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灘の酒造業
    
近世灘の江戸積み酒造業     柴田家と大名貸し(「柴田家文書」より)
灘の酒造業


生産量日本一の灘の酒のルーツ 江戸中期から急速に発展したなぞ 古文書から酒造と海運の歴史を探る

神戸市東部から西宮市にかけての灘五郷。この地域では、ずっと古くから酒造が行われていたようですが、
ここでは話を江戸時代からに絞って、酒造十二郷と海運の業界・幕府との関係などを見ていきましょう。

ちなみに、今日の灘五郷は、文政11年(1828)に上郷が分裂した東組(青木・魚崎・住吉)
・中組(御影・石屋・東明・八幡)・西組(新在家・大石)の三郷と今津郷、それに衰微した
下郷(二つ茶屋・神戸・走水・脇浜)にかわり西宮郷を加えて「灘五郷」といい、
これは明治19年に摂津灘酒造組合が設立されてからの名称です。 (本文より引用)

  
  灘の酒
 
  江戸時代、上方の摂泉十二郷といわれる酒造地域から江戸へ積み下された酒は、江戸市場で「下り酒」と称され、高級酒として珍重されました。下り酒の一大生産地である灘の酒造りは、摂泉十二郷のうちでもっとも遅く酒造業が興った地域でした。  
 元禄10年(1697)に池田・伊丹ほか上方から送られた酒は64万樽を数えましたが、灘の酒はこのなかには含まれていませんでした。ところが、これよりおよそ30年後の享保9年(1724)には26人の灘目の酒造家が江戸積みをしています。以来、幕府の酒造奨励政策を期に、六甲山系から流れ出る急流を利用した水車精米による、大量でしかも精白度の高い酒造米の確保、酒造にもっとも適しているといわれる宮水の利用、さらに海岸部に大規模な酒蔵を建て、丹波杜氏の優れた技術をもって寒造りに集中したこと、船積みに適した立地等、好条件のもとで灘酒造業は急成長を遂げ、江戸積み酒造地帯として他の酒造地域を凌駕しました。
  しかし、旧来の酒造地との競合、ひいては新興酒造郷に対する他郷の締め付けも強く、躍進する新興酒造郷ゆえの厳しい条件のなかで成長した酒ともいえるでしょう。
                                                      (執筆:石川 道子氏)
 
  目次
在方酒造業地灘・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
日本酒のルーツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
江戸積みの酒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
近世前期の酒造地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
近世前期の灘酒造業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
酒造働人の出稼ぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
灘の江戸積み酒造業の興り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
摂泉十二郷の成立と天明8年の株改め・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
灘・今津の酒株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
10 樽廻船と新酒番船・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
11 江戸の酒問屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
12 文化文政期の灘酒造業と上灘郷の分裂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
13 天保3年の新規株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
14 宮水と水屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
15 柴屋の酒荷物積み出し状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
16 幕末の灘酒造業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
17 摂泉十二郷の解散・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
18 酒の自由営業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 読む 
  
  主な参考文献
   『新修神戸市史』 歴史編3近世 (神戸市 平成4年)
  神戸市文化財調査報告書 『神戸市文献史料』 第9巻・第10巻 (神戸市教育委員会 平成元年・2年)
  『灘酒沿革史』 (神戸税務監督局 明治40年)
  『続灘酒沿革史』 (神戸税務監督局 明治40年)
  『灘酒経済史集成』上巻 (創元社 昭和25年)
  『灘酒経済史集成』下巻 (創元社 昭和26年)
  「島屋佐右衛門家声録」 (『金世交通史料集』七 吉川弘文館 昭和49年)
  柚木学 『近世海運史の研究』 (法政大学出版局 1979年)
  『伊丹市史』 第2巻 (伊丹市 昭和44年)
  『尼崎市史』 第5巻 (尼崎市 昭和49年)
  本庄村史資料 『永井正治氏文書』(二) (神戸深江生活文化資料館 1988年)