記者資料提供(2023年7月12日)
企画調整局医療産業都市部調査課
神戸医療産業都市推進機構は、地方独立行政法人神戸市民病院機構と連携し、神戸医療産業都市発の医療機器開発支援を目的に、2018年度より「医療現場ニーズ発表会」を開催しています。
この度、「第1回医療現場ニーズ発表会」において、神戸市立医療センター中央市民病院小児科岡藤医長が発表した子供の注射嫌いを解消するための「注射の痛みを軽減する機器」が、当機構による薬事相談などの伴走型支援によって製品化されました。
1.製品の紹介
販売名 |
ぷにゅ蔵くん |
一般的名称 |
冷却パッド |
医療機器届出番号 |
21B3X10017000001 |
医療機器製造販売業者 |
株式会社タナック |
特徴 |
・冷凍庫で冷やしても凍らずに冷たすぎないゲル素材を使用
・注射部位にぷにゅ蔵くんを数十秒あてて冷却後、皮下注射することで注射時の痛みを軽減 |
使用時のイメージ
「ぷにゅ蔵くん」製品外観(寸法15.5x13cm、 重量:約101g)
2.医療現場からのニーズ
提案者:神戸市立医療センター中央市民病院小児科 岡藤医長
概 要:
注射は子供にとってできれば避けたい嫌なことであり、現状、医療従事者は少しでも注射の痛みを和らげるために、注射について丁寧に事前説明し、音楽や動画で気を反らせるなどの対応を行っているが、人員や時間がかかるなど不十分であり、また現場での負担が生じていた。注射が痛いからと嫌がる子供を病院に連れて行く親のストレスも無視できず、結果的に病院に行かなくなることで医療行為を受けられないリスクもあった。そのため注射の痛みを軽減するデバイス開発のニーズがあった。
3.製品開発までの経緯
・医療現場ニーズ発表会に参加していた株式会社タナック(本社:岐阜県岐阜市)より、医療用の冷却パッドの提案があり、当機構より医療従事者とのマッチングを実施し、2019年9月より臨床研究の検討を開始
・岡藤医長の助言に従い、初期試作を実施し、子どもや保護者の声を製品に反映させた後、2021年5月に臨床研究に着手し、2021年末に終了
・臨床研究結果を解析した結果、子どもの疼痛評価指標であるFLACCスケール(※1)に統計的な有意差あることが確認できたため、医療機器として製品化することを確認
・2023年4月東京で開催された第126回日本小児科学会学術集会で岡藤医長が「乳幼児におけるワクチン皮下注射時の疼痛管理に対する冷却パックの有効性と安全性」という演題で、臨床研究結果を発表
※1:FLACCスケール:Face, Legs, Activity, Cry, Consolability Scale 簡便に痛みを図る指標
4.医療現場ニーズ発表会について
神戸医療産業都市推進機構クラスター推進センターでは、神戸市立医療センター中央市民病院の協力を得て、2018年度よりオープンイノベーション推進のための医工連携イベントである「医療現場ニーズ発表会」を実施。
神戸市立医療センター神戸市民病院機構傘下の4病院(※2)に勤務する医療従事者から提案される医療現場におけるニーズに対し、当機構のコーディネーターが神戸医療産業都市進出企業とのマッチングを行い、企業の製品開発を支援する取り組み。2018年度から2022年度までに、152件の医療現場ニーズ提案があり、そのうち57件が発表されている。
※2:神戸市立医療センター中央市民病院、神戸市立西市民病院、西神戸医療センター、神戸アイセンター病院
ぷにゅ蔵くんに関する問い合わせ先
株式会社タナック(※3)
お客様相談室 TEL:0120-638-122
E-Mail:info@tendersense.jp
※3:株式会社タナックは、産業界から医療産業への参入のため、神戸医療産業都市に拠点を有し、薬機法や市場に関する情報収集活動を行ってきたが、2020年に発生したCOVID-19のため、2021年4月に神戸医療産業都市の活動拠点を閉鎖
神戸医療産業都市における医工連携に関する問い合わせ先
公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 クラスター推進センター
E-mail:kiki-plat@fbri.org