矢田市長:
それでは、神戸市の平成22年度当初予算について説明します。
まず、予算編成の考え方ですが、とにかく、現状の大変厳しい経済・雇用情勢の中で、景気対策と雇用の対策を第一に取り組んでいく予算を編成をしています。
また、少子・超高齢化社会に向けての対策として医療を含む市民福祉を向上させる施策や、これからの神戸を創造していく事業を、どう展開するのかという観点から予算編成を行っています。
次に、神戸市の平成22年度予算のテーマ及び施策の柱ですが、「市民とつくる安心と明日の元気な神戸」をテーマに、命とくらしを守る人間を大切にするまちづくりを目指します。これまで進めてきた市民の皆さんとの協働と参画によるまちづくりをさらに続けて、2010年を目指した神戸2010ビジョンの完遂を目指します。
施策の柱は、くらしを守るための景気対策の推進と雇用の確保がまず1点。2点目は、子育て支援と教育の充実が挙げられます。3点目として、命を守る、福祉の充実と健康づくりの推進。4点目は、環境問題になりますが、住みよい環境の育成。そして5点目には、それらを支えていくまちの活力の創出。これら5つが施策の柱に加え、行財政改革を断固やり続けていくことで、これまで進めてきた行政経営方針の完遂とともに、新たな行財政改革を次に展開しなければいけないと考えていますので、今から順次説明いたします。
まず、1点目のくらしを守るという観点では、景気対策と雇用の確保という点を位置づけました。最も我々が重視しなければいけないのは、地元の中小企業の皆さん方の仕事が途切れないようにしていくことで、雇用の場が失われるということがないよう、中小企業が受注しやすい生活密着型投資の確保に重点を置いています。これは、リーマンショック以降、立て続けに行ってきた施策の延長線上にあります。中小企業の皆さん方の仕事が途切れるということは、人員削減とか、場合によれば、これはあってはなりませんが、職を失うことになりかねませんので、そういうことがないように仕事を確保するというのが基本の考え方です。
事業量ということで見ると、平成22年度の事業費は繰り越した分も含めて約495億円となり、前年度の事業費は410億円ですので、量的な拡大を図っています。
それから、中小企業の関係では融資の問題が重要です。融資総額を前年度より50億円増やし、800億円にします。また、信用保証料補助ですが、小規模企業応援融資・無担保無保証融資・小規模事業資金融資について、21年度までは融資額400万円以下の場合は、信用保証料の全額補助を実施していましたが、22年度は融資額500万円以下の場合に拡大します。さらに、平成22年3月末までの融資金額、融資期間の特別措置を1年間延長します。例えば借換融資であれば、融資金額を5,000万円以下から1億円以下に、融資期間を7年以内から10年以内に変更したものを平成23年3月末まで1年間延長します。こうすることによって中小企業の資金繰り対策を円滑に進めていただけるようにしていきます。
このほかにも、中小企業の販路拡大支援や、経営力向上・高度化支援、中小企業の後継者確保・育成支援も重要なテーマです。また、市内の工業高校や高専等と連携しながら、神戸のものづくりの担い手育成を行います。
さらに、地域商業の活性化支援としては、「買っ得商品券」を昨年3月20日から8月末まで実施しましたが、22年度は「買っ得商品券」にかわるものとして、商店街・市場「知っ得!買っ得!」事業を実施します。年2回発行する情報誌の中にクーポン券を入れたり、各商店街、小売市場に独自の取り組みを考えていただいて、消費者が何を望んでいるのかを一緒に考えながら、この事業を進めます。
雇用の関係では、国の雇用関係事業と連携して、重点分野雇用創造事業で、介護、医療、環境、農林、観光、さらに地域社会の分野において、1年以内の雇用期間で約240人の新規の雇用機会を確保していきます。国からの配分総額は6億円です。また、緊急雇用創出事業では、18億円の配分総額を活用し6か月の雇用期間で約320人の雇用機会を、さらに、地域における継続的な雇用機会を創出することを目的としたふるさと雇用再生事業では、8億円の配分総額で1年以上の雇用期間で約60人の雇用機会の創出を、国との連携のもと進めます。
そのほか、神戸市独自で2万人雇用の創出を平成22年度から4年間実施し、雇用機会の確保を行います。
次に、子育て支援と教育の充実です。
これは、まさに命を守るという分野を含んでいます。
そうした中で、まず、子育て支援、保育所の受入枠の拡大について、少し振り返ってみたいと思います。
平成11年頃は、神戸市は1万5,000人保育と言っていました。それを2万人保育に拡大すると申し上げたのですが、今は2万人保育を超えて、2万4,000人に受入枠を拡大しようとしています。
平成11年から平成20年までの間で、枠の拡大によって新たに5,300人の受け入れができたのですが、21年度当初の待機児童数が483人という状況を踏まえて、受入枠を平成22年度では580人拡大します。
そして、最近特に注目されている事業として一時保育や病児・病後児保育があります。一時保育は現在の125か所から5か所増やし129か所とするほか、病児・病後児保育は現在7か所で実施していますが、これをさらに21年度内に1か所、22年度に2か所増やし10か所にします。
次に、学童保育です。学童保育を利用される方が非常に増えており、平成21年5月現在ですが、186か所で8,547人。今はもっと増えています。そういう中で過密大規模な施設の解消を図るため、学童保育の施設を5か所増やします。さらに、18時までとなっている開設時間を、モデル実施として10館、19時まで延長します。
また、命を守るという点では、神戸こども初期急病センターの開設です。これは、かかりつけ医さんの自宅と診療所が別になっている所が多いという状況から、二次救急が大変な状態になっており、ひいては三次救急にも影響しています。これを解消するため、医師会や二次救急の病院、小児科医会等々と連携をとりながら、小児初期の急病センターをHAT神戸に建設します。センターは22年12月に開設予定で、休日は朝9時から翌日の朝7時まで診療を行います。間の2時間は交代時間です。また、平日は夜8時から翌朝7時まで診療を行います。先ほど言いましたように医師会、小児科医会等で連携し、大学等の協力を得て、予定としては約4万人の方を受ける体制で今準備を進めています。
さらに、教育の関係では、高等学校の授業料の無償化を国が決めましたので、市立高校の授業料、全日制の年11万8,800円、定時制の年1万8,600円について徴収しないことになります。それから、神戸高専では授業料が年間23万4,600円ですが、1年生から3年生までの生徒については、このうち11万8,800円を助成します。
それから、次世代の子どもをどのように我々が責任を持って育てていくのかということです。先日、神戸でも中学生が大麻を吸引するという残念な事件がありました。そういう中で、これからの未来の子どもを育てていくためには強い倫理規範が重要であり、徹底して倫理規範を教え込む、そしてたたき込むというぐらいの気持ちでやっていかなければできないと考えていますので、これから継続しながら、息長く、徹底して、市民会議を開きながら、あらゆる場面で対話を繰り返し、そしてまた、あらゆる場で我々が実践していくことで、子どもが自立して巣立っていけるよう、そして、子どもが社会的に貴重な存在として認められるよう、我々は手を尽くさなければいけないと思っています。そのために「次世代のこどもを育む市民会議」を開催します。これは大変重要な観点でありまして、外部の方に主体的に入っていただいて全庁的に取り組みたいと考えています。
それから、これもいのちを守るという観点の福祉の充実と健康づくりの推進です。
まず、高齢社会に向けてこれまでも継続して取り組んできました。神戸市は介護サービス基盤では全国的にトップレベルにあると見ていますが、まず、特別養護老人ホームが、今回の予算で85施設、定員が5,346人となります。23年度には5,450人を目指しています。介護老人保健施設は51施設、定員5,046人となりますが、23年度の目標は5,146人です。介護型ケアハウス、これは比較的新しい施設ですが、21施設、定員は1,279人、23年度の目標は1,489人です。これらを合わせ約1万2,000人分の定員の確保を図ります。そのほか小規模多機能型居宅介護拠点を、22年度末で33か所の拠点づくりを行います。
さらに、認知症等の問題では、これまでセンターの名称を用いずに支援を行ってきましたが、この度正式に神戸市社会福祉協議会の中に成年後見支援センターを創設しまして、無料相談等に応じ、後見制度の利用支援を行いたいと考えています。
それから、障害者福祉サービス等の利用者負担の軽減を図ります。障害者の居宅サービス、移動支援、通所施設、入所施設等における利用者負担を軽減しますが、市民税非課税世帯に該当する障害者及び障害児の保護者を対象に軽減を図ります。例えば、これまでは市民税非課税世帯に該当する通所施設利用の方の利用者負担の月額上限額は1,500円または3,000円ですが、これを無料にします。また、入所施設の場合でも無料にします。そのほかにも、補装具の関係では、20歳以上と20歳未満とで金額が違いますが、合わせて2,200件ほど、移動支援事業では2,300人。さらに、日常生活用具の支給が約2,000件が対象となりますが、これらのサービスについても市民税非課税世帯に該当する場合には無料とします。
そのほか、重症心身障害児と重症心身障害者の通園事業については、中部在宅障害者福祉センターを一部改修し定員を拡大します。さらに、障害児のタイムケアと言いまして、学童保育に相当する事業の拡充を図ります。知的障害児に加え、重症の心身障害児の受け入れも行います。
そのほか、新型インフルエンザ対策とあわせて、肺炎球菌ワクチンの予防接種の助成拡大を図ります。インフルエンザに感染した際に、心臓や呼吸器、腎臓などを患っていらっしゃる方は、併発して肺炎球菌に冒されることがありますので、ワクチンの接種費用を助成するものです。これまでは75歳以上の方が対象でしたが、これを70歳以上とします。そのほか、対象疾患が心臓、呼吸器、腎臓に加え、直腸などに慢性疾患のある人にも拡大します。通常、接種料はおおむね7,000円から8,000円程度ですが、これに1人当たり4,000円を助成します。
また、新中央市民病院は平成22年度末の完成予定で、平成23年7月頃のオープンを見込んでいます。
そのほか、ユニバーサルデザインの推進として、市内で5,000人以上乗降する駅が83ありますが、このうちバリアフリー化ができていない駅が4駅ほどあります。JR灘駅では南北を自由に行き来できる横断歩道橋をつくりまして、改札を橋上に上げて完成しましたが、同じような形でJR摂津本山駅のバリアフリー化を図るとともに、阪神御影駅の改札を改造し、御影クラッセと結ぶ形で中2階に改札を上げることによって、バリアフリー化を図り、また、プラットホームと改札をエレベーターで結ぶ工事を始めます。
以上が福祉と健康づくりの関係でございます。
次に、住みよい環境の育成です。地域グリーンニューディール基金というのがありますが、このグリーンニューディール基金を使って、東クリーンセンター、西クリーンセンター、こうべ環境未来館、危機管理センターの公共施設4施設で、太陽光発電とLED照明を導入します。そして、電気自動車の普及のため、北区と垂水区の市内2か所で急速充電設備の整備をします。
それから、スマートグリッド研究事業というのがありますが、これは簡単に言いますと、電力需要を予測しながら消費電力の平準化を図る機能を組み込む構想で、さまざまな自然エネルギーを導入しようとしています。この研究に市有施設を研究対象として取り組みます。
そのほか、平成23年4月から容器包装プラスチック分別収集の全市拡大を予定しています。北区は先行実施しており、収集回数が現状は月2回ですが、平成22年4月からは週1回収集に変更して、その後、1年後に全市一斉に容器包装プラスチックの分別収集を展開することになります。
それから、国道428号とか夢野白川線にコンテナ車が走っている一方で、新神戸トンネルや山麓バイパスに、今、コンテナ車があまり走っていません。一般道から山麓バイパス及び新神戸トンネルに誘導するために、コンテナ車両などの大型車2種のうちETC利用車に限り、通行料金を引き下げます。22年の7月1日から12月末までの間、社会実験として、新神戸トンネルは2,200円を1,200円に、山麓バイパスは1,280円を700円にします。21年4月から実施している新神戸トンネルと阪神高速北神戸線の連続利用割引と組み合わせることにより、連続利用車については、3,200円が1,600円になります。
次に、すまいの耐震化の拡充ですが、すまいの耐震化はまさに命を守るという典型の事象であることを我々はあの大震災で実感しています。ですから、早く家の耐震化をしていただく必要があるということを何度も申し上げていますが、なかなか進展しない状況の中で、県でも耐震改修の計画策定の経費に対して20万円の補助を行っていますが、神戸市もこれに対して7万円を上限として補助を行います。そして、そのほかに無料の耐震診断を神戸市は実施していますが、これと耐震改修設計をパッケージにして、工事見積もり経費までを提示する耐震おまかせパックを創設します。耐震診断と改修設計を合わせて全体で大体35万円ほどかかりますが、市民の皆さんのご負担約3万円で受けていただいて、耐震化工事に結びつけていただきたいと思います。避難所となる学校の耐震化を着実に進めていますが、やはりすまいの耐震化が非常に重要ですので、昭和56年以前の建物で、あの大震災を乗り越えてこられた建物もありますけれども、一度診断をしていただいて耐震化の取り組みをしていただきたいと考えています。
次に、まちの活力の創出です。
2011年から始まる2025年に向けた次期基本計画の策定、そして2015年を目標年次とする重点目標及びこの計画の策定が始まります。
さらに、デザイン都市・神戸の推進ということで、(仮称)デザイン・クリエイティブセンターKOBEの整備を進め、デザインのクリエーターの担い手を育成していきます。また、デザイン都市等との交流を支援するため、神戸市が取得している旧神戸生糸検査所を改修し、24年度に供用を開始する予定です。さらに、KOBEデザイン・ハブ事業ですが、これは既に統括監に就任していただいている神戸芸術工科大学の齊木学長のもとで世界で活躍できる人材の育成、集積、またネットワークの構築を目指しまして、デザイン系大学、経済界、市民、行政が連携して、旧神戸生糸検査所の中にその拠点を設けて、連携事業及び複数大学のサテライト研究室、さらに若手デザイナー向けのマネジメントプログラムの開発を手がけていきます。
さらに、長田区の旧二葉小学校を活用しまして、地域人材支援センターを今年の11月に開設します。この中で、神戸ロボット工房や地域の子育て支援ひろば、さらにはシルバーカレッジの分校とも言えるふたばシニア塾、教育・地域連携センターの機能をここに組み込みます。そしてさらに、震災で大きな被害を受けた地域ですから、震災体験学習等ができるような場もこの中に設けていきたいと考えています。
次に、医療産業都市の関係ですが、特に新しいものとして神戸国際フロンティアメディカルセンター構想の推進があります。国際医療開発センターと神戸国際フロンティアメディカルセンター病院の2つの施設が建設されます。また、この地域にある先端医療センターと新中央市民病院や神戸国際フロンティアメディカルセンター病院等を結ぶ2層ネットワークのデッキの整備に取り組みます。
それから、次世代スーパーコンピュータ事業については、国の事業仕分け等いろんないきさつがありましたけれども、早期の完成を目指して工事が進み、今のところ平成24年の供用開始ということになっています。あわせて先日地鎮祭を終えた高度計算科学研究支援センター(仮称)と県立大学大学院が入居する建物の整備が始まっています。
また、長田地域で「鉄人28号」が大変な話題を呼んでいますが、あわせて横山光輝氏の「三国志」の関係の取り組みとして、大正筋の南側の再開発ビルを使いまして神戸三国志館を整備します。
さらに、新港第1突堤は、投資関係の仕事をされていたコンペの当選者がリーマンショックで手を引きましたので、次の事業者が決まるまでの暫定利用として第1突堤を夏の間、ここでビーチバレーや、サンドアート、水上イベントとしてジェットスキー、あるいはその他のイベントや帆船等を誘致するといったことを盛り込んだ(仮称)神戸プラージュを開催します。
それから、今、国ではスーパー中枢港湾をさらに強化した、国際コンテナ戦略港湾の選定作業を始めています。こういった動きに対し大阪湾の4港湾管理者が連携をして協議会を結成しましたが、それをベースに国際コンテナ戦略港湾の指定を目指して今話し合いをしています。その中で、神戸港埠頭公社の平成23年度からの株式会社化について既に国と協議を行っています。株式会社化によってより一層柔軟な体制が維持できるものと考えています。
そのほか、観光についてですが、観光コンベンションをさらに強化していくため、神戸国際観光コンベンション協会と市の観光交流課がより一体的に活動する組織として、観光コンベンションビューローを形成します。そのため、今ある国際文化観光局を廃止し、国際交流関係は新たな組織である市長室に組み込んで国際交流推進部とし、また文化の関係については文化交流部として市民参画推進局にセクションを移します。観光コンベンションビューローは産業振興局に組織を移します。このように3つに分けまして、組織を見直します。そのほか、神戸フィルムオフィスの10周年の事業、あるいは国が提唱しているMICEという事業があります。これは、Mが企業等の会議のミーティング、Iが企業の報奨・研修旅行のインセンティブツアー、Cが国際会議のコンベンション、そしてEが展示会・見本市等のエキシビション、これらの頭文字をとったものをMICEと言いますが、これを推進していきます。
さらに、これは既に申し上げていますが、22年4月に仁川市と神戸市が姉妹都市提携を結び、7月に大邱市と親善協力都市提携を結ぶことになっています。
続いて、予算提案額の概要について簡単に触れておきます。
予算提案額の規模は、全体で1兆8,414億円です。そのうち一般会計は7,661億円で、前年よりも少し増えています。収入は、22年度は今の経済情勢のもとで市民税が大きく変化を始めました。まず個人市民税が給与所得の減少によって約901億円となり53億円の減少、そして法人市民税が企業収益の悪化から211億円となり9億円の減収ということで、固定資産税等の増を差し引きして約52億円の減収になりました。しかし、地方財政対策において実質的な地方交付税が増額確保されたこと、また行政経営方針に基づく行財政改革が進んだこと、そのほかいろんな財源対策等もありまして、前年の収支不足額が120億円であったのに対し、結果的に22年度は20億円の収支不足にまで改善されました。20億円の財源対策は遊休地の売却等で埋めることにしています。
それから、行財政改革の内容について少し触れておきます。
職員の体制については、平成16年度から22年度までで3,345人の削減を実施しました。平成22年度の職員の総定数は1万6,198人で、震災以降の累計では5,530人の削減を行いました。
それから、実質市債残高については、削減目標を当初5,000億円としていましたが、既に達成し、今は6,000億円の削減を目指しています。平成22年度末の残高は約8,500億円となり、平成22年度末でこの目標を達成します。
それから、市民サービスの向上と時代の変化を見据えた事務事業の再構築です。土・日・祝日等も対応できる総合コールセンターの設置を考えていまして、これは平成23年4月に開設を予定しています。また、区民サービスディレクターを既に配置して2年ほどになります。現在は兵庫、灘、北須磨支所の3か所に配置していますが、さらに北区、東灘区を加えて5か所に配置します。さらに、9つの区役所及び北須磨支所の窓口を毎月第2、第4木曜日に、夜の19時まで時間を延長します。これは来月、3月から始めます。
私からの説明は以上です。
記者:
震災による身体障害者の支援ということで予算がついたことは初めてだと思うのですが、震災から15年が過ぎ、改めて支援に乗り出すということで目指すところというか、予算編成に対する市長自身の思いというのを聞かせてください。
矢田市長:
揺れと座屈の両方で家屋が崩壊したわけですが、その下敷きになって亡くなった方が死者の大体8割を占めると言われています。その中で一命を取りとめられた方の中で、重い障害を負われた方がいらっしゃいます。そういった実態等についての把握、取り組みということに関しては、今までの復興過程において目の向け方が少し足りなかったのではないかという感じが私はしています。
障害をベースにしての施策というものは展開されてきたわけですが、あのような激甚災害によって障害を負われるという状態についての認識と施策の手当てということとは少し分けて認識していかないといけません。地球は大活動期に入ったと言われており、震災で障害を負うことになられる方々に関しての対応、考え方を他の地域にも伝えていくためにも、また、どれだけ心の苦しみ、悩みをお持ちの方がいらっしゃるかということを痛切に皆さんにお伝えしなければいけないと感じていますので、こういった内容をきちんと把握することが重要だという観点で、私は予算の編成に当たっています。
記者:
来年度の行政経営方針の区切りで、新たな行政経営方針というか、行革をさらに遂行するとおっしゃいましたが、それは市長が選挙の際にマニフェストに掲げられた職員削減及び外郭団体などの人数の引き上げということが主な柱になるのかというのが1点と、次に、民主党政権になって初めての国家予算が今審議されていますが、今回の神戸市の予算で、民主党政権が掲げる地域主権というところが反映されたような予算編成になっているかどうか。というのは、ぱっと見てよくわからないのです。民主党政権が出されている子ども手当と母子加算などはわかるのですが、そのあたりを意識されて組まれたかどうかということ。
最後にもう1点、市長が選挙で出されたマニフェスト、140項目ぐらいありまして、それをずっと今回の新規施策、拡充施策に照らし合わせてみて、多くは反映されていると思うのですが、この中で反映されてないものがもしあるのであれば、今後の残りの任期の中で反映させていくお考えなのかをお聞かせください。
矢田市長:
行政経営方針の時期の関係ですが、まずは第一に今の行政経営方針を必ずやり遂げるということが大事です。そして、次期の点については、時代の変化を見ていますと、相当に日本の国全体の、力が衰えつつあるのではないかとよく言われており、また、社会は少子超高齢化社会に向かっている、そういう中で、十分な市民サービスを維持するためには引き続いての行財政改善が必要であるという観点で、基本施政の中に織り込んでいるわけです。職員の22年度末の定数が大体1万6,200人弱になりますが、ここから約10%ということになりますと1,600人余りを削減するということで次の行政経営方針をつくっていきます。
外郭団体については、10団体というのは1つの目安です。時代の変化に対応し、役割がどのように変わっていくのかということも視野に入れながら取り組んでいくということが重要でありますので、常に検証しながらやっていくことになると思います。最低が10ぐらいの団体の見直し、あるいは統合ということになっていくと見ており、これは時間をかけながらやらせていただきます。
それから、国家予算との関係で地域主権という話が出ましたが、地域主権というのは、国と地方の間の権限移譲、そして財源の移譲であります。それが伴わないものは地方分権や地域主権というものの名に値しません。民主党政権になったといっても民主党のとっている施策が地域主権かというと決してそうではなく、地域主権というのは、国と地方の間の権限と財源の移譲が伴わない限り存在しないと私は考えています。
今回、交付税が1.1兆円、実質的な地方交付税として確保されたという点は、地方にとって少し改善があったかなという感じはしていますが、地域主権というものについて、国自身がこれからの対応をどうしようかという状態で会議を進めているところですので、今の国の考え方等の推移を見ていくことが、政令指定都市としてもこれからの課題であろうと見ています。今後政府の中で、どのように財源を移していくのか、あるいは権限をどのように移していくのか、そこのところをはっきりしていくことがこれからの日本の国の地方分権、あるいは地域主権と言ってもいいかもしません。そのかわり、当然、今度は地方が責任を持って自立していかなければいけないという、逆の意味の責任が伴います。ですから、子ども手当や高等学校の学校授業料の無償化ということは、地域主権と言うのにそぐわないと私は思っています。
それから、公約の件でありますが、これは、私が4年間の任期の間に、市民の皆さんにこういうように私は目指していきたいと申し上げた点でございますので、よほど社会環境が激変しない限り、公約の内容については実施させていただくという方向で取り組んでいきたいと考えています。
記者:
震災復興事業である新長田駅南地区再開発事業についてなのですが、平成19年12月の市議会で、収支が92億円の赤字という中間の収支見込みが出されています。その後については、全体の収支見通しは明らかにされておらず、再開発事業については市税を投入しないという指針で進められていると思うのですが、今後もほんとうに市税を投入せずに事業を継続できるというお考えであるのかということ、また、この際、収支の見通しを明らかにして市民に説明するべきだと思うのですが、市長としてはどのようにお考えでしょうか。
矢田市長:
平成19年の報告は、この事業についての中間の事業費をお示ししたものだということです。というのも全体の事業はまだ収束しておらず、権利者の方の生活再建とすまい、また商売等の復興を優先的にやっていく考えで進めているからです。
平成19年の時点でお示しした事業収支は、総事業費が1,632億円。事業収入が1,540億円と、収支差は92億円で、保有資産が221億円というものです。この段階では約40棟の再建を進めていく中、完成したビルが23棟、工事中が4棟、着工予定が1つありますと申し上げたわけです。
現在、完成しているのが28棟ですので、まだ12棟ありますが、住宅の関係について言えば、ほぼ回復していただけたという状態です。あとは、商業的な観点から意見をお持ちになって、まだ話し合いをしているところもございます。
市税を投入しないかということですが、現在、一般会計から特別会計に移行していますので、現状の考え方は、床を処分していくことによって、これを賄っていくということが原則です。全体的な収支は、現在、特建事業が行われているような状態の中、まだ権利者の方のいろいろな意見もありますので、話し合いができた段階でないと、事業費全体の算定をすることが難しいということです。ただ、震災直後に購入した土地の価格が、その後の推移によって変化をしていっているということがあります。そのとき買った値段と比べて、現在の値段の評価が少し下がるということになっていますので、この差をどう埋めていくかということは、少し課題であると考えています。そのため、地域の活性化ということも大変重要です。鉄人28号のモニュメントができて、相当、地域ににぎわいが戻ってきつつありますし、さらに、地域の皆さんが、三国志館などもつくっていきながら地域の盛り上げに資することをされたり、あるいは旧二葉小学校に人がたくさん集まってもらえるような仕掛けをつくっていこうと取り組んできましたので、できるだけ周辺地域の活性化による付加価値によって、その差を埋めることができればと考えており、そういうことが反映されていけば床の処分も進んでいくと考えられますので、そういった状況で収支を完結させるということです
記者:
神戸空港について質問をさせていただきます。
2009年2月から10年1月までの空港の利用者が過去最低になるなど、空港を取り巻く状況は厳しいと考えているのですが、利用促進に対する今後の取り組みと、管理収支への市税の投入の可能性について伺えますでしょうか。
矢田市長:
まず、2009年の前半は、新型インフルエンザの騒ぎがありまして、観光客数も激変し、神戸市は大変な被害をこうむりました。その対策として、7月や8月にさまざまな行事に取り組むとともに、6月には施設の無料開放まで行った結果、関連施設の入館者等の数は相当増えました。しかし、実際に航空機を利用して神戸に来られた方が同様に増えたわけではないので、インフルエンザの騒ぎというのは、航空関係の状況に対してはかなりダメージを与えたと私は見ています。
さらには、JALが神戸空港からの撤退を表明しました。私どもは、神戸のような良好な搭乗率の状況の中、撤退する意味がよくわかりかねると申し上げ続けていますが、反対に、スカイマークでは、九州、沖縄や、茨城といった各方面に路線を張るということを表明されていらっしゃいますので、今後、どのように各都市との連携を確保していくかということが大事だと考えています。
今年度の管理収支という点になりますと、インフルエンザ関係の問題が尾を引いていますので、少し落ち込みが出てくるのではないかと推測せざるを得ませんが、ただ、最近、東京へよく行っておりますが、神戸から乗る飛行機は、どの時間帯もすべて満員です。羽田に行っているわけですが、空席がないという満員の状態で飛んでいるのが、今後どんな形で推移するのかなという点が少し楽しみではあります。そういう状態が続いていけば、管理収支についての問題も改善されるのではないかと感じています。
そして、今後の関係についてということでございますが、私どもの平成22年度の現在の見込みにおきまして、機材が少し小型化するだろうということも見ており、従前のような着陸料収入が見込めません。当然、経費節減は図っていきますが、若干のその差が出てくる分については、従前から保有している基金の中からこれに充当して、平成22年は対応せざるを得ないというのが現在の状態です。
記者:
平成23年度以降、市税投入の可能性というのはありませんか。
矢田市長:
平成23年度以降というのは、状況がいろいろと変わりますから、現在、私どもでは、空港の運用時間を変えてほしいと、国にお願いしています。また、現在30便という枠がはめられていますが、その枠も外してほしいと申し上げています。これからはまさに利用者本位の、市民目線での取り組みということがあらゆる分野で求められていきますので、そこのところをきちんと変えていかないといけないと私は思います。
関空の問題で言うと、3空港の問題が議論されましたが、本来あれは、着陸料を下げるということが大事なのです。そうしないと、東アジアの国とは着陸料が3倍ぐらい違うわけですから、競争できないわけです。着陸料の違いは、空港用地や橋といった施設もすべて関空会社が持っていることから生じているわけで、その問題をどうするかを決めた上で、来年度の国の関空への補助金問題を考えていくべきであったのを、3空港の問題という形で整理をしてほしいと言われたところに、私は視点が定まっていないのではないかという気がしています。ですから、今後、ほんとうに利用者本位の、かつ、他の国と対抗できるような同じ条件に持っていかないといけないと私は思っています。初めからハンディがあるのに、一生懸命やれと言われても、できるはずがありません。
記者:
市税投入の可能性は否定されないということでよろしいのでしょうか。
矢田市長:
市税投入は今のところは考えていません。
記者:
空港島の用地売却はなかなか進んでいないということで、用地売却の促進に対する今後の取り組みについてお伺いしたいのと、そういう状況の中で、起債の償還計画について計画を見直す予定があるのか伺います。
矢田市長:
まず、空港島の用地売却の点については、実際の工事造成の中で100億円ほどの余剰が出ましたので、それを利用して、インセンティブを充てて用地の売却を進めていこうとしていたわけですが、結果的に、まだこの所期の目的に達していないので、引き続き、それを使いながらこのインセンティブに充てていきたいと考えています。
それから、起債の話ですが、平成22年度の段階で空港島の起債償還額が約650億円あります。新都市事業会計で、土地売却収益額が年間通じて約300億円あります。土地売却の取り組みは、毎年、エンタープライズプロモーションビューローを中心にしてやっていますので、これがパラレルで推移すると見てその額に同等の資金を、当面は新都市会計の現預金が1,927億円ほどありますので、それからこの償還に充てる部分をいくらか出していくわけですが、全額というわけにいきませんので、今のところ、約200億円程度を借り換える段取りで考えています。
この内容に関しては、今後、各年度で、その都度考えていきたいと考えています。もちろん、土地の売却で資金を確保するということが第一ですので、それに向けてインセンティブをつけながら、空港島の土地売却に向けて取り組みを進めていきたいと考えています。
記者:
起債について確認をしたいのですが、来年度、約200億円の借りかえを考えているというお話の中で、その辺を毎年度毎年度考えていきたいというお話がありましたが、これは23年度以降についても、その借り換えは、あくまで借り換えというのを否定されないというような理解でよろしいのでしょうか。
矢田市長:
私どもは必死で土地売却の取り組みに対して動いているわけですが、今の経済状況の中、企業の投資意欲あるいは、投資環境というようなものがやはり左右しますので、なかなか実が結ばないという状態です。借り換えは資金繰りの問題ですので、どうしても用地の売却が進まないという状態が仮にあれば、その時点で、資金全体のありようを見る中で考えていかなければいけないと考えています。
記者:
空港島の件なのですが、空港について、開港以来、財政計画をホームページなどで公表されていますが、その財政計画においては、土地造成事業については10年一括償還ということを明記されていまして、数字についても10年後に返していくということを明記されているのですが、今回、借り換えすることになり、その償還期間が長くなるということで、計画に狂いが出てくると思うのですが、市長は計画が狂ったという認識があるのかどうか伺いたいのですが。
矢田市長:
先ほども申し上げたように、当時、今のこの経済環境というものを十分に予測することは無理だと思います。時代はごろごろと変化しますので、そういう中で、その時点時点に沿った判断をしなければ仕方がないと考えられます。
仮に今、非常に高度成長の時代等であれば、例えば中国のような状況を見ていますと、簡単にそういう売り買いは成立していると思います。しかし、日本の場合は、残念ながら、今、そういう状況ではありませんので、その状況の中で、次善の策を判断し、当面の資金繰りとして、これをやらざるを得ないと考えています。
記者:
大阪府の橋下知事が神戸空港のことを「あれは失策じゃないか」と発言されたのですが、そのことについて市長として反論はありますか。
矢田市長:
失策というのは、言葉の意味からして、策をなくすということでしょう、エラーでしょう。神戸空港の取り組みについては長い歴史がありまして、昭和57年の時には、空港を神戸の沖合につくろうということが決まっていました。そういう状況の中、議会でのさまざまな議論を経て、また、国との協議を重ねる中、6空整という空港の計画をつくる年次にあたる、平成5年の段階で、その6空整の中で神戸空港が新規の空港として認められ、国に認知をしてもらったわけです。そして、震災前に実際の準備工事に当たる調査設計の費用が国で計上され、着工しようかと前準備に入ろうとしていたところで、阪神・淡路大震災が起こったわけです。そのような中、議会の中で議論もあり、反対派の方もいらっしゃいましたので、いろんなご意見をお聞きし、意見が取りまとめられ、その結果、空港を推進しようということになり、国でもその推進に向けて取り組みを支援してもらいました。そういったことに対し、前後の脈絡等も考えていただいて、きちんと整理した上で見ていただきたいと、何か自分の考え方がおありなのでしょうが、いわば他人の座敷に踏み込んでくるというような点について、私はよろしくないと思っています。
記者:
もう1点、少し似たような話なのですが、関経連の下妻会長が先日、神戸空港について、「あれは阪神・大震災による思いやり空港だ」と公の場で紹介されたようですが、そのことについても考えをお伺いできますか。
矢田市長:
今申し上げた点と同じですが、経緯は随分とあって、震災前に、新規空港の事業として認定されているわけですから、そういう前提をおそらくご存じないのだと思います。
思いやりというのはどんな意味で言われた思いやりか私はわかりかねています。確かに震災を契機として、空港が震災以後に建設に入っていったことは間違いないわけですが、そのような観点と、思いやりというのがどのような意味でおっしゃったのか私はよくわかりません。この件に関して、マスコミの皆さんに受けるような言葉、ボキャブラリーといいますか、そのようなものが横行するのが果たしてこの社会の中で本当にいいのかと私は思います。
記者:
今行われている外郭団体に関する裁判について、3点ほどあるのですがよろしくお願いします。
1点目ですが、現在、裁判が行われており、1つの裁判で判決が確定していると思いますが、地方自治法では昨日が60日の期日ということで、改めて判決に従うおつもりはないかということ、従わないということで裁判所の判断や住民訴訟を軽視することにならないのかということについて、考えをお聞かせください。
2つ目は、11月27日に高裁が議決で再請求権を放棄することは無効だという判断を下して以降、12月にも栃木で同じような判決が出ていますが、それを受けて、改めて公判中に議決で再請求権を放棄されたことについて、市長個人のご意見をお聞かせください。
そして、3点目が、今後、このような住民訴訟の場合と同じように請求権が出た場合、議会で請求権を放棄するということは今後もあり得るのかどうかお聞かせください。
矢田市長:
まず、最初の点について、不当利得の返還請求権の権利というものにつきまして、最高裁において上告が棄却され、外郭団体等への不当利得返還請求権等を行使すると、この外郭団体で行われている多くの公益性のある事業を実施することは困難になると考えられたため、将来の混乱を回避し、派遣法のより適切な運用に努めるために放棄したものです。
そして、平成21年第1回定例市会において、派遣職員への給与支給の仕組みを変更し、権利放棄を含む条例改正を提案し、議決をいただいたというのが経過です。
昨年12月10日の最高裁の決定は、平成21年1月20日の大阪高裁判決までの事実に基づいて判断が行われたものと考えています。そういった状況で、平成21年2月26日に先ほど申し上げた点が議決されたわけですので、公布を行った権利放棄を含むこの条例改正の事実については、審理の対象とはなっていないという見解です。
したがいまして、昨年12月10日の最高裁決定に係る債権、これについては既に放棄しているということで、現段階で不当利得返還請求権は存在していないと見ています。
それから、この請求権の問題について、昨年11月27日の高裁の関係、栃木でもと言われましたが、これにつきましては、1つは地方自治法第96条1項10号の定めというのがあります。これは、地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならないという、この議決要件をずっと制限列挙しているわけですが、その中の10号では、法律もしくはこれに基づく政令または条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄することというのが制限列挙の中に定められています。それに基づいて、適正に議会での議決を得た上で、債権放棄を含む改正条例の公布を行ったものであるということ、また、住民訴訟継続中の債権放棄の議決の適法性を肯定した最高裁決定、これは平成19年3月20日にありました。そういったことから、債権放棄は有効と考えられます。
さきの神戸地裁判決、これは平成21年11月11日にあった判決でありますが、これは神戸市の主張が以上のようなことで認められまして、債権放棄は適法であるとの判決が出されています。そのような状況の中で、債権放棄は有効か否かという点について、現在上告を行っている最高裁の判断を仰いだ上で考えていきたいと考えています。ですから、最後おっしゃったような第3点目の質問も同様に、最高裁の判断を見た上で判断するということです。
記者:
住民訴訟や裁判所の判断を軽視することにならないかということについてはどのようにお考えですか。
矢田市長:
軽視したとは言っていません。先ほど申し上げたように、法解釈としての問題でなく、事実関係に基づいて、判決があった状態や、その時期といったものをいろいろと見た上で判断していると先ほど説明したわけです。