ホーム > 市政情報 > 記者発表資料 > 記者発表2024年1月 > 特別展「Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色への旅」の見どころを紹介

特別展「Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色への旅」の見どころを紹介

ここから本文です。

記者資料提供(2024年1月26日)
文化スポーツ局博物館学芸課

 2024年3月30日(土曜)から5月19日(日曜)まで開催の特別展「Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色写真への旅」より、展覧会構成と主な出品作品、前売り券情報を公開します。

 日本の開国後、幕末から明治時代にかけて、これまで交流のなかった諸外国の人々が、来日するようになりました。未知の日本文化を目にした彼らの需要に応え、フェリーチェ・ベアト、ライムント・フォン・シュティルフリート、臼井秀三郎(うすいしゅうざぶろう)、日下部金兵衛(くさかべきんべえ)、アドルフォ・ファルサーリ、玉村康三郎(たまむらこうざぶろう)らの写真館では、日本の名所や風俗を撮影した写真を販売しました。それらの写真はしばしば、1点1点精緻に彩色され、カラー写真と見紛うような「手彩色写真(てさいしきしゃしん)」に仕上げられて、豪華な蒔絵表紙のアルバムに綴じ込まれました。被写体の選定、巧みな構図と美しい彩色は、現実の日本そのものではなく、東洋の神秘「JAPAN」のイメージを作り上げていきます。

 本展では、幕末・明治期に撮影され、手彩色が施された写真と関連資料約150点を一堂に展観し、手彩色写真のもつ唯一無二の美を通して、時代を超えて人々を魅了する「JAPAN」の姿をご紹介します。

展覧会メインビジュアル 
展覧会メインビジュアル
 

1.展覧会構成と主な出品作品

(※会期中、一部作品の展示替えを行います)

プロローグ

 

 本展で紹介する「色の着いた写真」は全て、幕末・明治期の「手彩色写真」です。当時はまだカラー写真が実用化されておらず、花も木も着物の柄も髪の筋も、モノクロ写真を1点1点丁寧に手作業で絵の具を塗って仕上げています。
 本章では、彩色前のモノクロ写真と彩色後の手彩色写真を比較した後、日本の風景・人物・風習を撮影した手彩色写真の作例を、鑑賞いただきます。

女性の後姿カラー
「〔女性の後姿〕」 明治時代(通期) ピエール・セルネ氏蔵 

女性の後姿モノクロ
「〔女性の後姿〕」 明治時代(通期) ピエール・セルネ氏蔵

 彩色前後の写真を比較すると、色を付けることで髪や着物の皺が際立たせられていることがわかります。また、帯の鮮やかな模様には筆運びの跡が残っています。

Ⅰ 手彩色写真の制作

 手彩色写真を制作した写真家や、彩色作業に従事した絵付師について、実際の作業に使われた絵の具や器具など関連資料とともに紹介します。

693_PANORAMA_OF_RYOUNDO_S_STORE_KOBE
693「PANORAMA OF RYOUNDO’S STORE, KOBE」 明治時代中期~後期(通期) 東京都写真美術館蔵

 神戸の名勝地「布引の滝」付近にあった手彩色写真を売る写真館「凌雲堂」を、現存する煉瓦造アーチ橋「砂子(いさご)橋」とともに収めた写真。凌雲堂では布引の滝見物に来た外国人に向け、写真の撮影、販売をしており、敷地内には休憩・撮影スペースに用いた庭がありました。

油彩絵の具
「写真着彩用油彩絵具」 ボシュロム 近代(通期) 横浜市民ギャラリーあざみ野蔵

 写真着色のための絵の具。6色の絵の具の小瓶にはそれぞれ色名のラベルが貼られ、ガラス蓋で全体が覆われています。

シュティルフリートの絵付師
「〔シュティルフリートの絵付師〕」 明治時代(通期) ピエール・セルネ氏蔵

 シュティルフリートの写真館にて、絵の具の入った皿を持ち、厳めしい顔でポーズをとる和装の男性。掛け軸や絵付けの資料と思われる和綴じ本に囲まれた机の上には写真が置かれており、彼が日本人絵付師であることを示しています。

 

Ⅱ 「JAPAN」の人々

 日本の人物、習俗を活き活きと伝える手彩色写真。鮮やかで精緻な色付けがなされた作品を中心に、製作者の意図を分析します。

116_WRITING_LETTER
116「WRITING LETTER」 日下部金兵衛 明治時代中期(通期) ピエール・セルネ氏蔵

 行灯(あんどん)の前に座る女性が手紙をしたためています。訪日外国人にとって、縦書きの文章は異国情緒を感じる要素の一つでした。周囲を落ち着いた色に、着物や座布団をパステルカラーに彩色することで、女性の存在感が際立っています。

32_GENERAL
32「GENERAL」 日下部金兵衛 明治時代中期(通期) ピエール・セルネ氏蔵

 「GENERAL」は「将軍」を意味します。右手に「采配」を持ち威儀を正す、位の高い武将をイメージして撮影した演出写真です。実在の武将より派手な衣装ですが、兜や鎧の紐、着物の柄の1つ1つに至るまで丁寧に彩色されています。
 

Ⅲ 「JAPAN」の風景

 手彩色写真でよみがえる、幕末~明治の風景。日本の風景を撮影した手彩色写真について、カラー写真であるかのように美しく彩色された作品から、当時の訪日外国人が特に愛着やこだわりを抱いた場所に注目します。

KOBE
A1205、B1205「KOBE」(『神戸名所写真帳』より) 日下部金兵衛 明治時代中期(後期展示) 神戸市立博物館蔵

 神戸外国人居留地の海岸通(現在の国道2号線の位置)を海から撮影した写真です。海岸通りには領事館や銀行、貿易商などの西洋風の建築が軒を並べており、海沿いには緑地帯が造成されて美観を誇りました。

2001_FUJIYAMA_FROM_OMIYA_VILLAGE
2001「FUJIYAMA FROM OMIYA VILLAGE」 日下部金兵衛 明治時代中期(通期) 東京都写真美術館蔵

 散在する人家の奥に雄大な富士山を望む写真。タイトルの「OMIYA」は今の静岡県富士宮市付近を指します。立っている人々はカメラ目線で、偶然居合わせたというよりは撮影のためのエキストラの可能性が高いです。

エピローグ

 本展の中でもとりわけ美しく彩色が施された2点の写真を紹介して、本展を締めくくります。製作者に関する情報はありませんが、明治の手彩色写真の逸品です。

TAYUU
「〔太夫〕」 明治時代(通期) ピエール・セルネ氏蔵

 襟を返して内側の赤色を見せ、帯を前結びにし、豪奢な髪飾りをふんだんに着けるという装いから、花街の妓女の中で最高位の太夫(たゆう)の写真と考えられます。上着と帯の柄はもちろんのこと、髪の1筋1筋、髪飾りの1本1本、内側に着ている衣にうっすらと見える地の模様に至るまで、極めて丁重な彩色がなされています。

2.前売り券情報

前売り券販売期間

2024年1月30日(火曜)から3月29日(金曜)まで

前売り券販売額
一般1,000円 大学生400円

販売先
アソビュー(https://www.asoview.com/channel/tickets/9f9aUTck8U/)

ローソンチケット【Lコード:51909】(https://l-tike.com/colorfuljapan/
店頭販売:ローソン、ミニストップ

チケットぴあ【Pコード:686₋694】(https://w.pia.jp/t/colorfuljapan/
店頭販売:セブンイレブン店頭より

イープラス(https://eplus.jp/colorfuljapan/
セブンチケット【セブンコード:103-463】(https://7ticket.jp/s/103463
店頭直販:セブンイレブン店頭より

(販売日開始日(1月30日)までは各ページ非公開)

3.開催概要

会 期:2024年3月30日(土曜)~5月19日(日曜)(45日間)
 ※会期中、一部作品の展示替えを行います。
 (前期)3月30日(土曜)~4月28日(日曜)
 (後期)4月29日(祝日・月曜)~5月19日(日曜)
休館日:月曜(※但し、4月29日(月曜・祝日)と5月6日(月曜・振替休日)は開館。)、5月7日(火曜)
開館時間:9時30分~17時30分(金曜、土曜は19時30分まで)
 ※展示室への入場は閉館の30分前まで
会 場:神戸市立博物館(神戸市中央区京町24番地)2階南蛮美術館室・特別展示室2・ギャラリー・1階ホール
主 催:神戸市立博物館、NHK神戸放送局、NHKエンタープライズ近畿、毎日新聞社
協 賛:公益財団法人 日本教育公務員弘済会 兵庫支部
後 援:Kiss FM KOBE
特別協力:長崎大学附属図書館
協 力:一般財団法人 神戸観光局、神戸新聞旅行社、株式会社ポトマック
入場料:一般1,200円(1,000円) 大学生600円(400円) 高校生以下無料
 ※( )内は団体・前売り券の料金。団体は20名以上
 ※神戸市内在住で満65歳以上の方は、当館券売窓口にて証明書の提示により半額。
 ※障害のある方は障害者手帳などの提示で無料。

お問い合わせ

特別展「Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色写真への旅」広報事務局(ネネラコ内)
〒531-0072 大阪市北区豊崎3-15-5 TKビル
電話 06-6225-7885 FAX 06-7635-7587(平日:10時~17時)
E-mail colorfuljapan-kobe@nenelaco.com