2010年(平成22)8月14日(土)〜9月26日(日) (39日間)
午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
金・土曜日は午後7時まで開館 (入館は午後6時30分まで)
※休館日:月曜(ただし9月20日(月・祝)は開館)
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アメリカ東海岸の歴史ある港町ボストン。1870年に創立されたボストン美術館は世界各地の文化圏の美術を網羅した総合美術館で、日本美術の分野でも国外では世界一と言われる質と量を誇り、江戸時代の浮世絵では版画5万点、肉筆画700点を収蔵しています。
江戸時代の天明年間(1781〜89)から寛政年間(1789〜1801)は、個性的な画風を確立した絵師、鳥居清長・喜多川歌麿・東洲斎写楽などが腕を競いあい、錦絵(多色摺木版画)の黄金時代といえる活況を呈しました。江戸のビーナスとも称せられた美女たち、役者のくせを力感のある筆致でたくみにとらえた舞台姿、奥行のある空間を再現した名所絵など数々の傑作が生み出されました。
明治時代にアメリカに渡り、ボストン美術館の一大コレクションとして封印された浮世絵―思わずためいきの出るような色彩の鮮やかさは、日本美術の至宝と呼ぶにふさわしいものです。本展は、浮世絵の黄金時代とみなされる18世紀後期に焦点を絞り、ほとんどが日本初公開となる秘蔵の名品約140点を厳選して紹介する画期的な展覧会です。ボストン美術館の文化財保護のための厳格な規定により、本展出品作品は地元ボストンでも今後5年以上展観されることはありません。いま望み得る極上の色彩を、このまたとない機会にぜひご鑑賞ください。
★この展覧会に関しては、 こちらの公式サイトでも詳細をご案内しています。
喜多川歌麿《大川端夕涼》
寛政7〜8年(1795〜96)頃
大川端(おおかわばた)とは隅田川の下流、特に吾妻橋から新大橋付近までの右岸一帯のこと。三枚続の本図に描かれているのは、隅田川での花火の夜に大川端で涼む女性たち。団扇や手ぬぐい、煙管(きせる)を手にし、夏の夜の風物詩を楽しむ彼女たちは優美な姿を見せています。背景の隅田川では、花火が打ち上げられ、夜空を彩っています。両国橋にはたくさんの人たちが集まっており、歓声が聞こえてくるかのようです。江戸の夏のにぎわいと涼感を伝えてくれる作品です。
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鳥居清長(1752〜1815)
もともと鳥居家は、役者絵を得意とする浮世絵の流派でしたが、清長の代にその端麗な美人画 ―八頭身で健康的な女性たちの艶やかな姿で、人々を虜にしました。デビュー間もない頃の役者絵から、2枚続・3枚続の大画面に描かれた群像美人画、寛政期末頃の子ども絵まで、浮世絵の人物表現を根底から変革した清長の作品を概観します。
鳥居清長《風俗東之錦 萩見》
天明3〜4年 (1783〜84) 頃
萩の花に誘われて、秋の野に行楽に繰り出す人々。給仕する水茶屋の娘や、着物の裾が風にたなびく姿がなまめかしい3人の女性たちの注目は、萩の花というよりは、水茶屋の縁台にすわり一服している若い侍に集まっています。彼をめぐって交錯する女心をエッセンスとする名所風俗図です。江戸の四季折々の風情と人々の風俗を描く「風俗東之錦」は20枚からなるシリーズもので、本図はそのなかでもめずらしい二枚続の広い画面に構成されています。
喜多川歌麿(?〜1806)
鳥居清長に替り、美人画の世界で台頭してきたのが喜多川歌麿です。歌麿は、役者絵に用いられた大首絵で、迫力ある艶冶(えんや)な美人を描き、爆発的な人気を得て美人画の第一人者となりました。艶やかな女性の仕草はどれも美しく、思わず息を呑むものばかり。本展では、独自の様式が確立していない天明年間(1781〜89)前期の初期美人画から、その芸術性の頂点に達した寛政年間(1789〜1801)の傑作まで、51点の優品から歌麿芸術の真髄を紹介します。
喜多川歌麿《青楼仁和嘉女芸者 茶せん売 黒木売 さいもん》
寛政5年(1793)
俄・仁和嘉(にわか)とは、陰暦の8月(現代の暦では9月から10月の初め)に行なわれた吉原の年中行事の一つ。吉原の女芸者・男芸者たちが、衣装を着けて行列や舞踊、寸劇に参加し、多くの見物客で賑わいました。本図は雲母摺(きらずり)した地に、左から祭文・茶せん売・黒木売に扮した三人の美人を描いています。絶妙なバランスの構図と視線のやりとりが雲母摺の美しい画面に映える、歌麿美人画の傑作の一つです。
東洲斎写楽(?〜1794・95〜?)
寛政6年(1794)5月、版元、蔦屋重三郎から28図の役者の大首絵を版行してデビューし、わずか10ヶ月のうちに140数点の作品を残して忽然と姿を消した絵師。緊張感のある線で役者の個性や特徴をとらえ、内面の心の動きまで表現した役者似顔絵を残しました。本展では合計21点の写楽作品を一堂に展示し、このまぼろしの絵師の魅力を紹介します。
東洲斎写楽《市川男女蔵の奴一平(いちかわおめぞうのやっこいっぺい)》
寛政6年(1794) 5月
「赤襦袢(あかじゅばん)」と愛称されている作品。伊達与作(だてのよさく)の下僕(げぼく)である奴(やっこ)一平が、江戸兵衛に御用金を奪われる場面です。敵を前にして刀の鯉口を切った瞬間の緊張感が描き出されています。本図に描かれた初代市川男女蔵(おめぞう)は、二代市川門之助の長男、元服して男女蔵を名乗ったのは寛政元年(1789)で、本図は寛政6年5月の河原崎座での「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)」の「涼みの段」を描いています。襦袢の鮮やかな赤がよく残り、黒の襟と見事な対照を示しています。
東洲斎写楽《四代目岩井半四郎の乳人重の井(いわいはんしろうのめのとしげのい)》
寛政6年(1794) 5月
三代瀬川菊之丞とともに江戸女形(おんながた)の双璧といわれた四代岩井半四郎の乳人重の井を描いています。「恋女房染分手綱」十段、有名な「重の井子別れ」の見せ場で、黒雲母を用いた背景に、守り袋を証拠として、すがる息子三吉を突き放す重の井の半身を描いています。着物に散らされている蝶扇の赤い紋は、半四郎の替紋。右手に守り袋を持ち、情を押し殺す重の井の目の描写に写楽の非凡さがうかがえます。
黄金期の三大絵師をとりまく大家たち
錦絵の黄金時代は、清長・歌麿・写楽の三大絵師ばかりではなく、多くの優れた絵師たちが活躍しました。役者似顔絵を普及させた勝川春章(かつかわしゅんしょう)、独学で絵を学び挿絵類を多く手がけた北尾重政(きたおしげまさ)ら北尾派。旗本出身ながら浮世絵師に転身した鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)、歌川豊春(うたがわとよはる)を祖とする歌川派など、同時代の個性豊かな作品を紹介します。
歌川豊国《六玉川(むたまがわ)調布の玉川》
寛政年間(1789-1801)後期
古来より歌枕として読まれた調布の玉川(多摩川)。かつて、ここで織られた麻布を租税(調)として納めた故事をベースとして、布を晒す仕事にいそしむ女性たちが描かれています。水流を装飾性豊かに表わした玉川で、裾や袖をたくしあげて働く娘たちは優美で艶やか。摺ったばかりのように鮮やかな色彩が、さわやかな風情と色香を伝える、豊国の初期の名品です。
Photographs © 2010 Museum of Fine Arts,Boston. ALL right reserved.
【主 催】
神戸市立博物館、ボストン美術館、日本経済新聞社、神戸新聞社
【後 援】
米国大使館、NHK神戸放送局、テレビ大阪、サンテレビジョン、ラジオ関西
【特別協賛】
フィデリティ投信
【協 賛】
大日本印刷、白鶴酒造、六甲バター
【協 力】
日本航空
★入館料(常設展示も合わせてご覧いただけます。)
| | 当日券 | 前売券 | 団体券(30名以上) |
| 一 般 | 1,400 円 | 1,200円 | 1,100 円 |
| 高校・大学生 | 1,000円 | 850円 | 800円 |
| 小・中学生 | 600円 | 450円 | 350円 |
※着物・浴衣でご来館の方は団体料金でご入場できます(他の割引との併用はできません)。
※神戸市および隣接6市1町、淡路3市、鳴門市、徳島市の小・中学生はのびのびパスポート提示で無料
※65歳以上は市すこやかカード(老人福祉手帳)提示で半額。障害のある人は身体障害者手帳・療育手帳などの提示で無料。
※前売券はチケットぴあ(Pコード:764-180)、ローソンチケット(Lコード:53918)、イープラス(http://eplus.jp)ほか主要なプレイガイド、コンビニエンスストアなどで販売。
1.記念講演会
①8月14日(土)「浮世絵の黄金時代 ―ボストン美術館のコレクション」
セーラ・E・トンプソン氏
(ボストン美術館アジア・オセアニア・アフリカ美術部 日本美術課 浮世絵版画室室長)
②8月28日(土)「清長と歌麿、美しさの理由(わけ) ―空間表現の観点から」
岡 泰正(当館主幹・学芸員)
③9月4日(土)「ボストン美術館の浮世絵版画 ―江戸と上方」
北川博子氏(阪急学園池田文庫研究員)
いずれも午後2時から3時30分まで 会場:当館地階講堂
聴講無料(ただし本展観覧券が必要)
当日先着順(定員180人、午後1時より地階講堂前で整理券を配布します)
2.イブニング・レクチャー
当館学芸員が展覧会の見どころなどを解説します。
毎週金曜午後5時から約30分間 会場:当館地階講堂
聴講無料(ただし本展観覧券が必要)
当日先着順(定員180人)
3.こども向けイベント
こどものためのワークショップ
①8月21日(土) 「多色版画に挑戦しよう!」
浮世絵の技法を学び、多色摺り版画に挑戦します。
②9月11日(土) 「砂絵で再現!浮世絵の世界」
浮世絵の特徴を学び、砂絵で浮世絵の世界を再現します
いずれも午後2時から4時まで
会 場:当館地階考古学習室
定 員:20人(小学4年生〜中学生)。
参加費:500円 ※保護者の方は本展観覧券が必要です。
応 募:往復はがきに参加希望講座を一つ明記の上、
神戸市立博物館「こどものためのワークショップ」担当宛まで。
①8月9日(月)、②8月30日(月)必着。
応募多数の場合は抽選。
親子鑑賞会
9月20日(月・祝) ①午前10時から12時まで ②午後2時から4時まで
会 場:当館 地階講堂・展覧会会場
定 員:各回120組(中学生以下のこどもとその保護者)。
参加費:無料 ※保護者の方は本展観覧券が必要です。
応 募:往復はがきで参加希望時間の番号を一つ明記の上、
神戸市立博物館「親子鑑賞会」担当宛まで。
8月30日(月)必着。応募多数の場合は抽選。