの利用に関しては、今、デジカメとかでも全部そうなんですが、具体的に言うと、顔認証とか、笑っているときに写真のシャッター切れるとかありますが、ああいうのはパターンを認識して学習させています。
 アルゴリズムを開発するのはものすごいコンピュータが必要なんですね。ところが、実際、実装するに当たっては、それこそ皆さんのスマホとかになりますが−そもそもどういうパターンがあるのかという、こと研究部門については、大変なパワーが必要でございますので、スパコンなり京などを使わなきゃいけないのですが−実際に使う時については、もうその結果として出てきたものを利用する形になりますので、スパコンがないと皆さんが利用できないというものでもない。
 みなさんが使うものを開発するに当たってスパコンを使うということになります。